足立区高野に暮らすKOYA areaguide

再開発が進められ、人口も増え続ける足立区

「こんないい街だったんだ」と住んでみて驚く
先進的な政策を連発する「スゴイ足立区」にご注目!

東京23区の北西部の要である「足立区」。隅田川の北側エリア一帯を占め、東西には首都の大動脈である環七通り、南北には国道4号線、鉄道路線には東武伊勢崎線、つくばエクスプレス、日暮里・舎人ライナーの3路線が縦貫しており、各駅付近は都心に働く人々のホームタウンとして発展してきました。さらに、近年はあちこちで再開発も行われています。

そんな足立区ですが、かつて「あまりイメージが良くない」という状況が続いてきました。それは主にマスメディアの偏向記事や、大衆娯楽作品によるステレオタイプ描写によるものでしたが、それを払拭しようと足立区では「シディプロモーション課」というイメージアップ部署を立ち上げ、さまざまな取り組みを行ってきたといいます。

今回は、「シティプロモーション」に関わってきた足立区役所政策経営部の3人の職員の方にお話を聞き、今の足立区の姿と、高野・江北エリアの魅力、区内のおすすめのスポットなどについて、幅広くお話を聞きました。

「足立区役所」外観
「足立区役所」外観

――まずは、足立区の概要と特色を簡単に教えてください

栗木さん 足立区は東京23区の最北東に位置している区で、面積も人口も比較的大きな区となっています。人口は約69万人で23区中5番目、面積は世田谷と大田区についで3番目です。また、人口は現在も増え続けていまして、その背景としては、足立区のいろいろな場所で、再開発が進められているという事情があります。

今、足立区は「100年に一度の変化の時」と私達は言っていますが、この広い足立区の中で、現在7つのエリアで再開発が進んでいまして、近い将来、新しい街並みがいくつも生まれていくことになるかと思います。

足立区の中では現在7つのエリアで再開発が進んでいる
足立区の中では現在7つのエリアで再開発が進んでいる

今回、高野(こうや)を含む江北(こうほく)エリアのお話をということでしたが、実は江北エリアでも現在再開発がかかっており、足立区民の悲願であった大学病院の誘致に成功し、「東京女子医科大学附属足立医療センター」が2022(令和4)年に開業しています。そのほかにも、江北エリアを含む足立区の西側のエリアでは、いろいろな大きな変化が起こっているという状況です。

――江北・高野エリアの歴史と特徴について教えてください。

原田さん 実は、足立区には高野という地名は無くて、足立区になる前に「高野村」という村があった地域なので、日暮里・舎人ライナーの「高野」駅という駅名になっています。この辺りはかつて農村地帯が広がっていました。

また、高野を含むこの辺り一帯はいま、「江北エリア」と呼ばれることが多いのですが、「江北」というのは川の北側という意味で、現在の荒川は後からできた川ですので、「隅田川の北側にある地区」ということが江北の由来となっています。

地域の特徴ということですと、高野駅からは日暮里・舎人ライナーで日暮里駅まで約10分で行けますし、日暮里から乗り換えていただければ、都心のいろんな街にアクセスできますので、都心に通う方にとってはなかなか便利なところだと思います。

また、北のほうに行けば足立区で最初の小中一貫校になる「興本(おきもと)扇学園」があったりと、教育という面でも力を入れている地域になります。

足立区は全般的にスーパーが多いとよく言われていますが、高野や江北のエリアもスーパーが多い地域で、普段の買い物も便利だと思いますし、公園や図書館も近くにあるし、平坦なので自転車でどこまでも行けますし、いろんな面で暮らしやすい地域だと思います。

左から、シティセールス担当係長 原田裕介さん 政策経営課長 伊東貴志さん
左から、シティセールス担当係長 原田裕介さん 政策経営課長 伊東貴志さん

――千住など国道沿いの街と比べて、江北・高野エリアは足立区の中でも新しい街のように思われますが、どのような経緯で街ができたのでしょうか。

栗木さん 足立区はかつて、都営住宅やURなど団地が多い街でした。江北ももともと団地が多い地区でした。それが、団地の老朽化にともなって、高層の都住に建て替えをしたり、団地をなくして跡地に大学の病院を誘致してきたりという動きがあり、現在もそれが進んでいるわけですが、そういう意味では、江北は今まさに変わりつつある、新しい街づくりが行われているエリアになります。

今回、大学病院が新しくできたことで街並みもだいぶ変わり、道路などもさまざまな整備が行われました。たとえば、病院の周りをぐるっと回るウォーキングコースができて、そこには「何メートル」といった距離も書かれていて、なんだか楽しく歩けてしまいます。2024(令和6)年度には「すこやかプラザあだち」という、保健の総合センター的な施設もできますし、今後も健康施策を充実させていく街になるので、そういった点にも注目していただければと思います。

足立区政策経営部 シティプロモーション課長 栗木希さん
足立区政策経営部 シティプロモーション課長 栗木希さん

――足立区の政策の特徴、目指している区の将来像などについてお聞かせください。

伊東さん 今まさに、区の政策の大元になる「基本計画」を作成しているところですが、その中で、「安心と活力」というキーワードを考えています。自治体の責務を突き詰めていくと、最終的にはこのふたつの言葉になると思います。

「安心」については当然、今までも力を入れてきたわけですが、やはり安心感がないと、そこに住み続けたいと思わないでしょうし、選ばれることもないわけです。よって、そこはさらに磨いていくべき部分だと思っています。

健康に安心して暮らせるためのまちづくり
健康に安心して暮らせるためのまちづくり

中でも子育てに関しては、産み育てるということはもちろんですが、区民にアンケートをとった際、「高校生になるとお金がかかってくるので、そこに支援があると助かる」という声が多数あったので、今年度を「若年者支援元年」と位置づけまして、高校生から先の新しい支援の創出を考えています。

その一つとして今年度から、「給付型奨学金」の制度を新設し、もちろん利用条件や人数制限はありますが、「入学料・授業料・施設整備費の全額補助」という制度を、ほかの自治体に先んじてスタートさせ、大きな話題となりました。

まだまだ、必ずしも全員が受給できるものにはなっていないわけですが、こういった制度も利用しながら、「子どもを産み育てる」ということに対して“安心”を感じていただき、「足立区で子育てをしてみたい」と思っていただけるような区になれればと思っています。

――子育て世帯へ向けた支援策としては、ほかにどのような政策がありますか?

栗木さん 足立区としては、「おなかにいる時から大人になるまで、切れ目のない支援」というのことを大切に考えています。伊東の話にもあったように、高校、大学、社会人になるまで、いろんな支援の策をやっているという点が、まず大きな特徴になると思います。

奨学金以外では、たとえば、適応障害などがあって、なかなか社会に出てから馴染めないという人もいらっしゃるわけですが、その芽を早い段階で見つけてサポートしていくことで、社会との接続がスムーズにいくように、といった施策も行っていたりします。

もちろん、子育て支援の施策も手厚くおこなっており、区内各地で子育てサロンが開催されていたり、図書館に行けばお子さん向けのイベントや、読み聞かせの会などもよくおこなわれていますので、その点もいろいろ、調べてみていただければと思います。

特に子育てサロンはいろんな地域で、徒歩や自転車で行ける範囲内でいろいろ開催されていますので、参加していただければ、同じ月齢の子どもたちのパパママとコミュニケーションがとれたり、育児の悩みをサロンの従事者の方に相談できたりして、「安心」につながっていくのかなと思います。

出産前から子どもが大人になるまで、さまざまな子育て支援策がある
出産前から子どもが大人になるまで、さまざまな子育て支援策がある

――「シティプロモーション課」が設置されているのは、足立区の大きな特徴と聞きました。どのような活動をされているのでしょうか?

栗木さん 実は足立区は東京23区で初めて「シティプロモーション」の専門の部署を作った区で、私達が所属する「シティプロモーション課」は2010(平成22)年に作られました。

通常、「シティプロモーション」と言えば観光客の誘致、定住者の誘致など、外に向けて街をアピールすることなのですが、足立区では逆に、「区民の皆さんに向けたシティプロモーション」を行ってきました。これが一番の特徴だと思います。

設置のきっかけとしては、立ち上げ前の年の調査で、区民の皆さんに、「足立区ってどんな街ですか?」というイメージを聞いた時に、「公園が多い」「緑が多い」といった肯定的な意見と同じくらいに、「治安が悪い」とか「汚い」とか、マイナスのイメージを書かれる方が多かったんですね。区民自身が、住んでいる街自体に全然誇りを持っていない状況だったんです。

そこで、「これはまずい」となって、シティプロモーション課が立ち上げられたわけですけれど、私たちがこれまでやってきたのは、その「マイナス要因」を改善すること、たとえば治安の改善、学力の向上、貧困の連鎖の解消、健康寿命を伸ばすといったことと、同時並行で「プラスの創出」もやろうということで、その両輪でやってきました。

「シティプロモーション課」では「マイナス要因」の改善と「プラスの創出」の両輪を行ってきた
「シティプロモーション課」では「マイナス要因」の改善と「プラスの創出」の両輪を行ってきた

――「プラスの創出」では何が行われたのでしょうか?

栗木さん 「プラス」のひとつは、大学の誘致や、アートプロジェクトの推進といったものになりますが、その結果、千住には現在5つもの大学がキャンパスを持つようになり、一昨年には区北部にも文教大学が学部の一部を移転して、開設されたという経緯があります。

大学誘致の一番のメリットは、つねに新しい学生さんが入ってくることで、継続的に「街に若者がいる」という形になることだと思っています。再開発などでマンションが一斉に建ったとしても、その時は人口が一気に増えていいんですが、やがて子どもが育って出ていくと、人口が減って、住民はみな同じように高齢化していく、という問題が生じてしまうんですね。

そういうことを防ぐという意味で、足立区では大学の誘致を進めてきたわけですが、もう一つ、「子どもたちの体験機会を創出する」という意味合いもありました。大学生と子どもたちの接点を作ることで、子どもたちも大学生に憧れて、将来大学に行きたいと思う、そういった相乗効果も狙っています。

実際にいま、6校の大学で年間150以上のイベントや講座などが実施されていまして、大変好評をいただいています。そういった体験機会の充実も、足立区の新しい特徴になっていると思います。

――昔の足立区と今の足立区では、ずいぶんイメージが変わってきているようですね。

栗木さん そうですね。「体感治安」と私たちは言っているんですが、「自分の街の治安がいいと思うか」という調査で、足立区ではずっと、「いいと思う」という方の割合が増え続けているんです。実際に刑法犯の認知件数も減ってきていますし、昨年の調査ではだいたい65%くらいの方が、自分の街は「治安がいいと思う」と答えてくださっています。

この十数年、いろいろなボトルネックの課題を解決して、魅力の創出をしてきたわけですが、今では区民の2人にひとりの方が「足立区を誇りに思う」とおっしゃって下さっていて、これは大きな成果だと思っています。

ただ、一方で課題もありまして、「足立区の治安はいいと思うか」という質問を区外の方にしたところ、「いいと思う」がたったの「9.6%」しかいなかったんです。区民の「65%」と比べると何と6分の1以下なんです。

これまで、私たちははずっと区内に向けたプロモーションをやってきたわけですが、あまりにも足立区の中での現状と、外から思われているイメージのギャップが大きくなってしまったので、今度は外に向けたシティプロモーションを本格的にやっていこうと考えています。

実際に来てみていただけると、「あ、足立区って面白いところじゃん、いいところじゃん」と思ってくださる方が多いんですが、来たことが無い人はやはり、過去のメディアなどの影響で悪いイメージを持ってしまっているんですね。私達は今、そこを破るための取り組みをしているところです。

足立区では区民に向けたシティプロモーションを行い、成果が上がってきた
足立区では区民に向けたシティプロモーションを行い、成果が上がってきた

――シティプロモーションに対しての区民の反応、今後の展開で期待されることをお聞かせください。

栗木さん 反応ということだと、先ほどの「誇りに思う」が増えたということも一つの結果だと思いますが、私たちは縁の下の力持ちとして、組織力を高めるという部分を担っているので、あまり直接声を聞くということは少ないです。

ただ、たとえば、足立区で発行される広報物について、確実に区民の皆さんに情報を届けるために、デザインや中身の情報の精査といった面で支援をしているのですが、「足立区の広報物ってデザインがいいね、役所っぽくないよね」という声は、非常によく聞いています。

期待されることとしては、区民の皆さんは「自分が住んでいる街はすごくいい」と思うようになっているのに、外に行ったときに、「足立区出身です」と胸を張って言えないような状況があって、そこを変えていって、本当の足立区の姿を、外にもしっかりと知らせていきたいと思っています。

伊東さん 足立区には象徴的な風景とか、とびきり目立つものというのが、残念ながらあまり無いんですね。ですから、プロモーションという面ではほかの区に敵わない部分があるんですけれども、「ちょっとほかの区よりも進んだ取り組みをしている」という部分はけっこう多くて、転入した方からも「足立区って、ほかのところと比べていろんな新しいことをやっているんですね」という声をよく聞きますので、そういった政策面での新しさ、先進性といった面にも、ぜひ注目していただければと思います。

足立区政策経営部 政策経営課長 伊東貴志さん
足立区政策経営部 政策経営課長 伊東貴志さん

――足立区の今後のまちづくりにおいて何を重視されていますか。また、住民や訪れる方に注目してほしいポイントがあれば教えてください。

伊東さん 足立区に新たに移り住んできた方の声を聞いてみると、「いろいろ自分でやりたいことがあるんだけれど、なかなか実現する場がない」とか、「一緒にやる仲間がいない」といった声が多かったんですね。特に若い世代の方から多かったです。

そこで、そういう意欲がある方に手を挙げてもらったところ、あっという間に人が集まって、グループができて、活動の輪が広がっていったんです。「つながるきっかけ」さえあれば、チャレンジできる環境がある、それも足立区の魅力の一つだと思っています。これからは「面白いことをやれるんだったら、足立区を選んでみようかな」という方が増えてくれたら嬉しいですね。

先ほどの奨学金以外にも、受験生に対する「受験生チャレンジ支援」や、部活動や資格取得などのチャレンジを応援する「高校生応援支援金」などもありまして、今後も若者の「チャレンジ」を支援する政策は、充実させていきたいと考えています。

栗木さん 区長がよく発する言葉に「誰一人取り残さない」という言葉があって、そのためにいろんな施策を走らせているわけですけれども、どんな状況にあっても、自分がかなえたい夢、やってみたいことなどを実現できる街にしよう、ということで「誰もが自分の“やりたい”をかなえられる街にする」というのが、足立区の大きなビジョンになっています。

――足立区にある、ファミリー世帯におすすめのスポットについて教えてください!

栗木さん 私は「北鹿浜公園」がおすすめですね。ここはいわゆる「交通公園」ですが、いろんな交通遊具があって、昔走っていたSLもあって、ミニ電車も走っていて、タコさんもあって、すごく楽しめる公園だと思います。埼玉方面から来られる方も多いみたいですね。

あとはやっぱり、「舎人公園」でしょうね。バーベキューもできるし、野鳥も見られるし、大きなじゃぶじゃぶ池もあるし、1日お子さんと遊べる公園です。

様々な公園があり、子どもものびのびと遊ぶことができる
様々な公園があり、子どもものびのびと遊ぶことができる

伊東さん うちは小学生低学年の子どもがいるので、実際に連れていって「いい顔してたな」と思ったところを挙げさせていただくと、一番は「都市農業公園」でしたね。春先に行ったんですけれど、チューリップと桜がすごくきれいで、空が広くて、中には農園があって、あまり身近にない景色や要素がそこにぎゅっと詰まっていて、楽しい公園だと思います。時々、収穫祭などもやっていて、芋ほりとか、大根ほりとか、そういったこともできるみたいですね。

もうひとつは「花畑公園」ですね。足立区には桜がきれいなスポットが多くありますけれど、花畑公園は大きな桜の木が多くて、隠れた名所だと思います。子どもを連れてお花見をするなら、ゆっくりできて大きな桜が見られて、最高だと思います。桜のきれいさで言ったら、大谷田の葛西用水沿いの桜も、多分、区内では一番きれいなところだと思います。

栗木さん 足立区には桜の名所が本当にたくさんあるんですよ。荒川沿いもそうですし、見沼代親水公園のほうにある、毛長川沿いの桜もすごくきれいですよ。

荒川沿いをはじめ桜の名所も多い
荒川沿いをはじめ桜の名所も多い

原田さん 私は定番ですが「ギャラクシティ」をおすすめします。これは西新井のほうにある施設で、もともと科学館だったものを子ども向けの体験施設にした施設で、大きなネット遊具で遊べたり、ボルダリングもできたり、ワークショップや工作教室も毎日何かをやっていて、基本的に全部無料で遊べるので、親子連れの方には本当にいい場所だと思います。

ネット遊具は「日本最大級のネット遊具」ということですし、有料のプラネタリウムもあるんですが、これも23区で最大のものということです。区外とか県外からもけっこう来られる大人気の施設ですね。

あと、竹ノ塚駅から行ける「足立区生物園」というところがあって、これは、動物園でもあり、水族館でもあり、昆虫もいて、蛍もいて、という感じの施設ですけれども、こちらも親子連れの方にはとても人気の施設です。

足立区政策経営部 シティセールス担当係長 原田裕介さん
足立区政策経営部 シティセールス担当係長 原田裕介さん

――最後に、これから足立区に住むことを検討している方へのメッセージをお願いします。

栗木さん 広い足立区の中でも、足立区の西側のエリアは今まさに大きな変化の時期を迎えていて、これからもどんどん開発されていって、さらに住みやすい街になってくると思います。とっても伸びしろがある街だと思うので、これから住みたという方には、ぜひおすすめです。

伊東さん 「足立区」と聞くと、まだまだ「あまりイメージが良くない」という方があるかもしれないですけれど、お話してきた通り、そこが解消しているということは徐々に徐々に広がってきていると思いますし、それってまだまだ「伸びしろ」があるということだと思うんです。

ですからぜひ、足立区に来て「伸びしろ」を感じていただきたいと思いますし、一緒にそこを伸ばしていってくれる方に、足立区に来ていただければなと思っています。

「足立区役所」
「足立区役所」

足立区役所

足立区政策経営部 政策経営課長 伊東貴志さん
足立区政策経営部 シティプロモーション課長 栗木希さん
足立区政策経営部 シティセールス担当係長 原田裕介さん
所在地: 東京都足立区中央本町1-17-1
電話番号:03-3880-5111
URL:https://www.city.adachi.tokyo.jp/
※この情報は2023(令和5)年9月時点のものです。

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