八王子北野に暮らすHACHIOJI areaguide

奇をてらわない「町そば」の魅力を大事に。親子3世代が通える地域密着の「北野 増田屋」

京王線「北野」駅南口より徒歩5分。北野街道と八王子バイパス(国道16号)が交差する辺りに、地元で人気の蕎麦屋がある。2023(令和5)年で50周年を迎えた「北野 増田屋」だ。この街で生まれ育ったという店主の宮崎裕樹さんに、お店のことや北野エリアの魅力についてお話を伺った。

「北野 増田屋」店主 宮崎裕樹さん
「北野 増田屋」店主 宮崎裕樹さん

家族団らんのイメージを板蕎麦に託し、看板メニューに

――お店の歴史と概要、コンセプトをお聞かせください。

宮崎さん:この店は、先代の父が1973(昭和48)年に創業しました。当初は日本蕎麦だけでなくラーメンも提供するようなお店でした。1998(平成10)年に現在の建物になり、2011(平成23)年に私が後を継ぎました。2014(平成26)年、「ちょっと素敵な町の和そば屋」をコンセプトに店内をリニューアルし、「板蕎麦と和膳 北野 増田屋」としてリスタート。板で作られた浅い箱に盛り付けた「板蕎麦」を主軸に、旬の食材を使った一品料理や和食膳にも力を入れています。

「北野 増田屋」外観
「北野 増田屋」外観

北野エリアはオフィス街や繁華街ではないので、食事のみの方にも、お酒を飲みながら食べたい方にもご利用いただけるよう、メニューが多くなっています。昨今は手打ち蕎麦やおしゃれな店が人気ですが、僕は街中華みたいにどこの街にもあるような「町そば」の魅力というものが絶対にあると思っていて。お子さんからおじいちゃん、おばあちゃんまで地域の方が気軽に通える、地域の方のための蕎麦店を目指しています。

「北野 増田屋」店内
「北野 増田屋」店内

――店内の改装をされたきっかけを教えてください。

宮崎さん:先代が他界したことがきっかけです。店主が変わって常連さんや新しいお客様に不安がないよう、古さや暗さを感じさせる部分を見直し、明るく入りやすい雰囲気にしました。「町のおそば屋」から「ちょっと素敵な町の和蕎麦店」へとブラッシュアップした感じです。おかげさまでリニューアル以降は、コロナ禍を別にすれば売り上げも右肩上がりです。お客様の8割ぐらいが常連の方なので、地域の方に支えられてここまで来ました。

鴨汁のつけ蕎麦「板もり刻み鴨せいろ」 鰹出汁のそばつゆも付いてくる
鴨汁のつけ蕎麦「板もり刻み鴨せいろ」 鰹出汁のそばつゆも付いてくる

――こだわりの商品や特徴、特におすすめの商品、地元の方々から人気の商品を教えてください。

宮崎さん:看板商品は、板で作られた浅い箱に盛り付けた「板蕎麦」。ひとつで2.5人前ある、グループのお客様向けのメニューです。ごまだれやとろろ汁など数種類あるつけ汁を選んでご注文いただきます。昔は家で蕎麦やそうめんを食べるとなったら、テーブルにひとつの器をどーんと置いて、みんなが箸をのばして食べたじゃないですか。僕にとってはあれが一家団らんのイメージなんです。

3世代が通える店を目指し、このメニューをメインに据えました。家族4人で来て板蕎麦を1枚頼み、それぞれ好きなつけ汁でいただく。あとは天ぷらの盛り合わせなどを頼んでみんなで食べるという感じです。あとは「板もり刻み鴨せいろ」。これも人気が高く、板蕎麦の二枚看板という感じでしょうか。

安心して食事を楽しめる、お客様にとってのサードプレイスを目指す

淡路産のハモを大葉、梅肉と揚げた一品料理「ハモの香り揚げ」
淡路産のハモを大葉、梅肉と揚げた一品料理「ハモの香り揚げ」

――お店のHPにある「生産者の顔が見える」の意味を教えてください。

宮崎さん:食材の出所が明確で、安心安全ということです。当店では蕎麦は主に新潟県魚沼市、お米は新潟県妙高市の農家さんから直に仕入れています。また、地元の八王子の市場で毎朝、新鮮な野菜や魚、肉を仕入れています。

――お店を営まれる中で大切にしていらっしゃるポイント、考え方がありましたらお聞かせください。

宮崎さん:「食を通じて人を幸せに」という理念が根底にあります。当店が、お客様にとって行くのが楽しみな場所であり、サードプレイスであってほしいと思っています。また、店で働くスタッフさんの人間的成長に役立ちたいとも考えています。

駐車場もあるので車でも立ち寄りやすい
駐車場もあるので車でも立ち寄りやすい

――地域や地元商店街とのかかわり、地域とのコミュニケーションについて教えてください。

宮崎さん:お店とお客様という立場での付き合いがメインになります。個人店として、一歩お客様との距離を縮めてお付き合いしています。町内会のお手伝いに参加したり、年に数回ですが地域のゴルフコンペに参加したりもしています。

街に出るのも山に遊びに行くのも近い。暮らしやすさが魅力の北野エリア

店のすぐ裏手を流れる湯殿川
店のすぐ裏手を流れる湯殿川

――この地に長くお住まいの宮崎さんから見た、北野の魅力を教えてください!駅南側の魅力も教えてください。

宮崎さん:「北野」駅は、京王八王子行きと高尾山口行きに分かれる分岐駅。街に出るのも山に遊びに行くのも近いし、特急も停まります。乗り換えなしで「新宿」駅まで行けるので、通勤もさほど大変ではないでしょう。この辺ではバスも住民の足になっていて、「八王子」駅はもちろん「南大沢」駅に行く便もあるので、車を持たない方にも住みやすい街です。

駅の南側は、目の前に小さな丘があったり、すぐそばを川が流れていたり、自然を身近に感じられます。夜も静かですし、暮らしやすい環境ではないでしょうか。近くにクリニックや病院もあるので安心です。それと「北野」駅から徒歩5分圏内に、歯医者が10軒以上あるんですよ。

地元の方々に愛される「町そば」の魅力を大切にしている
地元の方々に愛される「町そば」の魅力を大切にしている

――長くお店を続けられてきた中で、このエリアの変わらないところや、時代と共に変化してきたと感じることがありましたら教えてください。

宮崎さん:僕が子どもだった40年前と比べると、街並みはだいぶ変わりました。小学校4、5年生ぐらいの頃までは、駅と湯殿川の間、今コナミスポーツなどがある場所も建物はありませんでした。京王線も高架化されておらず、近くには踏切がありました。やがてマンションや戸建て住宅が建ち、山が切り開かれて16号バイパスが開通しました。精肉店や鮮魚店といった個人商店が減りました。

でも、この街に住む方はあまり入れ替わっていないように感じます。それはこの街が住みやすく安心だということじゃないでしょうか。景観が変わっても廃れた感がないのが、何よりの証拠だと思います。

地元の方々に愛され今年で50周年を迎えた「北野 増田屋」
地元の方々に愛され今年で50周年を迎えた「北野 増田屋」

――最後に、これからこのエリアに住まわれる方々に向けて一言お願いいたします!

宮崎さん:「北野 増田屋」は今年で50周年を迎えました。多くの個人商店が姿を消す中でうちが生き残っているのは、ひとえに地域の皆様のおかげ。支えられているという想いがあります。これからも皆様の憩いの場であり続けられるよう、努力して参ります。新しくこの地域で暮らす方々も、ぜひお気軽にお立ち寄りください。

北野増田屋 店主 宮崎裕樹さん
北野増田屋 店主 宮崎裕樹さん

北野 増田屋

店主 宮崎裕樹さん
所在地:東京都八王子市打越町2014-6
電話番号:042-635-0881
URL:https://www.kitano-masudaya.com/
※この情報は2023(令和5)年9月時点のものです。

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