ひばりが丘・田無に暮らすHibarigaoka Tanashi areaguide

みどりを大切にした街づくりを進めている西東京市。市の担当者に「みどりへの思い」をインタビュー

市のマスコットキャラクターに森の妖精「いこいーな」を定め、まちづくりの憲法ともいえる「都市計画マスタープラン」の中ではまちづくりの基本理念の一つとして「みどりの保全と継承」を掲げている西東京市。西東京市は、田無市と保谷市が合併して、2002(平成13)年に生まれた新しい市です。宅地開発が各地で進められる中でも、市の中央に「西東京いこいの森公園」と附属生態調和農学機構と田無演習林のある「東京大学田無キャンパス」を抱くこと等から、みどりの保全・活用に取り組み、みどりと共生するまちづくりを行ってきました。

そこで、今回は西東京市のまちづくりを担当する「まちづくり部都市計画課」の稲越亮太さんと、みどりの保全に関して中心的な役割を担う「みどり環境部みどり公園課」の成田裕樹さんにインタビューを行い、西東京市のみどりに対する考え方と、西東京市の魅力をお聞きしました。

稲越さん(左)、成田さん(右)
稲越さん(左)、成田さん(右)

――まずは、西東京市の紹介をお願いします。

稲越さん 西東京市は2001(平成13)年に、田無市と保谷市が合併して生まれた市でして、人口約20万都市です。今後の人口推計を見ましても、全国的には人口減少が進んでおりますが、西東京市については微減程度の人口を維持すると考えられています。

市の特徴としては、まず、「池袋や新宿に近いベッドタウンで、都心にアクセスしやすい交通利便性が挙げられます。またその一方で、畑や屋敷林といったみどりが多く残っており、そういった「みどり」も街の景観や特徴になっています。

最近では、「本当に住みやすい街大賞2023」というランキングで保谷が関東4位に選ばれた事例もあり、「ひばりヶ丘」駅、「田無」駅などを中心に便利な街が拡がり、そこにみどりがプラスで存在する、「便利さ+みどり」という住環境が、皆さんから注目していただいているポイントなのかなと思っております。

――みどりを生かしたまちづくりを進めるために、「西東京市第2次みどりの基本計画」の策定を進めていると聞きました。その目的と概要、現在の取り組みの状況を教えてください。

成田さん 令和4年度(2022年度)に、市の緑化審議会に「西東京市第2次みどりの基本計画」の策定について諮問をしており、委員の方々に、今後の施策の方向性等ご審議いただいています。2023年(令和5年)度中に緑化審議会から答申をいただき、「西東京市第2次みどりの基本計画」を策定する予定で進めております。

この「西東京市第2次みどりの基本計画」は、緑地の保全や緑化の推進に関する基本計画として策定するもので、「緑地の保全及び緑化の目標」「緑地の保全及び緑化の推進のための施策」「都市公園の整備及び管理の方針、その他緑地の保全及び緑化の推進の方針」「特別緑地保全地区内の緑地の保全に関する事項」 等について、西東京市の方針・施策を定めるものとなります。

西東京市の住みやすさを説明する、稲越さん
西東京市の住みやすさを説明する、稲越さん

――「みどりのまちづくり」に関して、具体的な施策としてどのようなものがありますか?

成田さん 西東京市では、2016(平成28)年度より、市内最大の市立公園である「西東京いこいの森公園」を拠点として、周辺の公園を含めて一括管理する形で指定管理者制度を導入し、民間活力の活用に取り組んでおりまして、2023(令和5)年現在、市内54カ所の公園が指定管理者によって維持・管理が行われています。

この指定管理者制度の導入により、指定管理者が創意工夫して物品を販売したり、自動販売機の設置等を行って収益を上げたり、その収益を様々なイベントの実施や公園の維持・管理のための費用に充てることができるようになり、市民サービスを向上させつつ、維持管理経費の抑制を図ることができています。

――ひばりが丘・田無エリアにおいて、緑化活動の取り組みがありましたら教えてください。

成田さん 西東京市では、公園等の公共用地に設けた花壇において、市民の緑化への関心を高めるとともに、「花につつまれたまちづくりの実現を図る」ことを目的として、市民との協働で「花いっぱい運動」を推進しております。

活動内容としては、 花の植え付けや管理等に関すること、除草等清掃に関すること等を行っており、原則として市民5人以上の団体とし、継続して参加できることを条件に、市と申し出のあった団体との間で協定を結んで実施しております。また、協定を結んだ団体に対して、 市は、花の植え付けに必要な花苗や用品用具等の支給を行っています。

――「花いっぱい運動」は、具体的にはどのような場所で行われていますか?

成田さん 基本的には市立公園になりますが、たとえば田無庁舎の敷地内の花壇などでも行っています。

西東京市には合計278の市立公園がありますので、どこか一つを挙げるというのはなかなか難しいですが、先ほど事例を挙げさせていただいた「西東京いこいの森公園」でも活動していますし、その近くにある「谷戸せせらぎ公園」でも活動しています。公園でないところも含めますと、約30か所で行っています。

都市計画マスタープランを手元に説明する稲越さん
都市計画マスタープランを手元に説明する稲越さん

――市民の方々からの反応はいかがでしょう?

成田さん きれいな花が咲いていて、丁寧に維持管理がされているということに、喜びの声をいただいております。参加者の方も、とても熱意をもって参加してくださっています。

――市のほぼ中央に、「東京大学田無キャンパス」と「西東京いこいの森公園」という大きな緑地がありますが、これらの緑地の役割について、市ではどのように考えられていますか?また、地域との関わり、東大との連携などがあれば教えてください。

稲越さん まず、市にとっての「ふたつのみどり」の役割ですが、西東京市のほぼ中心に位置する象徴的なみどりということで、西東京市の「都市計画マスタープラン」において、「みどりの拠点」ということで位置づけまして、みどりとのふれあいや、健康づくりの中心地となるような拠点の形成を目指すという計画になっています。

市では、東京大学田無キャンパスの再整備及び土地利用転換を伴う一部敷地の売却の計画や、西東京都市計画道路3・4・9号保谷東村山線の整備が進められていたことから、適正な土地利用の誘導や、緑化の推進、周辺の住環境と調和した良好な市街地形成に向けて2015(平成27)年5月に地区計画を策定しました。

地区計画策定当時、売却予定地の一部については、土地利用の方針が整理された段階で、適宜地区計画の変更を行うこととしており、市と東京大学との間で土地利用の方針について協議を続け、「西東京市都市計画マスタープラン」で示されるまちの将来像をふまえ、公共公益施設や農業の活性化に寄与する施設等を適切に誘導するため、2021(令和3)年9月に地区計画及び用途地域等を変更し、現在に至っております。

また、東京大学田無キャンパスとの取り組みとしては、田無演習林の散策コースなどもあり、公開している時期の平日であれば、どなたでも見学することができます。また、市内小学校の校外学習や中学生の職場体験の受け入れも行い、子どもたちが地元の緑と親しむきっかけ作りを行っています。この他、子ども樹木博士認定会などのイベントも開催しています。

成田さん
成田さん

――緑地の活用について、具体的な事例があればお聞かせください。

成田さん 「西東京いこいの森公園」は面積が約4.4ヘクタールありまして、 指定管理者の職員が常駐している「パークセンター」をはじめ、駐車場、ボール広場、スケート広場、原っぱ広場等が設置されております。日々の散策や四季折々の自然観察、スポーツ、レクリエーションなどの憩いの場として、非常に親しまれています。

具体的な活用の例としては、「手ぶらバーベキュー」が非常に人気ですし、キッチンカーの出店による飲食や、「ワンデードッグラン」といったイベントも実施しています。秋には市内最大のイベントでもある「市民まつり」の会場として使われますので、その時には多くの市民の方にお越しいただいています。平日は保育園、小学校の遠足先としてもよく利用されていまして、とても身近な公園となっています。

「市民まつり」の様子
「市民まつり」の様子

――今後、新しいイベントなどの予定があればお聞かせください。

成田さん イベント等は指定管理者の創意工夫のもとでの実施となりますので、協力してくださる団体さんが増えれば、その分増えていくと思います。

――西東京市の今後の街づくりにおいて、どんな点を重視されていますか?

稲越さん 「今後の街づくり」に関しては、現在、「都市計画マスタープラン」の改訂を進めているところです。策定できるのは今年度末になると思います。

「都市計画マスタープラン」は、市の「基本構想」に定める施策内容のうち、特に都市づくりに焦点をあてたもので、道路・公園・住宅地づくりなどに関する基本的、総合的、長期的なまちづくりの方針になります。これはある意味、市のまちづくりにおける憲法的な存在ですが、今回は「みどり」と「防災」等を主眼に置いて策定を進めています。

お話しできる範囲ですと、まず、「みどりの保全」という部分に関しては、保全とともに「活用」についても検討を進めていきたいと考えておりまして、従来、西東京市には「生産緑地」といわれる緑地、つまり畑がかなり多くあったのですが、近年は様々な事情により離農者の方が多くなっていますので、農に関しての議論の場である「農のプラットフォーム」を立ち上げ、農業者や農に関する団体、大学、市など様々な個人や団体が参加し、参加者同士がつながることで課題解決や新たな取り組みが生まれていく場を設立しました。

東京都西東京市・「西東京市役所 保谷東分庁舎」
東京都西東京市・「西東京市役所 保谷東分庁舎」

――最後に、これから西東京市に住みたいという方に向けて、メッセージをお願いします。

稲越さん 西東京市は非常にコンパクトな街ですが、市内に5駅もあって非常に交通が便利なところですし、「西東京いこいの森公園」や、東京大学田無キャンパスの演習林を含めて、たくさんのみどりがありますので、ファミリー世帯の方にとっては特に、住みやすさを実感していただける街だと思います。「田無」駅や「ひばりが丘」駅の周りには特色ある商店街もありますので、街を散策しても楽しいです。私自身も30年以上住んでいますが、とても気に入っています。

成田さん 稲越からも話に出ていましたが、私もやはり、「西東京いこいの森公園」が非常に魅力のある場所だと思っていて、小さなお子さん連れの方にもたくさん遊びに来ていただいていますので、楽しく過ごしていただければと思います。夏の期間限定になりますが、噴水を出していたりもしますので、水遊びも楽しんでいただけます。

西東京いこいの森公園
西東京いこいの森公園

ほかにも、「田無」駅から1駅の「西武柳沢」駅近くに「東伏見公園」も整備されていきますので、ぜひお出かけいただきたいです。

――個人的なおすすめのスポットなどがあれば教えてください。

稲越さん 田無は青梅街道の宿場町ですから、歩いてみるといろいろな発見があって面白いんですね。「田無神社」などは江戸時代からの歴史ある神社で、参拝されている方も多い神社です。

成田さん 田無神社と言えば、イチョウの木がご神木ですが、この木は市の文化財でもあり、「西東京市の木50選」にも選ばれていますので、ぜひ見ていただきたいです。隣の総持寺のケヤキも市の文化財かつ50選の木ですし、ほかにも立派な木が市内各地にあるので、巡ってみると楽しいと思います。

東京都西東京市・「西東京市役所 保谷庁舎」
東京都西東京市・「西東京市役所 保谷庁舎」

西東京市役所 保谷庁舎

西東京市まちづくり部都市計画課 都市計画担当主査 稲越亮太さん(左)
西東京市みどり環境部みどり公園課 課長補佐兼係長 成田裕樹さん(右)
所在地:西東京市中町1-6-8(都市計画課)
電話番号:042-464-1311
URL:https://www.city.nishitokyo.lg.jp/sisetu/city/hoya.html
※この情報は2023(令和5)年7月時点のものです。

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