スペシャルインタビュー

ユニークな新聞教育を通して資質や能力を養う「国分寺市立第五小学校」

西国分寺エリアは、JR中央線の利便性を享受できる環境でありながら、自然にも恵まれ、落ち着いた住環境が広がる街。その街に位置する「国分寺市立第五小学校」は、新聞教育に力を入れており、子どもたちが日常的に文字にふれ、物事について考える機会が様々に用意されている小学校です。今回、コミュニティ・スクールとして、地域と日頃から連携の強い同校を訪ね、校長を務める竹泉先生に小学校の取組や地域との関わりについてお話を伺いました。

お話を伺った竹泉校長先生
お話を伺った竹泉校長先生

新聞を読み、考え、書き、発信する「NIE活動」が特徴

――まず、小学校の概要についてご紹介いただいてもよろしいでしょうか。

竹泉先生:本校は、1963(昭和38)年に開校し、2020(令和2)年現在、全校児童数はおよそ440名、各学年2~3学級編成の学校です。教育目標としては、「元気な子、やりとげる子、考える子、思いやりのある子」を掲げています。この春から新学習指導要領が全面実施となり、その中で「主体的・対話的で深い学び」という点が重視されているので、本校の教育目標の中でも、特に「考える子」に重点的に取り組み始めたところです。
本校の取組の特徴として「NIE(Newspaper In Education)活動」が挙げられます。要は、新聞教育ですね。学校教育における新聞の活用に積極的に取り組んでいます。

桜咲く「国分寺市立第五小学校」
桜咲く「国分寺市立第五小学校」

――「NIE学習」とは具体的にどのような活動になりますか?

竹泉先生:具体例のひとつとして、2019(令和元)年度から月に1回実施している「NIEタイム」があります。本校はNIE実践指定校として小学生新聞3紙に加えて、在京5社の一般紙を購読しています。これは東京都NIE推進協議会の協力によるものです。「NIEタイム」では、1・2年生は小学生新聞を、3年生以上は一般紙を使って、それぞれ気になる記事を切り取って、その記事からわかったことや、自分の考えや意見などをまとめる活動をしています。

これ以外にも、授業の中で新聞を活用することにも取り組んでいます。また、自分たちで新聞を作る機会もかなり多く設けています。先生方はそれぞれ学級通信を作っていますし、子どもたちも授業の中で「学習新聞」というものを作っています。「学習新聞」と「学級新聞」については、全国新聞教育研究協議会と毎日新聞社が主催している全国コンクールで賞をいただきました。また、日本新聞協会主催の「いっしょに読もう!新聞コンクール」でも、2018(平成30)年度は優秀学校賞、2019(平成31)年度は学校奨励賞を受賞していますので、新聞教育にはかなり力を入れており、実績もあると言えます。

廊下には様々な種類の新聞が掲示されている
廊下には様々な種類の新聞が掲示されている

担任が作る学級通信のほか、担任以外にも、図工専科が図工だよりを作ったり、学校司書が図書だよりを作ったりと、各担当がそれぞれに通信を出しています。給食だよりや保健だよりなどもあって、どれもかなりクオリティが高いです。
昨年、こういった校内新聞や通信を全部まとめて、公益財団法人理想教育財団が主催する「プリントコミュニケーションひろば」コンクールに応募し、学校賞を受賞しました。新聞以外の様々な通信も含めて、学校全体が高い評価をいただいているということになります。
委員会活動では、健康委員会担当の教諭と養護教諭、そして子どもたちが一緒に作った「健康新聞カルタ」というユニークなものもあります。

――活字にふれる機会が日常的に設けられているのは子どもたちにとってよい環境ですよね。また、子どもたち自身が新聞を作って発信することで、保護者の方にも学校の様子がリアルに伝えられそうな気がします。

竹泉先生:そうなんです。読んで、考えて、書いて、ほかの人に発信して、それをまた読んでもらう、というのが「NIE活動」ですので、子どもたちにもよい影響、学びがあると思っています。
子どもたちが書いた新聞はとても素直で正直ですから、「学校でこういう活動をしているんだな」ということがとても伝わりやすいと思います。

竹泉校長先生
竹泉校長先生

実は昔、私が別な学校で学級担任をしていた時に、毎日手書きの学級新聞を作っていました。この時、子どもたちも喜んで参加してくれて、いきいきと文章を書いたり、書くのが苦手な子はデザイン文字を書いたり、イラストを書いたりしてくれたんですね。友達と協力しながら新聞を作ることで、クラス全体がいい雰囲気になったので、「新聞づくりは仲間づくり」だなと思うようになりました。その経験もあり、現在の五小でもその新聞教育に取り組んでみようと思いました。

地域・保護者と互いに連携、助け合う関係性

――新聞教育以外にも、特徴的な活動があればぜひ教えてください。

竹泉先生:本校は読書活動にもすごく力を入れています。たくさんの児童が学校図書館を日常的に利用していて、本好きの子どもがとても多いです。図書館の前には新聞コーナーも設置して、自由に見られるようになっています。PTAの方が火曜の朝読書の時間に読み聞かせ活動を実施してくださるほか、学期に1回、地域の読み聞かせサークルの方による、語りやパネルシアターなどの時間も設けています。

――地域の読み聞かせサークルの方が来てくださる、というお話に関連して、地域との関わりについてお話を伺っていきたいと思います。HPで「サマースクール」という地域の方々による特別講座があるのを拝見しました。

竹泉先生:夏休みの「サマースクール」では、地域の方が講師になって、様々な講座を開いてくださいます。例えば、元CAの方が英語を教えてくれたり、地域の剣道クラブの方が剣道を教えてくれたり、お茶の点て方を教えてくれたり、といった具合です。内容は年によって異なりますが、毎年かなりの数の講座が実施されています。地域のいろんな方が積極的に関わってくださっていて、「一緒に子どもたちを育ててくれているんだなあ」と感じますね。

新1年生の入学時には、全員に地域の人からのプレゼントが配られる。この折り紙も、そのプレゼントの例。
新1年生の入学時には、全員に地域の人からのプレゼントが配られる。この折り紙も、そのプレゼントの例。

本校は、今年(2020(令和2年))度からコミュニティ・スクールに移行することもあり、地域との連携はこれまで以上に深まってきていると思います。「防災訓練」もそのひとつです。学校、地域、PTAが一緒に取り組んでいるもので、担架の作り方、水の運び方、非常用のろうそくの使い方、火の作り方などを地域の方が先導して教えてくださっています。新府中街道の花壇も、地域の方と本校の子どもたちが一緒になって整備しています。これとは別に、地域の方が「グリーンボランティア」という形で学校に入って、校内の花や緑の手入れもしてくださっています。

――PTAの活動についても教えていただけますか。

竹泉先生:PTAについても、本当に協力的で、とても助かっています。去年の夏の運動会の際には、あまりの暑さに子どもたちの席全てにテントを張ったのですが、この撤収の際にはPTAの方が100人以上さっと集まってきて、あっという間に撤収が完了してしまいました!実はこのテントも、PTAの役員の方が借りる手配と運搬をしてくださいました。2020(令和2)年度は、市内の学校の運動会が同日に重なってしまっていたので、必要数借りられなくて困っていたところをPTAに相談したら、「PTAの予算で買いましょう!」ということで、テントを6張も買っていただけることになりました。子どもたちのことを大切に考えて活動してくださっていて本当にありがたいですし、恵まれた地域だと思っています。

地域の方々による見守り運動も盛ん
地域の方々による見守り運動も盛ん

――今後、地域にとってどんな学校でありたいとお考えですか。

竹泉先生:本校は、本当に地域から愛されて、支えてもらっている学校ですので、今のままの形で、より一層、地域との関係が深まっていけばいいなと思っています。一方で、小学校は災害時の避難所、地域の安全拠点という一面もありますから、地域のために、防災面の機能もより充実させていきたいですね。
昨今は「地域意識」が希薄な子どもたちが増えていると思いますが、「自分たちも地域の一員なんだ」という自覚をもってもらいたいと思います。そして、成長した時に、地域の一員として学校に何かを還元してくれたり、地域のために活動したりすることができるような、そんな子どもたちを育成できればと思っています。

――ありがとうございます。最後に、地域のおすすめのスポットを教えてください!

ひとつは「エックス山(西恋ヶ窪緑地)」ですね。本校から歩いて7、8分ほどのところにあります。授業で植物を探したり、カブトムシやクワガタを採ったり、という機会もあり、子どもたちも大好きな場所です。この間は、近くの畑で子どもが「おけら」を捕まえたのを見せてくれました。そういう生き物もまだたくさんいるので、自然に恵まれている地域だと思います。「武蔵国分寺跡」もいいところですよ。今でも、地面を見ると昔の瓦が落ちていたりするんです。この2か所にはぜひ足を運んでいただきたいですね。

「武蔵国分寺跡」
「武蔵国分寺跡」

「西国分寺」駅周辺も、最近おしゃれなお店が増えておもしろいですね。「西国分寺」駅は、カラーの強い「国立」駅と「国分寺」駅の間に位置していて、目立たない駅かもしれませんが、だからこそ両方の良さがあるというか、昔からのお店も、新しいお店もバランスよくあって、散策のしがいがあるおもしろいエリアだと思います。また、国分寺市では国分寺市内の農家が作った野菜を「こくベジ」としてアピールしていて、本校の給食でもよく出しています。地元の新鮮な野菜もおいしくておすすめです。

――ありがとうございました!

竹泉校長先生
竹泉校長先生

国分寺市立第五小学校

竹泉稔校長先生
所在地:国分寺市日吉町1-30-5
電話番号:042-322-0045
URL:http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/kurashi/1012309/1008644/1001223/
ブログ:http://kokubunji5sho.blogspot.com/?m=1
※この情報は2020(令和2)年3月時点のものです。