地域との連携と協力で、楽しいイベントも盛りだくさん!「国分寺市立第九小学校」

国分寺市はすべての公立学校に数字を冠している市で、市内には第一から第十までの小学校、第一から第五まで5つの中学校があります。今回訪れたのは、そのうち新しいほうから2番目の小学校となる「国分寺市立第九小学校」。学校があるのは恋ヶ窪駅から南へ徒歩5分ほどの閑静な住宅街の中。ここに約500名あまりの子どもたちが学んでいます。

2023年春に校長として赴任された宇田川真先生を訪ね、学校の特徴と重点的に取り組んでいること、地域との関わり、西国分寺エリアの魅力などについてお話を聞いてきました!

校長 宇田川真先生
校長 宇田川真先生

1971(昭和46)年に開校した「国分寺市立第九小学校」

――まずは、「国分寺市立第九小学校」の概要、歴史について教えてください。

宇田川先生 本校は開校してから今年で52年目になります。今年度は17学級、子どもの数が550人くらいということで、市内では中くらいの規模です。

私は今年赴任したばかりなので、歴史についてあまり詳しいお話はできないのですが、前の校長先生からはその歴史の中で、地域と密着型の教育を行ってきたということは聞いております。実際に私自身もここに来てみて、地域がとても安定していますし、子どもたちも素朴ですごくいい子たちが多く、非常に活気のある学校だなあ、と感じています。

――特に力を入れて取り組んでいる学校運営・教育活動などを教えてください。

宇田川先生 学校目標に掲げているのは、「深く考えて行動する子」「思いやりのある子」「健康で明るい子」という3つの言葉になりますが、今年度は特に、「思いやりのある子」ということでテーマを決めまして、重点的に取り組んでいるところです。

教育目標は「深く考えて行動する子」「思いやりのある子」「健康で明るい子」
教育目標は「深く考えて行動する子」「思いやりのある子」「健康で明るい子」

「国分寺学」で地元を知り地域と連携

学習面に関しては、今年度から「国分寺学」ということで、国分寺の歴史、文化、産業、地元で採れる野菜「こくベジ」、そういったところに力を入れて学習できるように、いろいろな下地作りを始めてます。これは来年度からの本格実施になりますが、下地としてコミュニティスクール(CS)との関係を作ったり、学校農園を地域に借りたり、といった具合ですね。

また、近年はコロナの影響などもあり、学校に登校するリズムに合わない子や教室になかなか居られない子なども、出てきているケースもあります。こういったことには、やはり、「子どもの居場所」をしっかり作ってあげることが大切ですので、先生方にお願いをして、個々に応じた、きめ細かな対応を心がけています。また同時に、保護者との連携も大事になってきますので、同様に力を入れています。

東京都国分寺市・「国分寺市立第九小学校」
東京都国分寺市・「国分寺市立第九小学校」

「異学年交流」や「あいさつ運動」を通じて思いやりを育む

――「思いやりのある子」の育成に関して、具体的にどんな実践をされていますか?

宇田川先生 象徴的なのは「たてわり」の活動かと思います。異学年交流をすることによって、下の学年に対しての接し方、逆に、上の学年に対する接し方も学ぶことができますので、この活動には力を入れて取り組んでいます。あとは、道徳等の授業で「いじめ」の問題は必ず取り上げるようにしていて、授業の中にしっかりと組み込むようにしています。

日々の活動の中では、「あいさつ運動」が大きな活動になります。「ふれあい月間」という期間が6月と11月にありまして、その間に児童会が中心になって「あいさつ運動」をしていますが、各担任もクラスの中で挨拶の励行を呼びかけたりと、大人も子どもも一緒になって、あいさつの運動には取り組んでいます。

――ICT機器の導入状況についてはいかがでしょうか。

宇田川先生 国の「GIGAスクール」の関連で、すでにひとり1台のタブレットが渡っていますし、先生方ももう、授業の中でごく当たり前のようにタブレットなどを駆使して、授業に活用していますね。1年生からキーボード操作やタイピングも授業の中で取り組んで、計画的にスキルアップを図っています。

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――音楽や芸術についても、熱心な取り組みをされていると聞きました。

宇田川先生 本校は伝統的に、「ジュニアバンド」がさかんな学校です。ジュニアバンドというのは、金管も木管も含めたブラスバンドになりますが、4年生以上の有志が集まって、中学校の部活のような形で、放課後、朝、時には土曜日なども音楽専科の指導のもとで練習をしていまして、たびたび披露もしています。

今年度は4回の本番がありまして、この秋にも「けやきフェスタ」「公民館まつり」「中央地区まつり」といった場で披露する予定です。地域の方にも聞いていただけるような活動になっているのかな、と思います。

これに関しては、音楽専科の先生が非常に熱心にやってくださっていて、その力が大きいわけですが、クラスの担任の先生たちも子どもたちの頑張りを応援したり、時には具体的な指導を手伝ったりという感じで取り組んでいます。

――小中連携の取り組みについてお聞かせください。

宇田川先生 小中連携については、この学区は「一中」の学区になりまして、本校のほかに五小、三小と一緒に連携に取り組んでいます。その4校の間で、年に3回程度(教員が)授業を見合ったりしていまして、この6月には一中に行って授業を見て来ましたし、10月には本校でも行う予定です。

今後「国分寺学」に関連させた小中連携を進めていく方向で、今年はそれぞれの学校で国分寺学の新しい形の授業を考えて、授業見学ではそれをお互いに見て、今後どうやって連携させていけるのか、ということをやろうとしています。

今はまだスタートしたばかりで、今後どう具体化できるかは未定ですが、今後は国分寺学を通して小中の子どもたち同士の関わりも出てくるのではないかな、と期待しているところです。

地域の方々やCS主導で行われる「わくわく学校」などイベントも盛りだくさん

――課外活動や行事について、特徴的なもの、特に盛り上がるものがあれば教えてください。

宇田川先生 一つは、夏休みに行っている「わくわく学校」でしょうか。これは地域の方々、CSの主導という形でやっている行事で、公民館、学校、CSのほうで講座を設けて開催しています。

今年、地域の方が関わってくださった部分では、「音楽特別講座」「ハンドメイド講座」「畳を学ぼう」「親子料理教室」「折り紙教室」「草花でのたたき染め」「あやとり・けん玉教室」の7講座です。ほかにも先生方が受け持ってくれた講座に、イラスト講座とか、白玉団子を作るとか、いろんなユニークなものがありまして、子どもたちはすごく楽しそうに取り組んでいましたね。畳作りなんてかなり本格的で、イグサから実際に小さな畳を作ったりしたんです。

夏休みの「わくわく学校」では「畳を学ぼう」など、地域の方々による様々な楽しい講座が開催される
夏休みの「わくわく学校」では「畳を学ぼう」など、地域の方々による様々な楽しい講座が開催される

それから、これは私も未経験なのですが、3月に「みんなスマイルきゃんCANキャンプ」という学校キャンプを行っています。これは学校にみんなで一晩泊まるというイベントになりますが、こちらもCSが関わってくださっていて、キャンプファイヤーをやったりと、子どもたちも非常に楽しみにしているイベントになります。

ほかにも、10月下旬に「ハロウィンウォーク」というものがあります。これはもともと「ピーポ君の家」(子ども110番の家)が地域にたくさんありますので、そこを見つけようという活動からスタートしたもなのですが、最近、それをハロウィンと絡めてイベント化したもので、これもCSが主催でやってくださっています。

盛り上がる学校行事ということでは、運動会もとても盛り上がっていましたね。展覧会、学芸会、音楽会が3年ごとのローテーションでして、これももちろん、子どもたちはすごく楽しみにしています。

地域の方々の協力もあり心強く有り難い、落ち着いた子育て環境

――地域住民の協力があって、いろんな楽しいイベントが開催できているのですね。ほかにも、行事以外の部分で地域の方との関わり・交流などがあれば教えてください。

宇田川先生 ひとつは、「スクールサポーター」としての関わりですね。地域の方が、学校に対するいろいろな支援をしてくださっています。たとえば、ちょっと課題がある子に付き添っていただいたり、2年生が「街たんけん」に行く時に、先生だけでは目が届かないので、何人か一緒に行っていただいたり、という感じです。もうこの学校にお子さんがいらっしゃらない、ベテランのお母さんなども積極的に関わってくださっています。

校章は「知・徳・体」を意味する3本の鍬。創立40周年を記念し、地域の方々によって創られたオブジェ
校章は「知・徳・体」を意味する3本の鍬。創立40周年を記念し、地域の方々によって創られたオブジェ

――西国分寺の子育て環境について、どのような点が魅力だとお感じですか?

宇田川先生 西国分寺という街は、先ほどもお話しした通り、「地域がとても安定している」ということが、一番の魅力だと思っています。子どもたちも落ち着いているし、保護者の方も協力的ですし、地域とのつながりも深くて、子どもたちにを育てる環境としては、本当に心強い、有り難い地域なのかなと思います。

もちろん、交通の便も非常にいい地域ですので、大人も働きやすく、子どもたちは学びやすく、かといって、すごく近代的というわけではなくて、山があったり林があったり、畑があったりと、自然もよく残っています。市内にはカワセミが見られる池もありますし、学校の林でクワガタなんかも捕れるんですよ。地域も、行政側に関しても、「自然や文化を守ろう」という気運があって、そういった点も素晴らしいと思います。

校長 宇田川真先生
校長 宇田川真先生

国分寺市立第九小学校

校長 宇田川真先生
所在地:東京都国分寺市西恋ケ窪4-12-6
電話番号:042-322-0049
URL:https://www.city.kokubunji.tokyo.jp/kurashi/1012309/1008644/1001227/index.html
※この情報は2023(令和5)年10月時点のものです。