居場所を提供し、情報を発信!調布市で子育てする人に寄り添う「NPO法人 ちょこネット」

京王線「調布」駅から徒歩約3分。ロータリーに面したビルの中に、子育てカフェ「aona」と調布子育て応援サイト「コサイト」の編集部がある。運営するNPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネットの理事長を務める竹中裕子さんに、「aona」や「コサイト」の取り組みや想い、調布の子育て環境などを伺った。

「NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット」理事長 竹中裕子さん
「NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット」理事長 竹中裕子さん

役立つ情報が満載!遊び心あふれるサイト

――まずは、調布子育て応援サイト「コサイト」の立ち上げの経緯についてお聞かせください。

竹中さん:子育て支援を行う任意団体として2年ほど活動した後、2013(平成25)年に「NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット」(以下ちょこネット)を設立。2014(平成26)年に市から子育て応援サイトの管理運営者に採択され、2015(平成27)年に「コサイト」を開設しました。

調布子育て応援サイト「コサイト」TOPページ
調布子育て応援サイト「コサイト」TOPページ

地域の人たちを中心にしたプロジェクトチームで、どんなサイトを作るか1年以上かけて考えました。たとえばデザインについては実際に子育て中の人たちからも「尖っているよりホッとする感じにした方が、調布らしい」という意見をいただき、現在のゆるっとした雰囲気に落ち着きました。

ページ最下部のイラストは、調布市の風景が描かれています。たとえば「深大寺」、「調布市文化会館たづくり」、「味の素スタジアム」や「調布飛行場」など調布を象徴するコンテンツのほか、住宅街の中に畑や学校があり、多摩川の向こうには富士山と読売ランドが見えるところなど、調布という街の雰囲気が絶妙に表現されています。

調布のまちをイメージしたイラスト
調布のまちをイメージしたイラスト

竹中さん:このイラストの中には、調布でたくさん採れる小松菜をモチーフにした小松さん、野川沿いを散歩していそうな野川さんなど、「コサイトの住人」が全員いるので、よかったら探してみてください。キャラクターを含めこのイラストは私たち編集部の宝物です。

サイト内のあちこちで見かける「コサイト」の住人
サイト内のあちこちで見かける「コサイト」の住人

――サイトの維持管理について、発信内容についてお聞かせください。

竹中さん:サイトの立ち上げに際しては「調布市子ども・若者基金」の助成がありましたが、サーバー維持費やシステム管理費などは基本的に自分たちで賄っていかなければなりません。そこで最初はコラムを毎週更新し、子育て世帯の力になりたいという私たちの想いを伝えながら、同時に運営サポーターの募集にも力を入れました(現在も引き続き募集中)。サポートしていただいている事業者、個人のみなさまには、その事業をPRしていただく広告として利用いただくと同時に、協賛金の一部を運営管理に充てています。

楽しく読めるコラムも充実している
楽しく読めるコラムも充実している

竹中さん:編集部のメンバーは10人ほど。で、全員子育て中のママで、それぞれの事情に合わせた働き方(業務委託)で関わってもらっています。

そんな当事者目線を活かし、コサイトでは子育て世帯に役立つ地域の情報、産前産後の行政サポート情報などを掲載しています。特に充実しているのは「まち情報」で、保育園や幼稚園などの子育て関連施設を中心とした施設の紹介記事を800件ほど(2024(令和6)年3月現在)掲載しています。また、コサイトサポーターの依頼を受けてニュースやイベント情報を作成して掲載、動画の制作も行っています。

赤ちゃんお出かけ安心マップ」のように調布市からの委託を受けて行っている事業もあります。現在は児童館や飲食店など80件ほどが登録されていて、外出時にそのお店や施設を利用していなくても、おむつ替えや授乳ができる場所の様子を写真で確認したり、地図上で探せるようになっています。

紙でも地図などに記し、情報発信を行う
紙でも地図などに記し、情報発信を行う

赤ちゃん連れでも気兼ねなく利用できる場に

――本日お伺いしている子育てカフェ「aona」も、ちょこネットさんの運営ですよね。オープンからだいぶ経って、地域に溶け込んだのではないかと思います。改めて開店の背景や概要を教えてください。

竹中さん:「aona」は調布市の子育て支援施設「こどもとフラット」内にあり、その施設の子育てカフェ運営事業者にちょこネットが選定され、2015(平成27)年にオープンしました。椅子やテーブルには、周辺の再開発などで伐採された木々が使われています。27畳の座敷とフローリングの店内は靴を脱いで上がるので赤ちゃんがハイハイしても気になりません。イベントの企画・開催をサポートするサロン事業では、イベントの主催者の活動の場、乳幼児親子が楽しめる場として多くの方が利用しています。

また、店内入口付近には物販コーナーもあり、調布にご縁がある作家さんの手作り商品を中心に販売しています。

髪留めや木製スプーンなど、ハンドメイド商品が並ぶ物販スペース
髪留めや木製スプーンなど、ハンドメイド商品が並ぶ物販スペース

――「aona」の開店当時から現在に至るまで変化があれば、教えてください。併せて利用者層や利用者の声もお聞かせいただけますか。

竹中さん:改めて、飲食店の経営はプロがしのぎを削る厳しい世界だと痛感しました。メニューや飲食の提供時間、サービス内容を何度も見直し、現在では飲食提供はランチタイムのみとし、スマートフォンによるセルフオーダー、配膳や下膳にご協力いただくセルフサービスを導入しています(小さい赤ちゃん連れなどの場合は、スタッフが対応)。しかし、日々子育てに頑張るお母さんたちがひと息つける場所であることに変わりはありません。ちょっとくらい子どもが泣いたり騒いだりしても大丈夫。まわりに気兼ねせずに肩の力を抜いて過ごせる場であり続けるために努力しています。

ちなみに、セルフサービスにご協力いただいた方には都度、コインを1枚お渡ししています。利用ごとに獲得したコインは、デジタルポイントカードに1枚1ポイントが付与される仕組みで、50ポイントたまるとお食事1回分をプレゼントしています。このコインは子どもたちにも人気。コインがほしくて、積極的にお手伝いしてくれるのも微笑ましくてかわいいです。

赤ちゃん連れにうれしい畳のスペース
赤ちゃん連れにうれしい畳のスペース

竹中さん:スタッフとお客様の間でもちょっとした会話や交流が生まれています。たとえば、第一子だとどうしてもお世話にも慣れていないし、赤ちゃんが泣き出すと食事どころじゃないですよね。そんなとき、状況次第で手があれば、スタッフが少し抱っこさせていただくこともあります。ほんの数分ではありますがその間にお食事を急いで済ませたお母様が「ありがとうございました。久しぶりにゆっくり食べました」なんておっしゃるのです。ほんの少しのサポートではありますが、「aona」のスタッフたちの子育て中の方たちに寄り添う気持ちはより深まった気がしています。

――「aona」では毎月さまざまなイベントを開催されていますね。「コサイト」などにもいろいろ掲載されています。どんな内容が人気でしょうか。

竹中さん:「aona」では毎日のようにイベントが行われています。たとえばヨガやピラティスなどのエクササイズ系や、ベビーマッサージや撮影会、座学系のほか、親子で楽しめるコンサートやリトミックも人気です。

定番イベントのひとつは、食事をしながら無料で楽しめる「aonaシアター」。12時半から20分程度のプログラムで、ボランティアによる読み聞かせや手遊び、楽器演奏などが行われます。

「aona」のエントランス。ベビーカーでも楽に出入りできる。
「aona」のエントランス。ベビーカーでも楽に出入りできる。

竹中さん:また、「コサイト」編集部主催の「おしゃべり会」もあります。「コサイト」の利用者さんがリアルにつながる場で、編集部のメンバーも参加。生後2、3か月ぐらいから2歳ぐらいまでのお子さんを持つ方が多く、子育て広場のこと、幼稚園や保育園について話すことも多いです。出産を機に初めて地域に目が向く人が多いので、そういう方が地域とつながるきっかけになればと始めました。帰りに参加者同士で一緒にランチを食べに行くこともあるようです。「ゆるい雰囲気が良かった」などのお声をいただいています。

都市の利便性と人を癒す自然がコンパクトにまとまった調布

――開発が進んだ調布市ですが、子育て環境に変化はありましたか?改めて、調布市で子育てをする魅力をお教えください。

竹中さん:2017(平成29)年に映画館が入った「トリエ京王調布」ができて、一気に駅前がにぎわいました。駅前広場や、昨年閉鎖されてしまいましたが「トリエ京王調布」さんが管理していた「てつみち」ではさまざまなイベントも開催され、多くの親子連れが訪れていました。

「トリエ京王調布」
「トリエ京王調布」

竹中さん:調布は電車が東西に走っていますし、電動自転車があれば東西南北、端から端まで移動できちゃいます。踏み切りがほとんどなくなって線路による分断も解消され、人々が自由に回遊しています。また「調布」駅近くに「調布市役所」や図書館、「調布市グリーンホール」などの施設もあり、何かと便利です。このコンパクトさ、移動のしやすさが子育てしやすさ、住みやすさにつながっているのではないでしょうか。

京王線をはさんで北側には「深大寺」と「神代植物公園」、南側には花火大会も行われる多摩川河川敷もあり、おでかけ先には事欠きません。自然も豊かで、たとえばお散歩やお花見が楽しめる野川は調布市民の癒しの場です。

野川の桜
野川の桜

竹中さん:最近では、地域の若いお父さん、お母さんたちが集い、思い思いに活動する人たちが増えたと感じています。空き家を活用した居場所の企画運営など行政との協働事業に加え、民間の事業者による子育て家庭向けの居場所も生まれています。

――これから取り組む予定の計画やイベントなどがあればお教えください。

竹中さん:「ちょこネット」は、生きづらさを抱える若年層を支援する調布市の「子ども・若者支援地域ネットワーク」の一員でもあり、子どもの不登校や引きこもりや、LDなど発達障害に関する記事も取材、執筆・掲載しています。「コサイト」は地域のイベント情報などが常に更新されている、気楽に楽しく閲覧できるサイトですが、同時に福祉的な視点も持ち、少しでもお役に立てたらと考えいます。

――これから調布市での暮らしを考えられている方々へ、メッセージをお願いします。

竹中さん:子育てに限らず、調布には魅力的な地域活動をしている方たちがたくさんいらっしゃいます。そんな活動に目を向けてつながってみたら、思いがけず楽しいこともがあると思います。

 

 

コサイト統括編集長(ちょこネット理事長) 竹中 裕子さん
コサイト統括編集長(ちょこネット理事長) 竹中 裕子さん

NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

コサイト統括編集長(ちょこネット理事長) 竹中 裕子さん
所在地:東京都調布市布田4-17-10 セントラルレジデンス調布2階 カフェ「aona」
電話番号:042-426-8287
FAX:042-444-8356
URL:https://cosite.jp/
※この情報は2024(令和6)年3月時点のものです。

 

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