豊島区都市整備部都市計画課インタビュー

“アフター・ザ・シアター”を実現できる街へ。北口再開発がはじまる大塚駅周辺エリア

2017(平成29)年にオープンしたJR「大塚」駅南口の駅前広場「トランパル大塚」に続き、2019(令和元)年8月より北口の再開発事業も動き出す豊島区大塚エリア。文化を基軸にしたまちづくりに取り組む豊島区の“国際アート・カルチャー都市構想”では、夜でも安全・安心して楽しめる“アフター・ザ・シアター”を実現できる街としても注目を集め、歴史ある街に大きな変化が訪れている。今回は大塚駅周辺のまちづくりに携わる豊島区都市整備部都市計画課拠点まちづくりグループの活田啓文さん、庄司浩典さんにお話を伺い、まちづくりの現状について教えていただきました。

「大塚」駅北口整備イメージ・夜(提供:豊島区)
「大塚」駅北口整備イメージ・夜(提供:豊島区)

人口29万人を突破。「住みたいまち・訪れたいまち・選ばれるまち」を目指した豊島区の取り組み

――まず、豊島区の概要(人口、最近の動向)について簡単にご説明をお願いいたします。

活田さん:豊島区の人口は2019(令和元)年6月1日現在29万人を超えており、過去5年間の推移を見ると増加を続けております。

その背景として2014(平成26)年に日本創成会議が公表した“消滅可能性都市”に23区で唯一豊島区の名前が挙がり、将来的な人口減少という課題を直視したことで、ピンチをチャンスに変えるさまざまな取り組みが行われるようになりました。

例えば子育て世帯に向けた待機児童対策もそうですし、女性の視点に合わせたまちづくりも進められ、「住みたいまち・訪れたいまち・選ばれるまち」にしていこうと。その結果、2017(平成29)年、2018(平成30)年と待機児童ゼロを達成し、「日経DUAL」の「共働き子育てしやすい街ランキング2017」では総合1位に選ばれました。

また世界を視野に置いたまちづくりを展開するうえで、文化を基軸にしたまちづくりが豊島区の将来像に相応しいということで、“国際アート・カルチャー都市構想”も進められています。

左:庄司さん、右:活田さん
左:庄司さん、右:活田さん

夜でも安全・安心な“アフター・ザ・シアター”を実現できる街

――大塚駅周辺のまちづくりについて、経緯また背景について教えてください。

活田さん:“国際アート・カルチャー都市構想”を実現する取り組みのひとつに、“豊島区アフター・ザ・シアター”と名付けられたまちづくりの新しいアプローチが打ち出されました。

アフター・ザ・シアターとは、アートやカルチャーを観劇、鑑賞した後もその余韻を楽しめる場と仕組みづくりが必要ではないかという観点から、夜でも安全・安心に楽しめるサードプレイスの実現を目指したものです。

大塚は池袋の隣駅で、味わいのある地元のお店や特徴のあるホテルが立地するため、アフター・ザ・シアターを楽しめる方向性のある街としての議論が進められています。

まずは大塚の夜の街をどう楽しんだら良いのか、各分野の専門家を招いて懇談会を開いたり、大塚でシンポジウムを開催したりして情報交換をしてきました。

また同時に必要なのはハード面の都市整備ですね。大塚の街に大きな変化が訪れたのは今からちょうど10年前の2009(平成21)年に、JRの駅舎がリニューアルされ南北をつなぐ自由通路が生まれたことです。それによって分断されていた南北の街が繋がり現在進められている再開発の契機となりました。

「大塚」駅南口広場「トランパル大塚」
「大塚」駅南口広場「トランパル大塚」

「明るくして欲しい」。北口の再開発に際して地元からの要望

――再開発によって街はどのように変わっていくのでしょうか?

活田さん:行政として大塚のまちづくりに関わるようになったのは今から15年ほど前のことで、自由通路ができる前から地元住民の方と一緒になって検討を進めてきました。

まず2009(平成21)年に自由通路が開通すると南北の交流が盛んになりました。続いて2017(平成29)年に南口広場の「トランパル大塚」が整備され、年間40件ほどのイベントやラジオ体操など、地域の方の憩いの場として賑わいを醸し出しています。

一方、北口はしばらく手付かずの状態だったのですが、地元商店会や町会の皆さんと話をする中で、北口も整備をしていこうと言う話になり、2022(令和4)年の事業完了を計画としてこの夏から工事がはじまります。

「大塚」駅北口整備イメージ(提供:豊島区)
「大塚」駅北口整備イメージ(提供:豊島区)

庄司さん:北口の再開発に際して地元の方から要望があったのは「明るくして欲しい」ということでした。駅前は木が鬱蒼としていて暗いイメージがあり、かつ夜も賑わいのあるエリアということもあり、まずは安全・安心を優先して明るい開発をしようと、駅前を明るく変えていこうというところからスタートしました。

完成後のイメージは豊島区のホームページからもご覧いただけますが、地元の方と協議をする中で、“光のファンタジー”をテーマに整備が進められることになりました。

ヒマラヤ杉を囲むタクシープールの屋根は大塚のO(オー)で、山手線からもその光を感じられるようにしたり、中央の幾何学的なモニュメントも光を放つデザインで、2020(令和2)年のオリパラまでには完成させる予定です。

「大塚」駅北口整備イメージ(夜)(提供:豊島区)
「大塚」駅北口整備イメージ(夜)(提供:豊島区)

まちづくりで連携する「OMO5 東京大塚」の存在

――2018(平成30)年にオープンした星野リゾート「OMO5 東京大塚」との関わりは?

活田さん:「OMO5 東京大塚」がオープンしたのは2018(平成30)年5月9日で、北口の再開発について協議を進めていたその矢先の出来事でした。

星野リゾートの星野代表には後日庁舎にいらしていただいて、「連携していきましょう」というお話しになりました。最初に挙がった具体的な話としては、「OMO5」の近くにあった駐輪場を廃止して、そこを広場化しようというものでした。もちろん「OMO5」のお客さんも使えるような空間として整備しました。

それ以来、駅前の開発に際して「OMO5」さんに意見をいただいたり、メディアでも数多く取り上げられた「OMOレンジャー」によって大塚の街の魅力を内外に発信してもらいました。よく聞かれることですが「OMOレンジャー」は行政主導の取り組みではないんです。そこが素晴らしいですよね。

街のガイドとして案内する情報はレンジャー自らお店に通って蓄積したもので、その内容がまたすごいんです。「OMO5」がオープンする前からお店に通って関係を築いたと聞いています。

自分たちの目線でお店を選んで紹介しているからこそ、それを聞いている人も共感するのではないでしょうか。ある意味、行政が関わっていないから成り立っているんだと思います。我々が関わるといろんな関係性もあり、あえてこちらからはアプローチしていませんし、「OMO5」さんからも特に要求はありません。おたがい良い距離感を保ちながらやっているところです。

活田さん
活田さん

子育て世帯に多く住んでもらうための必要な施策を講じる豊島区

――住み続ける街としての大塚の魅力は?

活田さん:再開発という観点で大塚が注目を集めるのは駅前なんですけど、後背地は歴史のある閑静な住宅地で、住環境としては区内でもある程度整備されているという認識です。

再開発によって駅前にワンルームマンションが数多く出来ると地域の世帯構成が変わってくる可能性はあるのかなとは思いますが、豊島区では30平米未満のワンルームマンションについては税金をかけることで一定の抑制をかけています。

その地域にワンルームが多くあれば単身者が増えるし、ファミリー向けが多ければそういう人たちが来るというのが通例なので、子育て世帯に多く住んでもらいたい豊島区としては、大塚の街の雰囲気を明るくするのと同時に、その受け皿を増やすことも重要なので両方からアプローチしています。

また区全体の話ではありますが、待機児童ゼロを継続しているのも子育て世帯には重要なメッセージで、この新庁舎もそうですけど、公共空間とか開発でビルを建てるのであれば保育所、子育て施設を必ず入れてくださいとお願いしています。

再開発による新たな変化と、地元愛にあふれた人々の魅力

――最後に、「大塚」駅周辺に居住を検討されている方にメッセージをお願いします。

庄司さん
庄司さん

庄司さん:「大塚」駅周辺は、自由通路が開通して、南口が整備され、これからはオリパラに向けて北口も変わっていきます。明るい街になりますし、ぜひ大塚に住んでいただければと思います。

活田さん:都電の脇に植えられているバラは、もともと地域のみなさんが取り組みはじめたことなんですよね。途中から行政も一緒になって都電とバラのある街並みを作り上げてきましたが、維持管理は今でも地元の方にやっていただいています。大塚は、地元の人たちが本当に街を愛しているんだなというのを実感しますね。

豊島区役所
豊島区役所

豊島区都市整備部都市計画課拠点まちづくりグループ

活田啓文さん 庄司浩典さん
所在地 :豊島区南池袋2-45-1
電話番号:03-4566-2640
URL:http://www.city.toshima.lg.jp/294/kuse/shisaku/shisaku/kekaku/001367/index.html
※この情報は2019(令和元)年6月時点のものです。