スペシャルインタビュー

キリスト教信仰にもとづく、多岐にわたる教育の可能性を追究する「青山学院大学」

渋谷にありながら、都会の喧騒を感じさせない落ち着きあるキャンパスが魅力の「青山学院大学 青山キャンパス」。お洒落で華やかなイメージ通りの一面もさることながら、各学問分野での研究にも注力する“研究力”のある私大でもある。近隣大学との連携や地域の方々に向けた各種公開講座など、近年は“開かれた大学”を目指してさらなる進化を遂げている。今回は、現在学長を務める三木義一教授に学院の歴史や強み、今後についてお話をうかがった。

三木学長
三木学長

キリスト教信仰にもとづく教育を軸に据える総合大学

――まず、「青山学院大学」の沿革や歴史について教えてください。

三木学長:本学は、明治時代にアメリカのメソジスト監督教会が派遣した宣教師たちによって創設された3つの学校が源流となっており、現在は幼稚園から大学、大学院までを持つ総合学園となっています。キリスト教信仰にもとづいた教育を行っていますが、もちろんそれ以外の宗教を信仰している学生も多くいますので、信仰による垣根というものは一切ありません。 本学は、この青山キャンパスのほかに、相模原にもキャンパスを擁しています。学部は、現在11の学部があり(2019(令和元)年9月現在)、それぞれの学部が優れた研究成果をあげています。そのうちの「コミュニティ人間科学部」は、2019(平成31)年4月に開設された新しい学部で、他の大学にはなかなかないユニークな教育内容かと思います。

正門
正門

また、本学に対して、“文系の大学”というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、理系の学部もありますので、“総合大学”としての強みを生かすために「青山スタンダード」という本学独自の全学共通教育システムがあります。これは学部の枠を超えて、共通の教育カリキュラムを受けられるというもので、そういった点からも、学際的に他学部生との交流機会を豊富に持つことができる環境が整っている大学です。

地域を愛し、愛される大学へ

――多くの人々が行き交う都心にある大学として、「街にとってこういう大学でありたい」という思いがありましたら教えてください。

三木学長:実は少し前まで、この「青山学院大学」というのは、「渋谷の地にあるけれども、地元との交流はあまりない」と言われているような大学だったんです。それが今では、「地域の人々や社会に支えられて大学は存在できている」という考え方になってきたわけですが、その転換点になったのは、東日本大震災の時だったんですね。 ご存知の通り、その時には多くの方々が帰宅できない状況になっており、その際本学は学内を帰宅困難者受け入れのため、開放しました。渋谷区はあくまで「区民のために開放する」という形をとったこともあり、本学には帰宅困難な渋谷区民以外の方々も含め、体育館がいっぱいになるほどの状況でした。こういった(弱者救済という)ことは、「青山学院大学」が大事にしているまさに“精神”でもあるということで、大学としての方針が少しずつ変化するひとつのきっかけになりました。

三木学長
三木学長

近年は、渋谷区にある國學院大学、聖心女子大学、実践女子大学と本学を含める4つの大学同士の連携も始めています。まずは、せっかく近くにある大学同士、お互いの交流を深める目的で相互に講演会を開くことから始めています。地域の方々との交流も増え、たとえば、商店街の方と協力して、本学が箱根駅伝で優勝した時には、渋谷の街でパレードをさせていただきました。そういったことを通して「青山学院大学という大学がこの街にある」ということを、多くの人々に知っていただき、地域の方々と学生との交流も増やしていきたいと思っているところです。

――ほかにも、地域の方々と関わる機会や取り組みなどがありましたら教えてください。

三木学長:本学には「ボランティアセンター」がありまして、そこで学生が渋谷区の地域の清掃活動や、教育関係のボランティアに企画段階から携わる活動をしています。キャンパスの向かい側には以前「こどもの城」という施設があったのですが、そこで活動していた「こどもの城合唱団」という合唱団が今も存続していますので、その練習場を提供し、コンサートも大学の礼拝堂で開催しています。また、11月に開催される学園祭には毎年何万人もの方々が来場されます。ぜひ、地域の皆さんにはこちらにも顔を出していただけると、大変うれしく思います。

ガウチャー記念礼拝堂
ガウチャー記念礼拝堂

――社会人講座として、「公開講座」と「青山アカデメイア」を開講されていますね。こちらについてご紹介いただけますか。

三木学長:「公開講座」というのは、地域の方々、あるいはそれに限らず広く一般の人々に対して、大学の研究内容の一部を無料で提供しているものでして、市民のための無料の公開講座、教養講座のようなものにあたります。内容も一般的なレベルの講座が多いです。

これに対して、「青山アカデメイア」というのは主に社会人を対象としていて、より深い内容を勉強したいと考えている方々に向けて、有料で開講しているものです。こちらは「公開講座」と比較すると内容がより専門的で、レベルも高くなってきます。たとえば、本学のアカデメイア講座のひとつには東京外国語大学と共同で開講している「司法通訳養成プログラム」があります。東京外国語大学は学べる外国語の数においては日本でトップクラスの大学で、英語以外の様々な言語を扱われているわけですが、法律関係の学部は持たれていません。そこで(法律に強い)本学と(外国語に強い)東京外国語大学が連携して、両者の強みを組み合わせた講座を開けば、そこで学んだ方たちがいずれ司法通訳として活躍してくれて、これまで言葉の壁で困っていた人たちが、かなり救済されるのではないか、と期待をしています。

三木学長
三木学長

また、本学は立地が良いこともあり、もっと勉強して教養を深めたいという意思を持った社会人層の方々がいらっしゃることが多いですね。近年は“リカレント教育”といったワードも非常に注目されていますので、本学でそのモデルを作り出せればと思います。そういった方々のニーズも受けながら、“第二の大学”と言えるような居場所を、これらの取り組みで整えていきたいです。

インターナショナルな環境の下、未来を切り拓く人材育成も

――国際教育についても積極的に取り組まれていらっしゃいますね。留学生の数は学生のうちどのくらいの割合を占めるのでしょうか?

三木学長:長期で日本に留学に来ている外国人学生は、2019(令和元)年5月現在463名という数字になっています。本学には現在、大学と大学院合わせて約1万9千人の学生がいますので、その中で占める比率としては数%程度であり、まだまだ少ない数字だと思っています。今後は留学生の数も増やしていきたいと考えています。

授業風景
授業風景

――英語で開講する授業の数も増えているのでしょうか。

三木学長:そうですね。ここ数年でかなり増えています。英語講義科目の専門科目数を現在の約200から、2024(令和6)年までに300に増やそうという計画もあります。今後、日本の企業がますますグローバル化すれば、様々な取引が一層国際的なものになってきますから、世界の共通言語としての英語がより重要になってくると思うんですね。 本学には、「青学の学生は英語ができるはずだ」というイメージもあります。一方で、実際には英語に苦手意識を持つ学生もいるわけです。しかし、英語ができることで様々な分野で活躍のチャンスが生まれますから、ぜひ英語はしっかりと身に付けて卒業してもらいたいと思っています。

人々が“集う場”、開かれた大学を目指して

――学内のおすすめスポットがあれば教えてください。

三木学長:沢山ありますけれど、国登録有形文化財に登録された「間島記念館」や「ベリーホール」、「ガウチャー記念礼拝堂」ですね。 「ガウチャー記念礼拝堂」では不定期で日曜日に礼拝を行っており、そこには地域の方もお越しになりますし、興味関心のある方向けに礼拝を体験していただくようなプログラムも不定期で行っています。こういったものに参加していただくのもおすすめです。また、「大学17号館」の6階には「本多記念国際会議場」があります。「大学7号館」にあるおしゃれなブックストア兼カフェの「AGU Book Café」は、どなたでも利用可能となっており、“青学らしさ”を感じていただけるスポットになっていると思います。並んでいる本も、学術本や洋書が多かったりと魅力的な本を扱っています。

洋書の品揃えも豊富な「AGU Book Café」
洋書の品揃えも豊富な「AGU Book Café」

――学食は、学生だけでなく地域の方も多く利用されているそうですね。

三木学長:ありがたいことに様々なメディアでも紹介していただいています。恐らく、この近辺の飲食店の相場と比較すると安く済むのですね。500円程度であのクオリティのものを提供できるというのはこのエリアだとなかなかないので、そこが話題になる理由のようです。近隣の企業の方なども結構来られています。

学食は席も多く用意されている
学食は席も多く用意されている

――今後、大学として取り組んでいきたいことや、ビジョンについてお聞かせください。

三木学長:本学は皆さんから“おしゃれで素敵な大学”というイメージを持っていただいており、これは、非常にありがたいことだと思っています。だからこそ、この良いイメージが失望につながらないように、この景観を、この雰囲気を、しっかりと維持して、より良くしていきたいと思っています。加えて大事なことは、研究の充実です。やはり大学というものは、教育機関であると同時に「うちはこういう研究をしています」と自信を持って言えるものがなければいけないと考えます。最終的に大学を支えるのは、大学が持つ“研究力”だと思うんですね。

大学1号館
大学1号館

本学は英語の教育力だけでなく、各分野の第一線の研究者が多くいます。先ほども申し上げた通り、本学は“文系の大学”のイメージが先行してしまっているかもしれませんが、理系分野の研究成果も高いものを誇っています。そういった幅広い可能性を持った大学であることを、皆さんにも知っていただき、理系・文系の垣根を超えて、「新しい社会に対応した学問に取り組んでいる大学である」ということをアピールしていきたいですね。 “おしゃれで素敵な大学”というイメージに、“知的”でもあるというイメージをつけ加えていくことが、私のミッションであると思っています。

キャンパス内の四季の移ろいも見どころのひとつ
キャンパス内の四季の移ろいも見どころのひとつ

――最後に、青山・渋谷エリアの街の魅力について教えてください。

三木学長:ここは実に人がアクセスしやすく、かつ上品な街ですね。情報発信も盛んです。これからはインターネットによる情報化がさらに進み、どんなに遠くにいてもリアルタイムで情報を簡単に入手できるような時代にますますなっていくと思いますけれども、そういう時代になっていくからこそ、一方で「リアルな場所」というものの重要性も同時に増していると思うんですね。 というのも、情報発信が簡易になればなるほど、どこかで「集まる」ということが必要になるからです。その点、青山・渋谷エリアは“集まる”という場として非常に適していますし、「青山学院大学」はそういう場所にある大学であるということを強く意識して、ここから教育のあり方、研究のあり方といったものを改革する・考える、日本有数の大学になりたいと考えています。

青山学院大学 青山キャンパス
青山学院大学 青山キャンパス

青山学院大学 青山キャンパス

学長 三木義一教授
所在地:渋谷区渋谷4-4-25
URL:https://www.aoyama.ac.jp/
※この記事の情報は2019(令和元)年9月現在のものです。