コンクール最上位のシェフが作るケーキ

人気ショコラトリー「マ・プリエール」がこの街で愛され続ける理由とは

「三鷹」駅北口からまっすぐ北へ。三鷹通りと井の頭通りが交差する場所に「マ・プリエール」という洋菓子店がある。ガラス越しに店内をのぞけば、綺麗なケーキと種類豊富なチョコレートが心を躍らせる。一見、「街のケーキ屋さん」にも見えるこの店は、実は都内のチョコレートマニア達が遠方からも足を運ぶ人気ショコラトリーである。今回はこの店のオーナーである猿舘英明さんにお店の魅力についてお話を伺った。

オーナーシェフの猿舘英明さん
オーナーシェフの猿舘英明さん

店長の優しい願いがこの街に

――まずは、このお店をオープンするに至った経緯を教えてください。

猿舘さん:私は国立の辻調理師専門学校から、そのフランス校に留学しそこで卒業しました。そして、まず最初は日本の洋菓子店に就職をしました。そこで5年半働き、その後人生2回目の渡仏。3年間で6軒のお店を回りました。その後日本に帰ってきて、帰国から1年後の2006(平成18)年にこの店をオープンしました。現在開店から13年目に入ったところです。

「マ・プリエール」
「マ・プリエール」

――お店のオープンにあたり、なぜ三鷹という街を選ばれたのでしょうか。

猿舘さん:僕の妻がこの近くの出身だったという単純な理由です。近所に知り合いや親戚も多く住んでいるので、最初から吉祥寺と三鷹近辺に絞ってお店を探しました。僕の出身は自然豊かな岩手県北部の二戸市というところなのですが、この建物の大家さんも同じ東北ご出身だったことから、縁あって僕が入居させてもらえることになりました。 また、実はうちの実家は曽祖父の時代から和菓子店を経営していて、父の代からは洋菓子も扱っています。いまだ、父が現役でお店をやっているので、僕は東京に店を作ってしまいました(笑)。

2006(平成18)年にオープン
2006(平成18)年にオープン

――「マ・プリエール」という店名には、どんな思いが込められていますか。

猿舘さん:店の名前は、フランス語で「私の願い」という意味になります。フランスでは週末にホームパーティーをよく開きますが、日本にはそういう文化が少なかったですよね。なので、日々の生活の中で食べたものに対して感動したり、嬉しい気持ちになってもらいたいな、という思いからこの名前をつけました。 フランスでは普段から手を合わせて感謝の気持ちを述べるというようなニュアンスの言葉なので、フランス人からはよく「いい名前だね」と言われますね。何気なく買ってもらったものから、感動や嬉しさ、幸せなどを感じてもらえればと思っています。

今日もご家族が来店
今日もご家族が来店

――お店にはどんな方が来店されていますか?

猿舘さん:来店される方は男女も年齢もさまざまで、本当にいろんな世代の方に来て頂いていますね。今後もあえてターゲットは決めず、僕が考えるお菓子を好きだと思ってくださる方に来て頂ければと思っています。もちろん、お店の雰囲気作りなどは街に似合うようなものにしていますし、僕もこの街を大事にしていきたいなと思っています。 この街には会社もあり、住宅地もあって、昔から住んでいる人もいらっしゃれば、学生さんや最近住み始めた人も多いという地域なので、いろんな方のニーズに応えられるような店づくりを意識しています。

チョコレート以外も販売。ワクワクがつまった一時を体験できる
チョコレート以外も販売。ワクワクがつまった一時を体験できる

徹底的にこだわり抜いた最高のチョコレートを

――品揃えのポリシーについて教えてください。

猿舘さん:この店はチョコレートをやりたくて出したお店なので、チョコレートが主役になっています。ケーキについても、チョコレートを使っているか使っていないか、お客さんには分からないような、「いつの間にかチョコレートを食べていた!」というようなものがほとんどです。なので、ケーキ屋さんっぽく見せていますが、実はチョコレート屋さんなんですよ。チョコレートを使っていないケーキは、30品のうち6種類しかありません。それ以外は全てチョコレートを使ったケーキになっています。

種類豊富なケーキの数々
種類豊富なケーキの数々

――なぜ、そこまでチョコレートにこだわっているのでしょうか?

猿舘さん:フランス時代に働いた6軒のうち、2軒がショコラトリー、つまりチョコレート専門店だったんです。一番最後に働いたのが、「ミッシェル・ショーダン」というフランスのチョコレート界の巨匠のお店でした。そこでチョコレートの奥深さに惹かれてしまって。その時から、「日本でもチョコレート専門店を開きたい」と思ったのですが、帰国した当時の13年前はそれがあまり現実的ではなかったんです。日本のチョコレート需要はヨーロッパに較べて圧倒的に少なく、当時は日本にショコラトリーがほとんどありませんでした。しかし、それでもお客さんに来て頂くためには、当時主流だったショートケーキやプリン、モンブランなどの定番ケーキとともにチョコレートを販売していけばいいのではないかと考えました。

素材一つ一つにこだわり、丁寧に仕上げる
素材一つ一つにこだわり、丁寧に仕上げる

――チョコレートに関するこだわりをお聞かせください。

猿舘さん:チョコレートのメーカーは20種類以上入っています。クーベルチュールだけでも160種類以上を使い分けて、もちろんブレンドもしています。例えば、チョコレートケーキ1個を作るのにも5種類ほどをパーツごとに使い分けたり。自分自身が素材マニアなところもあるので、このほかにも発酵バターや生クリーム、お酒なども複数種類を使い分けています。
僕の中では、自分の店で作るチョコレートを1社のチョコレートだけで賄うことはできないんです。チョコレートには1つ1つ個性があって、代用がきくものではありません。そういう意味では、それぞれのチョコレートを、意図を持って組み合わせていけば、積み重なってすごく多彩な味のバリエーションができると思っています。ブレンドをしながら余韻の変化をさせていったり、ということが可能なのはチョコレート以外にはないと思います。僕は様々な素材を組み合わせることで、味に立体感を出し、その立体感と余韻を特に大事にしながらチョコレートづくりをしています。

チョコレートへの想いを語る猿舘さん
チョコレートへの想いを語る猿舘さん

全てにおいてちょうど良い三鷹の魅力

――10年以上この場所でお店を営まれて感じる街の変化などはありますか。

猿舘さん:僕がお店を出した頃は、この三鷹の北側エリアにはあまりお店はありませんでした。しかし、最近は話題のお店も増えてきて賑やかになっている印象です。街自体は大きく変わりませんが、やはり少しずつ家やマンションが建ったことで全体的に子どもたちやファミリーが増えているような感じがありますね。

――最後に、三鷹エリアの魅力を教えてください。

猿舘さん:東京ではありますがすごくゆったりとした空気が流れているので、僕のように田舎から出てきた人にとってはとても住みやすい場所です。少し足を延ばせば吉祥寺もあるのでその点も便利ですね。僕自身もこのすぐ近くに住んでいますが、一度住んだらもう出たくないと思えるような住み心地の良いところは本当に魅力だと思います。また、アクセスに関しては総武線と東西線も使えますし、中央線特別快速に乗れば「東京」駅へのアクセスも便利です。田舎の両親が「東京」駅から来るときも、どの線に乗っても三鷹は必ず停車するので、説明も簡単です。 この三鷹エリアはやはり、「すべてがちょうどいい」という一言で表せると思います。交通の便や住み心地も良くて、自然も豊かな環境で、美味しいお店も多くて。町を歩いている人もうちのお客様もものすごく素敵な方ばかりです。そんな街なので、街散策も楽しいと思いますし、そんな中でもし良かったらうちのお店にも寄って頂いて、何か1つでも気に入ったものを見つけて頂けたらと思っています。

パティスリー ショコラトリー マ・プリエール

オーナーシェフ 猿舘英明さん
URL:https://www.ma-priere.com/
※この情報は2018(平成30)年11月時点のものです。