市行政施設の最寄り駅は「永山」駅

市民とともに新しい街のビジョンを描く多摩センターの未来/多摩市役所・多摩センター地区連絡協議会

都心部から電車でおよそ40分でアクセスできる利便性と豊かな自然環境、ニュータウンの中心地として公共・商業施設が集積し、遊歩道や公園など整備されたまち並みも美しい多摩センター地区。現在、街のシンボルである「パルテノン多摩」や「多摩中央公園」が開設から約30年を経て大幅リニューアルが行われ、多摩市も令和3年(2021年)11月には市制誕生から50周年を迎えるなど、新たなまちづくりへと向けた機運が高まっています。

今回は、多摩センター地区のまちづくりについて取り組みを進める多摩市役所の市民経済部経済観光課の武井さん、矢野さん、企画政策部企画課の西村さんと、多摩センター地区連絡協議会の事務局を務める加藤さん(新都市センター開発株式会社)に、リニューアルオープンしたばかりの「パルテノン多摩」にお集まりいただき、未来に向けて動き出した多摩センターについてお話しを伺いました。

多摩市役所、多摩センター地区連絡協議会の皆さん(左から武井さん、加藤さん、矢野さん、西村さん)
多摩市役所、多摩センター地区連絡協議会の皆さん(左から武井さん、加藤さん、矢野さん、西村さん)

――まずそれぞれの所属と役割について簡単にご紹介をお願いいたします。

武井さん・矢野さん:多摩市市民経済部経済観光課では商業の振興や観光、創業支援、農業支援に関することまで幅広い業務を担当しています。今回お話しする多摩センター地区に関しては、主にソフトの部分について地域の活性化につながるような取り組みを進めています。

西村さん:私のいる企画政策部企画課では市の将来像について考えていく総合計画に関することや組織として行政がどう上手く機能するかといったマネジメントをしたりしています。私の仕事は前者のうち住民主体で、これからこの地域がどういう方向に向かって行くと良いか、ということについて関わっています。

加藤さん:私は「多摩センター地区連絡協議会」の事務局長を務めています。事務局を務める私ども新都市センター開発株式会社は、「ココリア多摩センター」や「丘の上プラザ」などを運営・管理する地元のデベロッパーです。1970年代の多摩ニュータウン開発当時から地元の企業・商業施設など中心とした会員組織を立ち上げ、まちづくりや地域活性に関する事業を行ってきました。
現在、当会には44の会員企業様に加入していただいており、皆さんのご協力をいただきながら多摩センター地区で開催されるイベントや防犯、防災、環境整備などに取り組んでいます。

多摩センター地区の将来ビジョンを考える新しい取り組みがスタート

「パルテノン多摩・まちの情報ステーション」の多摩ニュータウンの開発過程紹介展示
「パルテノン多摩・まちの情報ステーション」の多摩ニュータウンの開発過程紹介展示

――多摩センター地区のまちづくりは今後どのように進められていくのでしょうか。現状もふまえてお聞かせいただけますか?

西村さん:まず、1971(昭和46)年に多摩市が誕生し昨年に50周年を迎えました。先日も50周年記念事業の締めくくりとなるイベント「くらし・たのし・たまし」が開催され、記念式典や講演会などが行われました。「50周年をきっかけに未来につなぐ、新たなまちの姿を見つける」ことをテーマに掲げています。
現在、多摩市の人口は約15万人で微増傾向ではありますが、高齢化率は全国平均と同じく30%前後で将来全国共有の問題である高齢化の進行が予想されます。

また、多摩センター地区の歴史としては、昭和40年代以降「多摩ニュータウン」として開発され、団地の供給や計画的なまちづくりが進められてきました。そうした経緯から、行政や開発事業者によって作り上げられた地域という性質が強かったのです。当時新しいまちに自分たちで選んでやってきた親の世代と比べ、子ども世代にとっては変化や新鮮さがないことなどが理由で、大人になって外に出ていってしまったり、大学への進学などをきっかけに多摩市に来た若者も、卒業と同時に転出してしまい、まちへの定着が弱いなどの状況がありました。

これまでも市民の声を取り入れてはいたものの、再び行政や開発事業者中心でまちをつくっていくのでは同じことを繰り返してしまうため、これからは「住民の人たちが自らのまちをつくっていく」という視点、『市民自治』を重点に置いて、新しいまちづくりを進めています。 

『行動指針(令和4年度~令和6年度)~これからの多摩センターのあゆみ方~』資料より
『行動指針(令和4年度~令和6年度)~これからの多摩センターのあゆみ方~』資料より

矢野さん:近年では、ライフスタイルの変化や新型コロナウイルスの影響により、まちでのすごし方、まちのつかい方のニーズも大きく変わってきています。「どういうまちにしていきたいんだろう?」、「どういうまちだったらすごしたいと思うんだろう?」ということについて考え、「まちづかい」の視点から多摩センター地区の将来のビジョンを描くことを目的に、今年度(2022年度)から市役所内外の若手メンバーが集まって実験的な取り組みもスタートしています。

先日には、「多摩中央公園」がフルオープンし、都市計画マスタープラン改定を予定している2024(令和6年)度末まで3年間でビジョンと行政戦略を具体化することを目指し、『行動指針(令和4年度~令和6年度)~これらからの多摩センターのあゆみ方~』もリリースいたしました。

まちのシンボル「パルテノン多摩」、「多摩中央公園」もリニューアル

――現在多摩センター地区では、公共施設のリニューアルや新設事業が行われていますね?

矢野さん:はい、多摩センターのシンボル的な施設である「パルテノン多摩」、「多摩中央公園」が、いずれも開設から30年以上が過ぎ、経年劣化への対応が必要な時期を迎えたことや周辺の環境変化などもふまえ、新しい魅力を備えた施設としてリニューアルされることになりました。また、「多摩中央公園」の一角には「中央図書館」も新設予定です。

それぞれ担当する部署が違うので、詳しいことは市のHPをご覧いただきたいのですが、「パルテノン多摩」については、2018(平成30)年度から改修工事が始まり、2022(令和4)年7月1日にリニューアルグランドオープンが完了しています。同施設は1987(昭和62)年にオープンした複合文化施設で、コンサートや演劇、映画などが上演できる大・小2つのホールのほか、博物館としての展示施設などを備えていました。

2022(令和4)年7月にリニューアルオープンした「パルテノン多摩」
2022(令和4)年7月にリニューアルオープンした「パルテノン多摩」

それらの施設は改良・グレードアップしながら継続しつつ、新しい機能も加わっています。特に変わったと感じるのは、子育てに特化したスペース「こどもひろばOLIVE(オリーブ)」がオープンしたことです。イベントや一時預かりもあり、子ども連れの親子、ご家族がのびのび遊べるスポットとして賑わっています。

また、地域の方のさまざまな活動の拠点にしてもらえるよう、貸館としても機能の多様性という部分で変わったところがいくつもあります。例えば、部屋の壁を全面ホワイトボードにした「クリエイティブラボ」や、多様な工具や、家では使いにくい工作器具(電動のこぎり等)を備えた「クラフトラボ」、料理や食材をテーマにしたワークショップや、教室ができる「キッチンラボ」も初めて導入されました。会議用のプロジェクターやいろいろな機器の貸出しも充実させています。

4階に設置された「パルテノン多摩 こどもひろばOLIVE(オリーブ)」
4階に設置された「パルテノン多摩 こどもひろばOLIVE(オリーブ)」

「中央図書館」については、現在建設中で、2023(令和5)年7月の開館に向けて工事が進められています。本の貸し出し以外にも、グループで学習できる部屋や個人の研究室などを設け、知の拠点となるようなことが計画に盛り込まれています。「多摩中央公園」に関しては、まだ改修基本設計の段階なのではっきりとしたことは申し上げられませんが、公園内に子ども用の遊具を設置することや、傾斜をなだらかにすることなど、子どもにとって遊びやすいスペースをつくることが考えられているようです。

それぞれの施設が訪れる人の居場所となる機能を発揮するよう「多摩中央公園」から直接「パルテノン多摩」や「中央図書館」に出入りできるようになるなど、周辺一帯が賑わいの拠点となるように回遊しやすく工夫されている点などもポイントです。

2023(令和5)年7月の開館予定で建設工事が進む「多摩市立中央図書館」イメージ図 (多摩市役所提供)
2023(令和5)年7月の開館予定で建設工事が進む「多摩市立中央図書館」イメージ図 (多摩市役所提供)

「パルテノン大通りマルシェ」は日常的な「まちづかい」のヒントのひとつ

――個々の施設機能の充実だけでなく、街全体の「すごしやすさ」「使いやすさ」が今後のポイントになっているのですね?

矢野さん:先ほどの話の通り、これまで行政や開発事業者主体の「まちづくり(=ハード整備)」だったところを、実際にこの街を利用する方々の視点を主体とする「まちづかい」にしてこうというのが多摩センターの将来ビジョンです。そのために具体的に何をしていくのかというのは、社会実験も含めてこれからスタートするところなのですが、既存の取り組みでひとつの切り口になると思っているのは、多摩センター地区連絡協議会さんが開催している「パルテノン大通りマルシェ」です。

『行動指針(令和4年度~令和6年度)~これからの多摩センターのあゆみ方~』資料より
『行動指針(令和4年度~令和6年度)~これからの多摩センターのあゆみ方~』資料より

地区連絡協議会さんとは、これまでも一緒に多摩センター地区の主線軸となる「パルテノン大通り」を盛り上げようとイベントを行ってきました。

加藤さん:多摩センター地区の代表的なイベントは5つあり、毎年3月末の春休み期間に行う「多摩センタースプリングフェスタ」、ゴールデンウィークに開催する「ガーデンシティ多摩センターこどもまつり」、夏の「多摩センター夏まつり」、秋の「ハロウィン in 多摩センター」、冬にはセンターランドツリーを中心に街を彩る「多摩センターイルミネーション」と、季節ごとに楽しんでいただける催しを行っています。

例年10月に開催される「ハロウィンin多摩センター」、写真は2018(平成30)年の仮装コンテストの様子
例年10月に開催される「ハロウィンin多摩センター」、写真は2018(平成30)年の仮装コンテストの様子

多摩センターの冬の風物詩「多摩センターイルミネーション」
多摩センターの冬の風物詩「多摩センターイルミネーション」

しかしながら、こうした大きなイベントはあくまで一過性のもので、イベントが無い普段の「パルテノン大通り」にもにぎわいを生む工夫が必要なのでは、とも感じていました。また、ここ数年はコロナ禍のため、従来の大きなイベントも中止せざるを得ない状況になってしまったこともあり、小規模でも地域の人が日常的に参加でき、街にも賑わいを絶えず生み出せるような仕掛けを考える必要がでてきたのです。

そこで、他の自治体やいろいろな街の取り組みを調べる中で、マルシェがいいのではと思いました。昨年から始めた「パルテノン大通りマルシェ」は、雑貨・アクセサリーなどのクラフト品、手作り衣類など、子育てママのハンドメイド作品の販売を中心に内容を少しずつ見直しながら開催を続けており、現在は毎月第2・4土曜日の2回開催をベースに、イベントを彩る新たなコンテンツとして定着しつつあります。

2021(令和3)年からスタートした、毎月開催される「パルテノン大通りマルシェ(ママ・マルシェ)」
2021(令和3)年からスタートした、毎月開催される「パルテノン大通りマルシェ(ママ・マルシェ)」

他にも、新しい取り組みにチャレンジしてみたいと思いコワーキングスペースを作るなど、新たな発想の下地になれば良いなという思いでやっています。従来のイベントも、時代や街の変化に合わせて見直しながら、子育てに配慮したものや若い人に向けたものにして、次の世代につなげていけるようにしたいと考えています。

矢野さん:そうしたイベントと同様に、多摩センターの賑わいに欠かせない存在がハローキティです。多摩センターでは、2002(平成14)年度から“ハローキティにあえるまち”をテーマにまちづくりを進めていまして、「多摩センター親善大使」としてハローキティにまちのPRをしてもらっています。現在はコロナ禍のため中止しておりますが、「パルテノン大通り」で毎週土曜日にグリーティングが行われたりイベントへの参加など、「サンリオピューロランド」のキャラクターと一緒にさまざまな事業を行ってきました。また「多摩センター」駅を降りていただくとハローキティがデザインされた案内板やフラッグなどが設置されているほか、駅舎のデザインやハローキティのラッピングバスが市内を走行したりしています。

「やりたいことや思いが叶えられるまち」にしていきたい

――最後にこれから多摩センターに移り住む方に向けて、メッセージをお願いいたします。

矢野さん:メッセージというよりは私個人の思いの部分でもありますが、多摩センターが買い物をしたり、日常生活を送るだけの場所ではなくて、ちょっとした“冒険”や“チャレンジ”の一歩に踏みこめる街になればいいなと思っています。行政の窓口として、さまざまな「こういうことをやってみたい」というご要望も伺っているのですが、これまでの街のイメージを守ることよりも、その殻を破って「こんな街だったらいいのに」というイメージと実像の分断をうまくつなげていけると良いですね。

多摩センターへの思いを語っていただきました
多摩センターへの思いを語っていただきました

西村さん:私自身の経験ですが、遊歩道や公園があったりして良いまちなのに物件の価格は比較的安いなと感じて、今から10年ほど前に多摩センターに移り住んで来ました。当時は会社員として多摩センターから都心部に通っていたのですが、2〜3年して多摩市役所の職員として働くようになり、地元でもっといろんなことをやりたいと思ったのですが、そのやり方がわからない。このまちでどういう人とどういう風につながったら楽しくすごせるのか、面白いことができるのか、私はそれを見出すのに10年程かかりましたけど、いろんな人にもっとスムーズに体験してもらいたいなと思っています。自分たちのやりたいことや思いをどんどん叶えられるまちにできるよう、そのための基盤づくりやその土壌をつくりたいと思っています。

いつか誰かが、「多摩センターの街があったからこそ、今の自分はこんなに活躍できているんです」とドキュメンタリー番組で語って欲しいと思っているので、これから住む方々にもぜひその候補者になってもらって、「この街で自由に踊ってくださいね」と思っています。(笑)

矢野さん:多摩センターをつかうみなさんが主体として「まちづかい」していただけるよう、ワークショップなども始めているのでぜひ参加してください。

”まちの声”を集めるためのワークショップなども始まっている
”まちの声”を集めるためのワークショップなども始まっている

武井さん:職員にも実際にいるのですが、多摩センターで大切な人と出会って、家庭をもって、子育てをして・・・というような、人生の何かの「始まりの街」として選んでいただけたらな、と思っています。私たちとしても、住民主体のまちづくりを進めていくうえで、多摩センターに思い入れがもてるそのきっかけづくりをしていきたいですね!

加藤さん:多摩センターは非日常(ハレ)と日常(ケ)が混在している街で、とても魅力的だと思います。これまではハードを中心に街ができてきたのですが、ハードありきではなく、「ハードからソフトへ」と視点を移すことで子育て環境なども今後充実していくでしょうし、若い世代の人たちにも楽しんで暮らしていただける環境につなげていきたいなと思います。

――みなさん、ありがとうございました!

多摩市 市民経済部経済観光課
多摩センター地区連絡協議会

商工・観光担当 武井淳さん
商工・観光担当 矢野梓葉さん
企画調整担当 西村信哉さん
加藤僚さん(新都市センター開発株式会社)
所在地:東京都多摩市関戸6-12-1
電話番号:042-375-8111
URL:https://www.city.tama.lg.jp/
※この情報は2022(令和4)年8月時点のものです。