100年に一度の大規模再開発が進む「渋谷」駅周辺の今をレポート

世界有数のターミナルとして知られ、多くの路線が乗り入れる「渋谷」駅。現在、その周辺では100年に一度と言われる大規模な再開発が進行中です。2012(平成24)年の「渋谷ヒカリエ」誕生を皮切りに、数多くの新しい施設が誕生しており、街並みも大きく変化し続けています。今回は再開発の経緯と経過をご紹介するとともに、「渋谷」駅周辺の“今”をレポートします!

地下でも駅と直結する「渋谷ヒカリエ」
地下でも駅と直結する「渋谷ヒカリエ」

「渋谷」駅周辺の再開発が始まった理由

「渋谷」駅周辺は、渋谷川と宇田川に挟まれた谷の底にあるエリアです。そんなすり鉢状で高低差が多い地形に、多くの線路が重層的に配置されていたため、乗り換えが困難になっていました。さらに駅前には国道246号をはじめ幹線道路や、数多くの商業施設も集まっているため、安全性にも課題がありました。

これらを解消するため、2012(平成24)年から「渋谷」駅を中心に、“100年に一度”と言われる大規模な再開発がスタートしました。東急東横線の地下化などとともに、回遊性を考慮した歩行者デッキや商業ビルが続々と誕生し、現在も街が大きく変化しています。

2024(令和6)年
現在、再開発が進行中

「渋谷」駅周辺の今の街並み
「渋谷」駅周辺の今の街並み

線路上が吹き抜けに
なっています

地下化された東急東横線の線路
地下化された東急東横線の線路


「渋谷ヒカリエ」など新たなランドマークが完成

再開発の皮切りとなったのは、複合商業施設「渋谷ヒカリエ」の誕生です。2012(平成24)年に完成し、地上34階建ての施設内に商業施設やオフィスなどが入居。地下の「東横のれん街」には、惣菜店やスイーツ店、ワインの専門店などが軒を連ねています。また、劇場やイベントホールなどがあるフロアも用意されており、カルチャーの街・渋谷を象徴するランドマーク的な存在にもなっています。

渋谷のランドマークといえば、2020(令和2)年には商業施設「ミヤシタパーク」も完成。全長330mの「区立宮下公園」跡地に整備され、約20件の飲食店が立ち並ぶ「渋谷横丁」をはじめ、有名アパレルブランド店も数多く集まっています。屋上は「区立宮下公園」を移設する形で整備。スケートボードパークやボルダリングウォールなど、かつて公園にあった設備に加えて、ビーチサッカーグラウンドや芝生広場など、新たなスポットも誕生しています。

劇場やイベントホール
なども入居

ランドマークとして賑わう「渋谷ヒカリエ」
ランドマークとして賑わう「渋谷ヒカリエ」

屋上に公園を配置

公園跡地に誕生した「ミヤシタパーク」
公園跡地に誕生した「ミヤシタパーク」


駅直上に誕生した新たなシンボル「渋谷スクランブルスクエア」

現在進行中で建設されているのが、高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」です。2019(令和元)年に完成した東棟は、駅直結直上で地上229.7mと渋谷最高峰の高さを誇り、ハイブランドショップや渋谷初進出の店舗などが入居。地下には紀ノ国屋の新業態スーパーをはじめ、惣菜店やベーカリーなどがバラエティー豊かに並んでいるので、日常使いにも便利です。

14階・45階~屋上には「SHIBUYA SKY」という展望施設があり、360度に拡がる景色を堪能できる屋上展望空間が目玉。天体観測イベントや屋外映画鑑賞など、カルチャーの街ならではのイベントも多く開かれています。さらに後述する中央棟と西棟も隣に建設されており、今後も目が離せないスポットとなっています。

周辺施設と
歩行者デッキで直結

「渋谷スクランブルスクエア東棟」と歩行者デッキ
「渋谷スクランブルスクエア東棟」と歩行者デッキ

渋谷の新たな
観光スポット

「SHIBUYA SKY」
「SHIBUYA SKY」


近年は「渋谷サクラステージ」や「渋谷アクシュ」が開業

駅から国道246号線を渡った桜丘町では、2023(令和5)年11月に複合商業施設「渋谷サクラステージ」が誕生しています。100を超える店舗とともに、子育て支援施設や医療機関、オフィスなどが2街区・4棟に入居。屋外広場「にぎわいSTAGE」も設けられ、憩いの場やイベント会場としてにぎわっています。あわせて駅や周辺の建物に繋がる歩行者デッキも整備され、回遊性や街の活性化にも貢献しています。

「渋谷ヒカリエ」隣の土地では、2024(令和6)年7月8日に複合商業施設「渋谷アクシュ」が開業。こちらには店舗やオフィスのほか、周辺の高低差を活かした広場も整備。駅東口と青山方面を高低差なしで移動できるようになり、新たなにぎわいを生み出し始めています。

ピンク色のS字が
モチーフ

にぎわいステージ
にぎわいステージ

青山方面へ高低差なしで
移動可能に

「渋谷アクシュ」(提供:渋谷アクシュ)
「渋谷アクシュ」(提供:渋谷アクシュ)


2027(令和9)年には「渋谷スクランブルスクエア中央棟・西棟」が完成予定

その他にも2012(平成24)年以降、「渋谷ストリーム」や「渋谷キャスト」など様々な施設が再開発によって誕生しています。「渋谷」駅前の一連の再開発は、順調に進めば2027(令和9)年度に全て終了する見込み。同年に駅前再開発のクライマックスとして、「渋谷スクランブルスクエア中央棟・西棟」がすでに完成している東棟の隣に誕生します。

また、渋谷エリア全体では引き続き再開発が続きます。「渋谷ヒカリエ」や「渋谷アクシュ」の東側に広がる土地で計画されている「渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業」は、3街区にわたって建設予定。2029(令和11)年の完成を目指して、店舗やホテルなどとともに、大規模バスターミナル、歩行者デッキなども整備されます。

「渋谷」駅直上で
工事が進行中

建設中の「渋谷スクランブルスクエア中央棟・西棟」
建設中の「渋谷スクランブルスクエア中央棟・西棟」

2029(令和11)年に
完成予定

「渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業」建設予定地
「渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業」建設予定地


大型再開発とともに渋谷川の水流も再生

「渋谷」駅周辺の再開発が進行する中、渋谷川に水流を再生させる取り組みも行われてきました。渋谷川はかつて支流が「春の小川」のモデルとなるなど、渋谷の街を象徴するスポットでしたが、高度経済成長期に暗渠化されて水の流れがなくなっていました。

そこで「渋谷ストリーム」付近の渋谷川上流から、東京都の高度処理水を利用して、水の流れを再生。さらに川沿いや東急東横線の線路跡地に、「渋谷リバーストリート」も整備されました。ストリートは恵比寿・代官山方面までのび、遊歩道とともに複合商業施設「渋谷ブリッジ」や「ログロード 代官山」なども建てられています。

このように「渋谷」駅周辺は、再開発されるとともに渋谷川の流れも復活し、今も街の魅力がますますアップしていました!

目の前を渋谷川が
流れています

駅の南に建つ「渋谷ストリーム」
駅の南に建つ「渋谷ストリーム」

東急東横線線路跡に整備

渋谷川と「渋谷リバーストリート」
渋谷川と「渋谷リバーストリート」


発見ポイント!

「ミヤシタパーク」の屋上公園
「ミヤシタパーク」の屋上公園

  • (1)新たな魅力を発信しつつ、渋谷らしさも残して進化している
  • (2)街並みとともに放射デッキが整備され、各スポットにアクセスしやすくなっている
  • (3)渋谷川が再生され、街に水辺の潤いを与えている

100年に一度の大規模再開発が進む「渋谷」駅周辺の今をレポート
所在地:東京都渋谷区 

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