読書に力を入れるコミュニティースクール

学校・家庭・地域が連携して子どもたちを育む「協育」を実践する「大田区立池上第二小学校」

開校より96周年を迎えた「大田区立池上第二小学校」。“いけに”の愛称で親しまれている地域の学校です。学校・家庭・地域が連携して子どもたちを育む「協育」に取り組む学校で、2023(令和5)年度よりコミュニティ・スクールとしての運営も始まりました。

歴史のある学校ならではの伝統的な取組は継承しつつ、タブレット端末の活用や「本物から学ぶ」をコンセプトにゲストティーチャーや企業との連携にも力を入れ、新しいことにも果敢に挑戦しています。

今回は束田都美校長先生を訪ね、特色ある取組や地域とのつながりなどについてのお話を伺いました。

今回お話を伺った校長の束田都美先生
今回お話を伺った校長の束田都美先生

地域の学校「大田区立池上第二小学校」

――まず「大田区立池上第二小学校」の概要や歴史についてお聞かせください

束田先生:本校は1929(昭和4)年に開校し、今年度で96周年を迎えました。現在の児童数は502名。各学年3クラスの18学級に加え特別支援学級(知的固定)が2学級あり合計20学級で運営しています。

大田区の中央に位置し、歴史と文化が暮らしの中に根付き、豊かな人情の息づく住みやすい地域の中にある学校です。長年にわたり、国語、体育、家庭学習、学級経営などの研究校として取り組んできたことを大切に、学校の特色として引き継いで推進しています。

――お子さんたちや保護者の方、先生たちの印象はいかがでしょうか

束田先生:本校の児童は、子どもらしさにあふれ元気いっぱいです。ゲストティーチャーなどからは、「とても反応がいい!子どもらしい素直な反応で気持ちいい」「子どもたちと先生の関係がいい」などと、褒めていただくことが多いです。保護者の皆様は、学校運営に理解を示してくださり、それぞれの立場で協力してくださいます。教職員は、チームワークがとてもよく、「池二小の子どもたちのために」と心を一つにして協働する「同僚性」の高さが際立っています。私は校長として、日々、教職員の尽力に助けられています。

チームワークを生かして学校運営に取り組んでいます
チームワークを生かして学校運営に取り組んでいます

「い:いっしょに学ぶ」「け:けんこうな心と体」「に:にこにこあいさつ」

愛称の“いけに”にちなんだ3つの教育活動
愛称の“いけに”にちなんだ3つの教育活動

――教育方針や特色ある教育活動についてお聞かせください

束田先生:学校経営のキーワードは「協育」です。「笑顔と思いやりあふれる『池二小』を皆で創造〜コミュニティ・スクールを活用した安心・安全で楽しい学校づくりを通して〜」を経営の柱に掲げています。

「池上第二小学校」の愛称“いけに”にちなんで「い:いっしょに学ぶ」「け:けんこうな心と体」「に:にこにこあいさつ」を目指す児童像として、合言葉にして教育活動を行っています。

令和6年度の学校経営計画計画概要
令和6年度の学校経営計画計画概要

入学式などでも子どもたちにわかりやすく伝えています
入学式などでも子どもたちにわかりやすく伝えています

――3つの合言葉(目指す児童像)について、詳しくお聞かせください。まずは「い:いっしょに学ぶ」とは?

束田先生:学校は、集団で学べる場です。一人ひとりの個性や学び方を尊重しながらも、他者との関わりやふれあいを大切にしています。未来を担う「人財」を育てていることを肝に銘じ、社会性や協調性を養い、「人の痛みのわかる思いやりの心」や「自分も多様な他者も大切にできる態度」を育んでいくように努めています。

自分一人ではできないことも、「友達や先生と一緒なら頑張れた!」という体験や、友達の考えや姿から良い影響を受けて自分の器を広げ深めていく経験を、たっぷり重ねてほしいと思っています。

ゲストティーチャーを招いたり企業の協力を得たりして“本物から学ぶ教育”にも力を入れています。実は今日も、著名なプロのパフォーマーが来校されてダンスの授業をしてくださいます。先週は、IT企業に派遣してもらってドローンの飛行設計のプログラミングにチャレンジしました。今後も万博出展企業や金融機関との連携授業を予定しています。

6年生は集大成として、キャリア教育の一環で「ドリームプロジェクト」に取り組みます。これは、本校独自の特色あるプログラムで、児童が様々な職業をインターネットなどで調べる中で、自分が関心をもった相手に、来校を依頼する手紙やメールを送り、実際に学校に来ていただいてお話を伺う学習です。今年度も19の企業や個人の方に来校いただき、児童にお話をしてくださいました。児童は、自分の夢が叶い、胸ときめかせてお迎えしていました。「今の努力が将来につながる」というお話などをいただきました。

ゲストティーチャーによる授業のイメージ
ゲストティーチャーによる授業のイメージ

写真は、低学年を対象にした「セーフティー教室」の様子です。不審者から自分の身を守るために大切なことを、子どもたちにわかりやすく伝えるため、劇団の方に寸劇にして場面を設定いただき、代表児童がロールプレイしながら、みんなで身の守り方を学びました。希望する保護者にも参観していただき、家庭でも同じ指導ができるようにしています。

人と人との対面での関わりを大切にしながらも、ICTの活用も推進しています。一人一台のタブレット端末は、文房具として当たり前のように選択して使えることを目指しています。筆箱と同じように、毎日、自宅に持ち帰って、鉛筆を削るように充電をして、翌日、学校に持ってきます。ランドセルなどの荷物が重たくならないように、家庭で使用しない教科書などは学校に置いておくようにしています。いわゆる「置き勉」が、本校ではOKです。

――続いて「け:けんこうな心と体」の取り組みとは?

束田先生:まず心の面ですが、本校は読書活動が盛んです。健全で豊かな心を養い、学力の基礎となる言語能力を高めるために、全校で読書教育を推進しています。学校図書館は、「読みもののへや」と「調べもののへや」の2部屋があり、本を読む環境の整備にも力を入れています。全校で、1年間に読む目標冊数を決めていて1、2年生は120冊、高学年になると100冊または1万ページを達成すると校長から賞状を渡しています。

17年間も続いている読み聞かせボランティアも、とても素晴らしい活動です。現役の保護者だけでなく、大勢のOBやOG、地域の方が、毎週金曜日の朝に1〜6年生まで読み聞かせをしてくださいます。年に1度、1時間かけて、たっぷりと本の世界に浸る授業もあります。先日は、5年生に「友達」、6年生に「はたらく」というテーマでスペシャルな「おはなし会」を企画していただきました。おはなし会の部屋は、心安らぐアロマの香りが漂い、ピアノの生演奏で、お話の世界に誘ってくださるすてきな会でした。

ゆったりくつろぎながら読書が楽しめる「よみもののへや」
ゆったりくつろぎながら読書が楽しめる「よみもののへや」

束田先生:健康な体に関する取組は、非常に多く紹介しきれないのですが、何より日々の生活の中で、楽しみながら体力を高めることを大切にしています。休み時間には大勢の子どもたちと一緒に先生たちもよく遊んでいます。私が着任してからはロング昼休みを新設したり、放課後子ども教室と連携したりして、校庭で思いきり体を動かして遊べる機会を多くするように努めています。

「ともだち広場」という異学年で遊ぶ取組もあります。子どもたちの間では“ともひろ”と呼ばれています。高学年が優しく低学年をリードし、低学年の児童は高学年の児童に自然にあこがれを抱き、高学年の姿から学んでいます。 また、1~6年生のすべての学級で、体育の授業のスタート時に、必ず「ジンギスカン体操」をするのも特色です。本校に着任した先生は、春休みの始業式の前に、まずこの体操を覚えることが伝統になっています。

プロ野球の選手に来ていただいて「ボールの投げ方」のご指導いただいたり、パラリンピックやデフリンピックの選手にお話をうかがったり一緒に運動したりする機会も設けています。大谷翔平選手のグローブも活用しています。 さらに、12月に行われた大田区小学生駅伝大会では、午後の部で見事2位になりました。子どもたちの自主練や選手を応援する大勢の友達の存在あっての快挙です!

青空のもと校庭で元気に遊ぶ子どもたち
青空のもと校庭で元気に遊ぶ子どもたち

束田先生:健康な心と体をつくるために、食育にも力を入れています。大田区では、昨年度の途中から児童・生徒の給食費が無償となりました。一生お世話になる体を形成している大切な時期なので、体をつくる素になる食材や調理については安心・安全に常に細心の注意を払っています。

給食室の様子
給食室の様子

束田先生:栄養士さんと調理員さんが心と力を合わせて、毎日、おいしい給食をつくっています。旬の食材や行事食はもちろん、絵本に出てくる料理を給食として提供するなど「おいしい」に加えて「楽しい」「嬉しい」のメニューも登場します。アレルギー対応についても、対象の児童が引け目を感じないように、見た目や味に工夫を施し、栄養面だけでなく、「心」を大事にしています。

さらに本校は、和食の残菜が少ないのも特徴です。3世代、4世代で祖父母と一緒に住んでいる子どもが多いので、ご家庭でも和食中心の食事をされているのかもしれません。

丹精込めて作られる池上第二小学校の給食
丹精込めて作られる池上第二小学校の給食

――3つ目の「に:にこにこあいさつ」の取り組みとは?

束田先生:「あいさつ」は、コミュニケーションの基本です。すすんで明るい挨拶ができる子の育成をめざし、毎朝、正門には校長と用務員が立ち、3か所の昇降口には専科の教員、各教室では担任が、登校してくる子どもたちを笑顔とあいさつで迎えています。コロナ禍を過ごし、以前に比べ、すすんで挨拶ができる子が減ってしまったという地域の方からの声を受け、まず教職員が手本を示すように心がけています。

また、年3回、「あいさつ旬間」を設定し、あいさつに重点的に取り組んでいます。他にも、児童ボランティアによる「明るいあいさつひびかせ隊」や、児童が考案した「池二ピース」など、様々な取組を行っています。

正門には“あいさつのぼり”を設置しています。これは、6年生が作成した標語を、地域にお住いの書道に造詣の深い方に書いていただいたたものを、のぼりにしたものです。

正門の昇降口のところに設置された“あいさつのぼり”
正門の昇降口のところに設置された“あいさつのぼり”

 

「いじめの問題」に関しては、いじめはいつでも起こりうることを常に念頭におき、未然防止や早期発見、早期解決、慎重な経過観察に努めています。各学期に1度全校で「いじめゼロ3箇条」の取組を行っています。学級ごとにみんなで話し合い、いじめをなくすために自分たちがするべきことを話し合って決め、2週間かけて実際に取り組んでいます。

地域や保護者とのつながりが強く、コミュニティ・スクールにも先行して取り組む池上第二小学校

――コミュニティ・スクールとしての運営も始まったそうですね。地域や保護者とのつながりについてお聞かせください

束田先生:昨年度、開校95周年をきっかけにコミュニティ・スクールとしての運営が始まりました。大田区では2022(令和4)年度からコミュニティ・スクールの計画的な導入が始まり、本校も先行実施というかたちで取り組みを進めています。

もともとこの地域は、学校と地域とのつながりがとても強く、学区域にある町会はそれぞれ春のお祭りやラジオ体操、盆踊り、子ども祭りなど、さまざまな行事で、子どもたちを地域で大切に育ててくださっています。大きな行事だけでなく、子どもたちの登下校の際には、ボランティアで通学路に立って子どもたちにあたたかいを声をかけてくださり様子をよく見てくださる方々がいらっしゃいます。

これまでずっと、学校のためにご理解とご尽力をいただいてきた伝統があり、すでに土壌ができていたことから、95周年の開校記念日にコミュニティ・スクールを導入いたしました

地域とのつながりの強さを感じさせるスローガンが掲示される
地域とのつながりの強さを感じさせるスローガンが掲示される

束田先生:「おやじの会」の活動も盛んで、特に「お泊まり防災体験訓練」と「映写の夕べ」はスペシャルなイベントです。「お泊まり防災体験訓練」は夏の終わり頃に開催されるのですが、地域の消防団の方が来てくださったり、煙体験の車両や起震車が来たりします。イベントでは5、6年生が中心になって1〜4年生にやり方を教えるのですが、その後、5、6年生はそのまま体育館に泊まって一夜を過ごします。「映写の夕べ」は10月の終わり頃のイベントで、校庭に大きなスクリーンを立てて夜空の下で、おやじの会が厳選した映画を観賞します。

毎年10月下旬に開催される「映写の夕べ」
毎年10月下旬に開催される「映写の夕べ」

束田先生:他にも運動会のお手伝いや卒業式には記念写真を撮れるコーナーを作ってくれたり、夜中に学校に来てサプライズで校庭に「卒業おめでとう」のメッセージや池二郎のイラストを描いてくれたり。いろんな場面で応援してくれます。

私にとって忘れられない出来事は、令和4年、コロナ禍に着任した年のことです。「災害はいつでもやってくる」という真剣な思いで、災害と感染防止の両面から何度も話し合いを重ね、知恵を絞りあって、緻密な準備と計画を練り、炊き出しや打ち上げ花火の計画を立てました。いざ本番の局面で、コロナの感染拡大と強風到来となり、内容を縮小して開催しました。そのとき、おやじの会の皆様が「こどもたちの安心・安全のために」と潔く決断してくださったことが忘れられません。

――PTAの活動についてはいかがでしょうか?

束田先生:昨今は共働きなどお忙しい保護者の方も多くなったので、無理なく持続できるかたちで運営していくにはどうするかということを大切にされています。“強制ではなく、やりたい人が、やれるときに、やれることを、やる”というスタンスを大事にされています。

毎年、10月末のハロウィンの頃には、フリーマーケットが実施されます。仮装した子どもたちが校庭に集まり、各家庭で不要になったものや手作りのものを持ち寄って、子どもが自分でブースを出して出店します。本校のマスコットキャラクター「カエルの池二郎」にちなんで“ケロ”という通貨を使って取引をします。PTAやおやじの会の皆さまが、飲み物や軽食、仮装小物を販売し、子どもたちは、ケロ通貨を使用して品物を買ったり、アルバイトをして稼いだり、とても楽しんでいました。私も魔女の仮装で参加しました。

PTA主催のフリーマーケット
PTA主催のフリーマーケット

地域の方に見守られ、安心・安全を感じられる住環境が魅力の大田区中央エリア

――大田区中央エリアの住環境の魅力についてお聞かせください

束田先生:大田区は23区の中でいちばん面積が広く、羽田から田園調布までいろいろな街があります。本校は中央8丁目という住所からもおわかりになるように、大田区の中央に位置しています。商店や事所、工場などが住宅地の中に点在するバランスの良い、暮らしやすい街だと思います。公園も身近な場所にありますし、本校の校庭も放課後になると多くの子どもたちが遊んでいます。

――治安についてはいかがでしょうか?

束田先生:地域の皆さまが、あたたかく子どもたちのことを見守ってくださっています。地域には「PSI池上自主防犯パトロール隊」という歴史のある組織があり、子どもたちは、様々な場面でお世話になっています。

転んで泣いてしまった子をおぶって学校に連れて来てくださったり、遅刻しそうになった子と手をつないで送ってきてくださったり・・・危険な遊びや問題行動の兆しが感じられるときには、学校に連絡を入れてくださいます。正門の横の横断幕にあるように「地域の皆さまに支えられて」学校運営を行っています。校長として毎月月初めには、地域を歩いて巡り、感謝の気持ちをお伝えしています。

横断幕
横断幕

校長先生も「いつかこの街に住みたい!」大田区中央エリアの魅力と地域と共生する教育内容

――学校付近のおすすめのスポットなどがあれば、ぜひ教えてください

束田先生:本門寺までの呑川沿いの並木道と「本門寺公園」がおすすめです。 本校から、池上通りを横切って本門寺に至る呑川沿いには、桜や百日紅の木が植えられています。春には、桜の花びらが舞い、菜の花が風に揺れる景色の先に、新緑の小高い丘から本門寺の五重塔が見え隠れする風景に息をのみます。夏の猛暑の折には、百日紅の鮮やかな紅い花が日差しに輝いています。秋には紅葉が夕焼け空に映え、虫の音も聴こえます。23区内とは思えない、里山のようなのどかな景色で、私のイチオシのスポットです。先日、地域の方から、東京タワーの夜景が見えるスポットも教えていただき、地域巡りの楽しみが一つ増えました。

本門寺公園は、本校の二次避難場所にも指定している場所です。子どもの足で歩いて15分くらいの丁度よい距離にあります。春には1・2年生合同で遊びに行ったり秋には1年生がどんぐり拾いに行ったり、特別支援学級の児童が本門寺までマラソンをしたりしています。

池上本門寺にほど近い場所にある「本門寺公園」
池上本門寺にほど近い場所にある「本門寺公園」

――この地域ならではのイベントなどはございますか?

束田先生:日蓮宗大本山の「池上本門寺」が近くにあり、10月に行われるお会式では各地から大勢の参詣者が訪れます。全国から集まった万灯練行列が池上の街を練り歩き大変に盛大です。子どもたちも出店巡りなどをとても楽しみにしています。

池上本門寺で毎年10月に行われるお会式の様子
池上本門寺で毎年10月に行われるお会式の様子

束田先生:本校と関連したイベントとしては、4月には本門寺公園や池上会館でガーデンパーティーが行われ、PTAやおやじの会、地域の諸団体が楽しい催しをしてくださいます。5月のGWには「呑川こども鯉のぼり大会」として、本校と池上小の合同で2年生と特別支援学級の児童が描いた鯉のぼりを呑川に飾っていただきます。5月には「太田神社の祭礼」で4年生の描いた絵が参道の階段に並びます。堤方神社の祭礼とともに大勢の子どもたちが神輿を担いだり山車を引いたりして参加しています。11月には地域の「ふれあいコンサート」があり、5年生全員が合唱で参加してトリの大役を務めます。「池上文化センターまつり」では、6年生が描いた絵を展示しています。

他にも、区立池上図書館に本校児童の推薦本をブースを特設して展示していただいたり、地域のスポーツGOMI拾いに参加したりしました。学校として、地域のイベントに積極的に参加するように努めています。

2年生と特別支援学級の児童が描いたこいのぼりが飾られる「呑川こども鯉のぼり大会」と5年生が参加する「ふれあいコンサート」
2年生と特別支援学級の児童が描いたこいのぼりが飾られる「呑川こども鯉のぼり大会」と5年生が参加する「ふれあいコンサート」

――地域と共生する教育内容について、お聞かせください

束田先生:大田区では、2025(令和7)年度より、区内すべての小学校で、区独自教科「おおたの未来づくり」をスタートします。「ものづくり」と「地域の創生」を柱として、学校ごとに様々な取組をしていくものです。

本校では、今年度は本格実施に先駆けて、1年生から全ての学年で、現在すでに実施されている地域と連携した学習を、発達段階に合わせて系統づけたり、新たな連携の可能性を調査したりしてきました。子どもたちが自分の住むまちに愛着をもち、まちをよりよくするためにはどうしたら良いかを考え、実践する活動につなげていきたいと思います。

5年生は、地域で造園業を営む事業者や大学でまちづくり等の教鞭をとられている方に授業パートナーを依頼して「自分たちの公園」について調べたり考えたりしています。「赤ちゃんからお年寄りまで、みんなが楽しめる公園とは?」など、自分のテーマを決め、実際に公園に行ったり、ネットで各地の公園を調べたりしています。この学習を通して、公園での自分たちの過ごし方を考えるきっかけにもなることを期待しています。子どもたちのアイデアが、一つでも実現したら嬉しいです。

6年生は、PTA会長から「新一年生保護者会で放映する学校のPR動画を制作してほしい」とオファーを受け、グループごとにコンセプトを決めて約15秒のCMづくりに励んでいます。制作には、7月に取材を受けたテレビ番組に携わっていらした方に授業パートナーになっていただき、ご指導を受けています。将来的に街のPRをするような活動に広がっていくとよいと思っています。

冒頭でお話しした「協育」とならんで、私が大切にしているのは「人財」というキーワードです。地域には様々な技術や経験、知識をもった方が大勢いらっしゃるので、皆さまのお力添えをいただき、子どもたちを「協育」していきたいです。

地域の公園のひとつ「佐伯山緑地」
地域の公園のひとつ「佐伯山緑地」

――これからこのエリアに住みたいと考えている方へメッセージをお願いいたします

束田先生:地域の皆さまに支えられ、本校は4年後に開校100周年を迎えます。未来を担う大切な子どもたちが、いつまでも地域の皆さまにあたたかく見守っていただけるように、「地域の学校」として、地域の皆さまと連携してまちづくりを推進していきたいと思います。

私が着任して3年目を迎えますが、地域の皆さまのあたたかい言葉に励まされ、また気遣いのある優しさに支えられ、協力的なご支援をいただき、充実した学校経営をさせていただいておりますことを心から感謝しています。

ある保護者が「自分は関西出身で池二とは縁もゆかりもなかったけれど、この地で子育てをして、今は自分のふるさとのように感じます。」と仰っていました。この気持ちが私にもよく分かります。私も退職したらこの近くに住みたいなと本気で思っています。

大田区は、内閣府から2023年度「SDGs未来都市」および「自治体SDGsモデル事業」に選定されました。このまちは、素晴らしいまちです。池上のまちの住みよさを、次の世代にもつなげていけるように皆で守り、笑顔とあたたかさあふれるすてきなまちを一緒に創って、未来につないでいきましょう。

「池上本門寺」と吞川沿いの街並み。束田先生お気に入りスポットだという
「池上本門寺」と吞川沿いの街並み。束田先生お気に入りスポットだという

 

大田区立池上第二小学校 校長 束田都美先生
大田区立池上第二小学校 校長 束田都美先生

大田区立池上第二小学校

校長 束田都美先生
所在地:東京都大田区中央8-9-1
電話番号:03-3753-9361
URL:https://www.ota-school.ed.jp/ikegamidai2-es/
※この情報は2025(令和7)年1月時点のものです。