「TAKANAWA GATEWAY CITY」の開発で、品川周辺の街並みが大きく変わる

東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて2020(令和2)年3月に「品川」駅と「田町」駅の間に暫定開業したJR「高輪ゲートウェイ」駅。2024(令和6)年度末に本開業を迎えるとともに、駅の西側隣接地に「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)」が誕生します。オープンスペースには「53 Playable Park」のコンセプトのもと、にぎわいを生み出す多様なParkも完成予定。その最新情報をレポートします。

「TAKANAWA GATEWAY CITY」鳥瞰図(提供:「JR東日本」)
「TAKANAWA GATEWAY CITY」鳥瞰図(提供:「JR東日本」)

未来への実験場「TAKANAWA GATEWAY CITY」

「TAKANAWA GATEWAY CITY」は、「高輪ゲートウェイ」駅の西側に隣接する品川車両基地跡地を利用してJR東日本が「品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)」として開発を進めている新しい街です。「100年先の心豊かなくらしのための実験場」をビジョンに掲げ、街の施設・設備や人に関するデータを収集・分析しながらアップデートを続けるスマートシティの実現を目指しています。

街のロゴマークは、かつて江戸への玄関口だった「高輪」が、日本全国・世界を繋げて生まれる新たなイノベーションによって、100年先の心豊かな未来へと繋がる「GATEWAY」となることを、「高」の文字を「GATE」の形状に見立てることで表現しています。

開発事業は南北に細長い区域を4つに分けて行われています。最も南の4街区の複合棟「THE LINKPILLAR 1」(North・South)と3街区の複合棟「THE LINKPILLAR 2」の計3棟がオフィス中心の棟となるほか、2街区には文化創造棟、1街区には住宅棟が建設されます。2街区の文化創造棟は6階建ての低層、それ以外の4棟はすべて超高層。2025(令和7)年3月の駅の本開業と同時に4街区が先行開業し、残りの3つの街区も2025(令和7)年度中の開業を予定しています。

南北の歩行者ネットワークや交流空間の整備により駅と周辺エリア全体を一体的につなぐ街づくりも大きな特徴です。駅東側連絡通路の整備により、これまで分断されていた東西の回遊性向上も期待されます。

「TAKANAWA GATEWAY CITY」ロゴマーク(提供:「JR東日本」)
「TAKANAWA GATEWAY CITY」ロゴマーク(提供:「JR東日本」)

「高輪ゲートウェイ」駅
「高輪ゲートウェイ」駅


エキマチ一体の「53 Playable Park」

都内最大級となる約4haのオープンスペースには、東海道五十三次から着想を得た「53 Playable Park」というコンセプトのもと、駅や広場からなる多様な遊び場(Park)が誕生します。「高輪ゲートウェイ」駅には新たに南改札が設置され、周辺に複数の店舗が開業。駅そのものが公園のような遊び・憩いの空間になります。

また、在来種を中心に多様な水生植物を取り入れ、住民・来訪者参加型のプログラムも実施する「ビオトープ」や、4街区North棟の28~29階に誕生する約2,000坪の「ボタニカル・ルーフトップ」のほか、約2.7haの緑あふれるパノラミックな景観が形成されます。

このほか2020(令和2)年に再開発エリア内で発掘された「高輪築堤」が現地保存・展示されることにも注目です。2027(令和9)年度に一般公開される予定で、明治の鉄道の歴史や当時の人々の偉業を肌で感じられる空間となりそうです。

駅前広場(提供:「JR東日本」)
駅前広場(提供:「JR東日本」)

ビオトープ(提供:「JR東日本」)
ビオトープ(提供:「JR東日本」)


街のシンボルとなる文化創造棟

2街区の文化創造棟は、国立競技場の設計も手掛けた建築家・隈研吾氏が外装デザインを担当しています。木と緑が大地と空をスパイラル状につなぐ特徴的な外観は、美しい日本の四季を表現し、新しい街のシンボルとして存在感を放つことでしょう。

文化創造棟は「100年先へ文化をつなぐ」というコンセプトのもと、新しい文化価値を創造する場となります。展覧会、ライブ、パフォーミングアート、イベント、学びなどさまざまな文化フォーマットに対応する多機能施設であり、光あふれる吹き抜けのホワイエや約100畳大のたたみ敷きスペースなど、交流・憩いの空間としても活躍しそうです。屋上庭園には足湯と水盤も設けられ、月見や花見などのイベントも予定されています。

文化創造棟(提供:「JR東日本」)
文化創造棟(提供:「JR東日本」)

文化創造棟ホワイエ(提供:「JR東日本」)
文化創造棟ホワイエ(提供:「JR東日本」)


大規模MICE施設やラグジュアリーホテルも

4街区「THE LINKPILLAR 1」South棟の地下1~2階、6階に入る「TAKANAWA GATEWAY Convention Center」は、駅直結型施設としては東京都心でも最大級のMICE施設です。地下には広さ約1,640平方メートルのコンベンションホール、6階にはサイズの異なる各種会議室を完備。羽田空港からのアクセスが良く、国際的な大型会議や学会、フォーラムなどにも対応できます。

米マリオット・インターナショナルが展開するラグジュアリーホテルブランド「JW マリオット」の首都圏初進出も話題を集めています。South棟22〜30階の全9フロアに客室約200室のほかオールデイダイニング、スペシャリティレストラン、バー、ラウンジ、プール、フィットネスセンター、スパなども備える予定で、至極の空間と安らぎのひとときを提供します。

「TAKANAWA GATEWAY Convention Center」B2Fホールイメージ(提供:「JR東日本」)
「TAKANAWA GATEWAY Convention Center」B2Fホールイメージ(提供:「JR東日本」)

「JW マリオット」内装(提供:「JR東日本」)
「JW マリオット」内装(提供:「JR東日本」)


広域スタートアップエコシステムの拠点施設も誕生

JR東日本はこの街を拠点として、広域スタートアップエコシステムの構築に取り組むとしています。スタートアップエコシステムとは、公的機関や研究機関、企業などが連携をとることでスタートアップ企業を支援しながら発展していくシステムのこと。好循環を生み出すビジネス環境を自然環境の生態系になぞらえています。

世界中の社会課題解決に取り組む広域スタートアップエコシステムの核となるのが、「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars’ Hub」です。東京大学、NUS、博報堂、リバネス、ジェイアール東日本企画などと連携し、100社以上のスタートアップによるビジネスの創造を「100年先の心豊かなくらし」に向かって長期サポートします。

施設としては、4街区のNorth棟・South棟の中に3つの「Studio」を開設。さまざまな業種の企業やスタートアップ、アクセラレーターが集うコワーキングスペースが設けられ、アカデミア、弁理士、弁護士、税理士などの専門家の支援を受けることができます。実証実験エリアでは会員企業の先進的なサービスを体験することもできます。

加えてNorth棟に開設される「Lab」には、環境・ヘルスケアなどに関する基礎研究に必要な実験機器が備えられる予定で、ディープテック系のスタートアップは初期投資を抑えて活動することが可能です。

広域スタートアップエコシステムイメージ(提供:「JR東日本」)
広域スタートアップエコシステムイメージ(提供:「JR東日本」)

「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars' Hub」(提供:「JR東日本」)
「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars' Hub」(提供:「JR東日本」)


まちびらきを盛り上げるイベントや動きも活発化

2020(令和2)年12月、JR東日本はKDDIとの間で分散型まちづくり「空間自在プロジェクト」に向けた基本合意書を締結。都市OS整備やデジタルツイン導入により、魅力ある分散型スマートシティの実現を目指すとしており、防災シミュレーション活用による安心安全なまちづくりやロボットを活用したサービスの開発などにも取り組んでいます。

まちびらきに向けたイベントも行われています。2024(令和6)年3月には「まちびらき前年祭 in March」として、街紹介コンテンツやラジオ公開生放送、マルシェ、Station Park 実証実験、スポーツイベントなど、「高輪ゲートウェイ」駅を中心に多彩なイベントが展開されました。5月には「街×ヒト×地域をつなぐ」をテーマに第2弾も開催されています。

都市OS概念図(提供:「JR東日本」)
都市OS概念図(提供:「JR東日本」)

「前年祭」の様子(提供:「JR東日本」)
「前年祭」の様子(提供:「JR東日本」)


2021(令和3)年からは緑を育てる取り組みとして「TAKANAWA HOP WAY」という活動も行われています。これは地域の企業・学校・住民と一体となってホップを育てるコミュニティ活動で、収穫したホップに高輪産はちみつを加えたオリジナルビールのイベント販売も実施しています。

「TAKANAWA GATEWAY CITY」は新しい医療プラットフォームのハブとしての機能も期待されています。JR東日本では2023(令和5)年から、駅を起点にオンラインも活用した「スマート健康ステーション」、いわゆるエキナカ診療所を展開していますが、「TAKANAWA GATEWAY CITY」においてもそのサービスを展開し、ネットワークを通じて日本各地へも展開していくとしています。

2025(令和7)年3月のまちびらきまで、いよいよあと数カ月。どのような街になるのか、品川周辺エリアの暮らしはどう変わるのか、期待が高まる一方です。


発見ポイント!

4街区North棟「ボタニカル・ルーフトップ」のイメージ(提供:「JR東日本」)
4街区North棟「ボタニカル・ルーフトップ」のイメージ(提供:「JR東日本」)

  • (1)公園のような遊び・憩いの空間を目指す「高輪ゲートウェイ」周辺
  • (2)「文化創造棟」をはじめ、周辺住民にとっても日常的に利用しそうな施設が建設予定
  • (3)2025(令和7)年3月のまちびらきに向け、最大の盛り上がりを見せています!

「TAKANAWA GATEWAY CITY」の開発で、品川周辺の街並みが大きく変わる
所在地:東京都港区 

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