40か国以上の子どもが通う国際バカロレア認定校「品川インターナショナルスクール」
京浜急行電鉄「青物横丁」駅とりんかい線「品川シーサイド」駅から徒歩5分程度のところに、国際バカロレア(IB)の認定校である「品川インターナショナルスクール(SIS)」がある。教育方針や充実したアフタースクールプログラムについて、また品川エリアの魅力について、Thomas Broadbent(トーマス ブロードベンツ)校長先生に伺った。
子どもたちは、未来の世界で生き抜く力を身につける
――まずは「品川インターナショナルスクール」の歴史や概要について、教えてください。
Broadbent先生:前身は在日トルコ人が通う教育施設で、2007(平成19)年に「神宮前スクール」として「渋谷区神宮前小学校」内に併設されました。その後、国際バカロレアプログラムにふさわしい環境を整えるため、2018(令和元)年6月に品川に移転して改名しました。それがシーサイドキャンパスで、Early Learning School(幼稚部)に3~6歳の子が通っています。2022(令和4)年には、小学1~5年生相当の子が通うPrimary School(初等部)、小6以上の子が通うSecondary School(中等部・高等部)があるメインキャンパスがオープンし、幼児から継続的に学べるようになりました。
秋期・冬期・春期の3学期制で、8月下旬に新年度が始まります。16~19歳を対象としたディプロマプログラムの認定も得られ、2024(令和6)年8月には新たに11年生(高2相当)、2025(令和7)年8月には12年生(高3相当)が誕生し、全学年がそろう予定です。現在は400名以上の子どもが通っています。
――次に、柱となる教育方針についてお聞かせください。特に日本の一般的な小・中学校と違うところを教えてください。
Broadbent先生:本校では40か国以上の国籍を持つ子どもを受け入れており、特定の国籍が25%を超えないよう調整しています。多様性を維持することでGlobal Citizen(世界の一員)としての意識を育み、偏見を持たない視野の広い人間を育成するためです。最も多い国籍の生徒はアメリカ人、日本人、韓国人、イギリス人、ドイツ人、トルコ人、、中国人、インド人、ロシア人などです。
幼稚部と初等部は1クラス22名、中等部以上は1クラス20名なのですが、学校全体だけでなく、学年やクラスの中でもそのバランスが大きく崩れないよう配慮しています。初等部以下は日本人がすでに上限に達しているため、定員の空きを待つ人がいる状況です。
Broadbent先生:日本の学校と違うのは、教科書に書いてあることを覚えて、先生が板書したことをノートに書き写し、ペーパー試験を受けることがメインではない点です。将来は不透明でどんな職業が出て来るかも分かりませんが、子どもたちは10年後、20年後に向き合わなければいけません。だからこそ、議論やプレゼンテーション、ポートフォリオの作成などを積極的に取り入れ、自ら問いを立てて調べる探求学習で好奇心や問題解決能力などを育んでいます。また、チームワークや批判的思考力、目的を決め計画を立てて期限内にやり抜く自己管理能力を身につけられるよう、教員一丸となって取り組んでいます。
デジタルツールの活用と同時に、AIやインターネットを利用したらそのことを明示する、AIやインターネットの情報を鵜呑みにせず書籍や新聞など信用できる情報源で確認する、といった情報倫理についてもしっかり教えています。
幼いほど環境に素早く適応し、英語も日本語もしっかり身につく
――どんな生徒が通っているのでしょうか。また、入学にはどのような能力が必要でしょうか。
Broadbent先生:港区、品川区、江東区、新宿区、世田谷区などにお住まいのお子さんが通っています。スクールバスは、広尾、白金台、高輪などをまわるルート、豊洲、芝浦、港南などをまわるルートなど8路線あります。保護者の中には大企業や大使館にお勤めの方、経営者の方などがいらっしゃいます。
Broadbent先生:入学は面談と書類審査、学力試験で決まります。幼児に関しては学力試験はなく、例えば3・4歳児は普段の様子を動画撮影してもらい、家庭内でどんな風に行動してコミュニケーションを取っているか見たり、以前通っていた保育園で描いた絵などを見せてもらったりします。
幼いほど環境に早く適応し、英語を早く身につけられます。3~5歳くらいであれば、本校に入ってくるとすぐに英語を覚えます。発達が著しい時期なので、英語も日本語もしっかり身につきます。そして読み書きは、どの国の子も5~6歳の時に教え始めるとよく吸収します。ただ、一定の英語レベルがあれば6~7年生など大きくなってからの入学も可能ですし、入学後は母国語が英語でない生徒をサポートするプログラムを利用することもできます。
――初等・中等教育のプログラム認定に加え、世界中で通用する大学入学資格を得られる高校生向けのディプロマプログラムが認定され、次年度から「国際バカロレア一貫校」になると伺いました。子どもたちが受ける教育はどう変わるでしょうか。
Broadbent先生:ディプロマプログラムは非常に難易度が高いので、対応できるよう初等部・中等部のカリキュラムを見直しています。また、大学入学を支援するカレッジカウンセリングやクラブ活動など、学力以外の面も整えています。子どもたちにとっては、学力面においても生活面においてもより良い環境になると思います。
近隣の公園やスポーツクラブをフル活用し、優れた教育環境に
――貴校の施設について、公立の小学校と比べて特に違う点があれば教えてください。
Broadbent先生:特に違いはないと思いますが、施設に関しては周囲の環境に非常に恵まれています。本校はあまり敷地が広くなく、校庭もありません。でも1分も歩けば立派なグラウンドやアスレチック遊具を備えた「鮫洲運動公園」がありますし、本校のはす向かいには大きな体育館やプールなど設備が充実した「コナミスポーツセンター」があります。だから休憩時間に遊ぶ場所はもちろん、体育の授業やアフタースクールプログラムの場にも困りません。
――毎年開催する「国際子供フェスティバル」や、アフタースクールプログラムでさまざまな活動を行っていらっしゃると拝見しました。これらの目的や、実施内容を教えてください。
Broadbent先生:どのイベントにも意味があり、すべてが学びにつながっています。「国際子どもフェスティバル」ではいろんな国の文化を体験するとともに、子どもの人権について学びます。日本は先進国ですから子どもの人権は比較的守られていますが、そうではない国もあり、選択肢を与えられない子どもたちがたくさんいます。世界に目を向けてそういったことも学び、彼らに何ができるのかを考えます。
Broadbent先生:他にも、リテラシーウィークでは世界にいろんな言語があることを学び、STEAMウィークでは楽しみながら科学について学びを深めます。初等部の終わりに行う研究発表も発表して終わりではなく、振り返りを行い、子どもたちは学んだことを今後どう自分の行動や暮らし、社会に反映させるかを考えます。
アフタースクールプログラムは中国語、サッカー、演劇、ダンス、バレエ、ロボット工学、空手など30種類以上あり、外部から講師を招くもの以外は無料です。子どもたちの新たな興味や才能を見つける機会を提供し、その可能性を最大限に発揮できるよう支援しています。
オフィス街と住宅街が共存する品川エリア 新幹線や空港も利用しやすい
――地域住民の方との関わりや交流イベントなどがあれば教えてください。
Broadbent先生:3~4年前には地域のお祭りに参加しておみこしを担いだりしたのですが、コロナ禍で交流は途絶えてしまいました。今後また何か考えて、地域の人とも交流したいと思います。
教育機関同士での交流は活発です。近くの聴覚障がいの子どもたちが通う「明晴学園」とは、互いの学校を訪問し合い、STEAMの授業を一緒に受けたり、歌舞伎鑑賞を楽しんだりしています。子どもたちは違いを尊重することを自然に学んでいて、今後も続けたいと思っています。「品川女子学院」とも交流があり、今年の1月には琴部の生徒さんに演奏方法を教えてもらいました。他のインターナショナルスクールとの交流もあります。本校の子どもたちは他国への関心が強いので、コロナ禍にはオンラインでタイやインドの学校とも交流していました。
――スクール周辺の品川エリアについて、地域の魅力をお聞かせください。
Broadbent先生:私は品川に住んでいるのですが、渋谷や新宿のような人込みがなく、落ち着いた雰囲気が気に入っています。オフィス街と住宅街が共存していて住みやすいと思います。いろんな公園があるのもいいですね。近くの「鮫洲運動公園」は休み時間や体育の授業で子どもたちがしょっちゅう利用していますし、他にも「天王洲公園」や「平和島公園」などたくさんありますよね。
また、交通の利便性が非常にいいですね。「品川」駅には新幹線も通っていますし、羽田空港はもちろん成田空港へも行きやすい。私は都会より田舎の方が好きなんですが、週末などに家族と一緒に伊豆などに気軽に出かけられますね。
品川インターナショナルスクール
校長 Thomas Broadbent(トーマス ブロードベンツ)先生
所在地:東京都品川区南品川3-6-21
電話番号:03-6433-1531
FAX:03-6712-3552
URL:https://sistokyo.jp/
※この情報は2024(令和6)年5月時点のものです。