計画的な町田市立小中学校の統合・建替えに注目が集まる!「新たな学校づくり」を推進する町田市教育委員会
0~14歳の転入超過数が毎年全国10位以内の多さを記録し、2023(令和5)年には0~4歳の転入超過数が政令指定都市を除いて全国1位となり話題となった東京都町田市。この数字は、子育て世代が住む場所に町田市を選択していることの証だが、そんな町田市では近年、新しいスタイルの学校づくり計画を推進している。
他自治体からも注目される「新たな学校づくり推進計画」について、今回は町田市教育委員会 学校教育部 新たな学校づくり推進課の担当課長 佐藤健さんと、主任 勝又優也さんにご協力いただき、本計画が注目されるポイントはどんなところにあるのか、お話を伺った。
単なる統廃合ではない、町田市の「新たな学校づくり推進計画」
――まずは、「新たな学校づくり推進計画」の概要をお聞かせください。
佐藤さん:本計画をわかりやすく伝えると“学校の統合・建替えを契機に、施設を新しくする計画”ということになります。この計画が進められた背景には、2020(令和2)年から2040年にかけて、町田市立の小・中学校に通う子どもの数が3割ほど急激に減少するという予測が関係しています。
町田市は高度経済成長期に各地で団地の開発が一気に進み、市内人口が急激に増えました。その影響で小中学校数も増えましたが、人口増加のピークを過ぎて子どもの数が減り、当時建てられた校舎が一斉に老朽化していることへの対応が町田市の大きな課題となっていました。この状況を“よりよい教育環境にしていく好機”と前向きに捉え、策定されたものがこの「新たな学校づくり推進計画」です。

佐藤さん:まずはこの計画を策定するにあたり、学校運営における学級数の適正規模について検討を行いました。保護者・教員・市民に実施したアンケート結果をもとに議論した有識者の意見を参考にし、小規模校と大規模校それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、町田市として望ましい学級数を小学校では1学年あたり3~4学級、中学校では1学年あたり4~6学級としました。将来的にこの学級数を維持していくことが、町田市の当面の課題と言えます。
――他自治体や他市議会から視察があるなど、この「新たな学校づくり推進計画」は注目を集めていますね。
佐藤さん:学校の統合・建替えにあたり、町田市では通学区域の検討や新施設の整備方針を市内全域で同時に、かつ計画的に進めてきました。将来を見据えて市内全域を対象に、計画的に進めていることが、他自治体から注目されているポイントだと思います。
今の子どもたちにとって、最適な学校とはどんなものかを考える町田市
――子育て・教育環境の改善について、町田市が大切にされていることはどんなことでしょうか。
勝又さん:町田市は、2024(令和6)年に「町田市子どもにやさしいまち条例(まちだコドマチ条例(ルール))」を制定しました。この条例では、保護者や地域住民などさまざまな立場で子どもに関わる大人は、一人ひとりが「子どもの権利」を理解して、考えて行動し、互いに支え合うことで、子どもたちが幸せに暮らせる“子どもにやさしいまち”の実現を目指すとしています。
「新たな学校づくり推進計画」では、子どもたちにより良い教育環境を整備するため、従来の教室を広くすること、可動式の扉を設置し廊下(オープンスペース)の一部を教室として使えるようにすることや、図書や視聴覚教材を活用しながら協働的な学習を展開する「ラーニングルーム」を整備します。

勝又さん:さらにハード面の整備が終われば民間のノウハウを取り入れて、子どもたちが放課後に「多様な体験・活動」が経験できる機会を提供したいと考え、子どもたちの課外活動を含めたソフト面の整備にも注力していきます。
――統合・建替えの対象となる各学校の整備後、各学校にそれぞれの違いや特徴が表れるのでしょうか。
勝又さん:公教育であることを踏まえると、市としてはすべての学校でよりよい教育環境を提供していくことが大切です。町田市では「町田市コミュニティ・スクール」として、地域の方々と連携しながら地域学校共働活動の展開や、学校の課題の解決を目指しています。そうした点で、その地域ごとの特色は出てくると考えています。
例えば創立150周年を迎えた「町田市立南第一小学校」のような伝統校であれば、その歴史がより良い形で受け継がれると思います。
南町田エリアにとっての「町田市立南第一小学校」の在り方
――「新たな学校づくり推進計画」では地域活用型学校とすることを目指されていますが、これはどのような学校のことでしょうか。
勝又さん:「地域活用型学校」とは本計画のために新たに打ち出したものではなく、計画の基本理念としていた新たな学校の在り方に改めて名称をつけたものです。
学校というのは教育の場であると同時に、地域の防災拠点としての避難施設でもあります。また、生涯学習やスポーツの場としての利用に加え、例えば盆踊りをはじめとした地域活動の拠点としてもご利用いただく等、学校という施設を地域に愛される施設にしていきたいと考えています。

――「新たな学校づくり推進計画」は、周辺住民や保護者など、地域との連携はどのように進められていますか。
勝又さん:各地区の統合・建替えの検討を始める際には、児童・生徒の保護者を含め、周辺住民の皆さまなど誰でも参加できる意見交換会を開催し、そこで意見を集約するようにしています。そしてその意見を参考に、保護者や地域、教員の代表にご参加いただき、取り組みを進めています。
例えば、保護者の皆さまからは通学路の安全対策についてのご質問を多くいただきます。「町田市立南第一小学校」の建替えの期間中である2027年度から2029年度までの3年度間は、「町田市立南中学校」の校庭に建てられた仮校舎を使うことになり、その間は通学先が変わります。そこで、その間の通学路について、実際に通学路を保護者や地域の方と確認するなどし、対策を実施しています。
また新校舎の完成後は、これまでと同様に、町田市コミュニティ・スクールとして、地域の方に協力していただきながら学校運営をしていきます。

町田市内でも、特に子育て世帯に人気のある南町田エリア
――「新たな学校づくり推進計画」を推進されている中で、町田市の子育て環境の良さについて改めて感じたことはありますか。
勝又さん:0~4歳児の転入超過数が高水準で推移していることからもわかりますが、町田市は子育て世帯・子どもたちの居場所や、子育ての相談ができる体制、サポートが充実しています。
例えば町田市では、市内の全小学校に学童保育クラブとは別に放課後の子どもたちの居場所(放課後子ども教室「まちとも」)を設けており、「町田市立南第一小学校」については、「まちとも」に加え、0~18歳までの子どもとその保護者が利用できる「町田市 子どもセンターばあん」もあります。このような子育ての環境が、転入超過という結果につながっているのではないかと考えています。
――最後に、南町田エリアの特徴や、おすすめスポットを教えてください。
佐藤さん:「町田市子どもにやさしいまち条例(まちだコドマチ条例(ルール))」を制定しているなど、町田市は子育てのしやすい街だと思います。中でも開発が進んでいる南町田エリアは、子育て世帯に人気の街として市内でもさらにブランド力が高まっていると感じます。
勝又さん:個人的には「南町田グランベリーパーク」に隣接する「鶴間公園」が気に入っています。また、町田市内ですとJR「成瀬」駅の北を流れる恩田川の桜並木が好きですね。春はもちろん季節ごとのよさがあり、散歩するにはとてもよいところです。
地形を生かした「鶴間公園」をはじめ、身近に緑があるというのもよいところだと思います。

町田市教育委員会
学校教育部 新たな学校づくり推進課
担当課長 佐藤健さん
主任 勝又優也さん
所在地:東京都町田市森野2-2-22
電話番号:042-722-3111
URL:https://www.city.machida.tokyo.jp/
※この情報は2025(令和7)年3月時点のものです。
