特別インタビュー

子どもたちのかけがえのない経験のために、挑戦し続ける「新座市立新堀小学校」

西武池袋線「清瀬」駅から徒歩約15分に位置し、東京都に囲まれた新堀エリアにある「新座市立新堀小学校」。2022(令和4)年度より着任した若林寿校長先生は、インターナショナルスクールとの交流や学校応援団の立ち上げなど、積極的に新たな取り組みを進めています。

今回は、同校の教育活動や地域との連携、新堀エリアの魅力についてお話を伺いました。

取材にご協力いただいた、若林寿校長先生
取材にご協力いただいた、若林寿校長先生

ポジティブな声かけで子どもたちの自信を育む

——まずは、「新座市立新堀小学校」の変遷、現在の児童数・学級編成や、通学区域の特徴について教えてください。

若林校長先生:かつて新座市は畑と屋敷を囲む「屋敷森」に囲まれた農村でした。宅地化が進んで人が増えてきたため、150年ぐらい前からある近くの「新座市立西堀小学校」から分かれる形で、1974(昭和49)年に本校が作られました。現在新座市にある小学校の半分ぐらいは、本校と同じように人口が急増した50年前ぐらいに誕生しています。

現在は5年生だけ2クラスで、他は3クラス。児童数は447名です。1学年が大体70人強なので、1クラス20数名。少人数教育を実現しています。多少の増減はありますが、児童数はこの20年横ばいです。約1年後に近くに大型マンションが完成予定なので、今後はまた少し増える見込みです。

正門と校舎
正門と校舎

若林校長先生:本校の通学区域である新堀エリアは、埼玉県でありながら東京都に入り込むような位置にあり、北側は清瀬市、南側は東久留米市に接しています。児童の多くは「清瀬」駅を最寄りとし、近い児童であれば徒歩5分ほどで通学可能です。また、「東久留米」駅を利用する児童も多く、生活圏の大半が東京都側に広がっていることが新堀の特徴です。

——貴校のめざす学校像や取り組み姿勢について教えてください。

若林校長先生:私が欧米の教育現場で学んだ知見を活かしたいと考え、「グローバル人材の育成」「ICT化への対応」をミッションとし、「未来の社会を生き抜く力の基礎を築く学校」をめざしています。子どもたちに対しては「スマイル&チャレンジ」を合言葉に、ポジティブな声かけを継続的に行っています。頑張りや良さを認められ、褒められることによって、子どもたちは自信を高めていきます。そして子どもが何かに挑戦したときは、結果だけでなく過程を振り返って次につなげる意識を大切にしています。

廊下を飾るフォトギャラリー
廊下を飾るフォトギャラリー

若林校長先生:学校では、以前は前年度の踏襲が評価される傾向にありました。しかし、流れが止まれば水が淀むように、挑戦がなければ教育も停滞してしまいます。私が着任した際には、「コロナ禍が明けても、過去の行事を知る人が少なく、再開が難しい」という声が教職員から上がっていました。それならば、過去に縛られず、新たに始めればよいだけです。挑戦する姿勢を大切に、さまざまな取り組みを積極的に進めています。

広い校庭も学校の魅力の一つ
広い校庭も学校の魅力の一つ

——通学しているお子さんやご家庭の特徴について教えていただけますか。

若林校長先生:昔からこの地に住んでいらっしゃる方もいますが、本校の学区には他所から引っ越してきた方が多いです。

学習塾などの習い事に通う児童も多く、教育熱心な共働きのご家庭が多い印象です。都内に比べると少ないですが、中学受験する子も1~2割程度います。去年は約80名中20名ほどが中学受験をしました。

近くのインターナショナルスクールと連携し、交流学習や交換留学体験を実施

——保護者の学校におけるさまざまなボランティア活動を、どのように感じていらっしゃいますか。

若林校長先生:以前は、役員や広報・廃品回収などの役割が、くじ引きで保護者へ強制的に割り振られていました。仕事を休んで参加するという現状があったため、昨年度からは役員などのメンバーはオール立候補制、必要な活動ごとにボランティアを募る方式へ変更しました。その結果、昨年度は6名、今年度は15名ほどが立候補。やりたい人ができるときに主体的に関わる形となり、皆さんいきいきと活動されていると感じています。

学校のキャラクター「スマイリー」。Smile & ChallengeのSとCを結ぶ虹は多様な個性を表現
学校のキャラクター「スマイリー」。Smile & ChallengeのSとCを結ぶ虹は多様な個性を表現

——「学年ONEチーム」はどのような目的で始まり、授業や行事でどのように機能していますか。

若林校長先生:本校では「学校Oneチーム & Ourチーム」をテーマに連携を進めています。今年度は、学年内教科担任制の推進や合同授業など、学年の担任全員で子どもの学びに関わる取り組みを行ってきました。それが「学年ONEチーム」です。子ども一人ひとりが自分の良さを最大限に発揮できるようにと始めました。より多くの先生が子どもたちを見ることになり、子どもたちの安心感につながっていると思います。

普通教室の様子
普通教室の様子

——CAJなどインターナショナルスクールとの交流、交換留学体験のはじまりと、現在の反響を教えてください。

若林校長先生:本校に体験入学を希望する児童がいたことをきっかけに、CAJ(クリスチャン・アカデミー・イン・ジャパン)のパートナースクールとなりました。受け入れを行うのであれば、本校の児童も見学させてほしいとお願いし、まずは2年生が生活科の「まち探検」として、保護者同伴で訪問したのが始まりです。

翌年度からは春休みを利用した交換留学体験をスタート。1日体験から始まり、現在は2日間のプログラムを2回実施しています。対象は新2~6年生で、各クラス2名ずつ、合計約30名が参加しています。今年度も昨年同様に実施予定です。費用は互いの受け入れによるギブアンドテイクのため、一切かかりません。

CAJ交換留学体験の様子(「新座市立新堀小学校」令和6年度学校ブログより)
CAJ交換留学体験の様子(「新座市立新堀小学校」令和6年度学校ブログより)

若林校長先生:6月には本校が2週間受け入れを行っています。CAJの子どもたちはバイリンガルのため、本校の教員も安心して受け入れることができます。最終日には別れを惜しんで抱き合い涙する場面も見られます。文化や生活習慣の違いを、子どもたちは自然に乗り越えてしまうのだと実感しています。

CAJへの留学体験には、30名の枠に対し、毎回約250名もの希望が集まることからも、子どもたち・保護者ともに異文化理解や語学力向上への関心が非常に高いことがうかがえます。保護者の方からは「こんなに素晴らしい取り組みをありがとうございます」「なくなったら困る」といったお声もいただきます。教員間で連携体制を構築しているため、私の異動があってもしっかり引き継げる体制を整えています。
また、この取り組みは、学校運営協議会の承認を得て進めているものです。学校全体として継続性を担保しているため、簡単に途切れることはありません。

さまざまな人に支えられている実感が、地域への感謝や愛着を育む

——学校応援団はどのように生まれ、どんな活動を行っていますか。参加者やスケジュール、活動の成果も伺いたいです。

若林校長先生:学校応援団は現在7つあるので、その一部をご紹介します。2023(令和5)年3月、コロナ禍で3年間休止していた保護者による読み聞かせボランティアの活動が再開に向けて動き出しました。しかし当時のメンバーは5人のみ。そこで「西堀新堀コミュミティセンター」で活動するグループに協力いただき、新たに「新堀小学校 読み聞かせの会」が立ち上げられました。毎月第2月曜日に、学校図書館で全クラス一斉に行っています。

図書ボランティアによる季節の飾りつけも素晴らしい、広々とした学校図書館
図書ボランティアによる季節の飾りつけも素晴らしい、広々とした学校図書館

若林校長先生:「楽農会」は2023(令和5)年4月に始まりました。本校は、シルバー人材センターに所属する地域の方々に、ボランティアで登下校の見守りや学校の除草などをしていただいています。その会合に参加したとき、体育館裏のスペースを活用して農園を設置するということへ話が広がりました。そして「楽農会」が結成され、約半年かけて子どもたちと農園を整備しました。現在は毎月曜に活動中、地域の方々・子どもたち・教職員が繋がる居場所となっています。栽培した野菜を給食で使うこともあります。

「楽農会」の方々が育てている体育館裏のファーム
「楽農会」の方々が育てている体育館裏のファーム

若林校長先生:多様な人々と関わる学校にしたいという考えから、こうした活動を推進しています。欧米の日本人学校は、日本企業や保護者のバックアップが強力な、いわば最強のコミュニティスクールです。多彩なゲストティーチャーによる特別授業が数多く行われ、子どもたちはかけがえのない経験をします。
私が派遣されたドイツやアメリカの日本人学校では、外国で活躍する日本人サッカー選手や野球選手が来校してくれました。本校にもパリ五輪の金メダリストが来てくださり、全18クラスを回って子どもたち全員と握手してくれました。子どもたちは大喜びで、中には感激のあまり泣いている子もいました。金メダル獲得の快挙はもちろん、優れた人間性も子どもたちの心に一生残ることでしょう。学校を地域・社会に広く開くことにより、このような奇跡的な出来事が実現しています。

「華や花会」の皆さんが手入れし、一年中美しい花を咲かせるフラワーガーデン
「華や花会」の皆さんが手入れし、一年中美しい花を咲かせるフラワーガーデン

若林校長先生:他校や地域の方に関わってもらうことで、子どもたちは多様な人に支えられている実感を持ち、地域への感謝や愛着が育まれます。それは地域の活性化、将来の地域人材の育成にもつながります。

学校応援団の中心となっているのは、この地域に50年以上住む70〜80代の方々です。新堀への深い愛着から、「子どもたちに新堀を好きになってほしい」「地域を支える人材になってほしい」という思いで、意欲的に企画・活動されています。

こうした地域ぐるみの子育ての取り組みは、着実に成果を見せ始めています。子どもから高齢者までが気軽に集い、交流を深める「ふれあいカフェ」や、絵を描いた紙袋の中に灯りをともして楽しむ「灯明まつり」(新堀芸術村展)など、学校を通じてつながった人々のアイデアから生まれたものです。

現在では、集会所やコミュニティセンターに子どもたちが自然と集まり、地域のにぎわいが戻りつつあります。

来校した人が休憩できるスペース。吊るされているのは楽農会活動で作った干し柿。
来校した人が休憩できるスペース。吊るされているのは楽農会活動で作った干し柿。

——地域との連携を深めるために、どのような活動をされていますか。

若林校長先生:コロナ禍の2022(令和4)年の学校運営協議会で、地域の方から「西堀新堀コミュニティセンター(以下 コミセン)」との連携が提案されました。この提案から、広報体制を見直すきっかけとなりました。

そこで、コミセン内のスペースやモニターをお借りし、学校の取組を展示・発信するようになりました。コミュニティ・スクール新堀小と西新コミセンとのコラボレーションのスタートです。掲示物やスライドショーは毎月更新しており、コロナ禍で利用者が減っていたコミセンにも、再び活気が戻りつつあります。今年の「コミセンまつり」には、総勢2,000名が訪れたと伺っています。昨年度からは、教育コーディネーター「ミライプラス」の協力を得て、コミュニティ・スクールの活動強化を進めています。

学校図書館の中央にある、くつろいで読書を楽しめる人気のスペース
学校図書館の中央にある、くつろいで読書を楽しめる人気のスペース

——最後に、新堀エリアで子育てする魅力を教えてください。また、子ども連れで楽しめるおすすめのスポットや、日常生活でよく利用されている周辺施設も伺えますか。

若林校長先生:地域の方々が、住民や子どもたちを思う温かい人ばかりだということです。新堀には3つの町内会があり、皆さま熱心に活動されています。地域のブレーンとも言うべき方々で、運営協議会にも参加してくださっています。各町会が夏祭りや秋祭り、餅つき大会などさまざまな催しを行っていて、多くの子どもたちが楽しんでいます。

若林校長先生:おすすめスポットは、本校の近くにある清瀬市児童センター「コロポックル」です。設備が整っていますし、図書コーナーに入れる本を子どもたちが話し合って決めるなど、子ども主体の運営方針も素晴らしい。本校の子どもたちが放課後よく遊びに行っていますし、2年生は施設見学に行かせていただいています。埼玉県民も利用させてくれる懐の深さもありがたいですね。

清瀬市児童センター「コロポックル」
清瀬市児童センター「コロポックル」

子どもたちにかけがえのない経験をさせるために 新たなことに挑戦し続ける「新座市立新堀小学校」
子どもたちにかけがえのない経験をさせるために 新たなことに挑戦し続ける「新座市立新堀小学校」

新座市立新堀小学校

若林寿校長先生
所在地:埼玉県新座市新堀1-16-5
電話番号:042-493-7551
FAX番号:042-495-7693
URL:https://e-shinbori-c-niiza.edumap.jp/
※この情報は2025(令和7)年11月時点のものです。