スペシャルインタビュー

新校舎やグラウンドに生徒の意欲も向上!2020(令和2)年に複合施設として再スタートをきった「東京都北区立浮間中学校」

JR埼京線「浮間舟渡」駅から徒歩約2分。浮間地区にある「北区立浮間中学校」は、1959(昭和34)年に開校した歴史ある学校だ。2020(令和2)年4月には校舎の改築工事が終わり、「北区立浮間図書館」と「浮間子ども・ティーンズセンター」を併設した複合施設として新たな再スタートをきった。今回は、同校に赴任して2年目を迎える奥村校長先生に、新校舎の設備や特徴、教育の取り組みなどについてお話を伺った。

お話を伺った奥村校長先生
お話を伺った奥村校長先生

児童館と図書館を併設した、区の新しい子育て拠点

――まずは「北区立浮間中学校」の概要を教えてください。

奥村校長:生徒数は1年生150人、2年生153人、3年生134人の計437人の中学校です(2020(令和2)年7月時点)。普通学級が1学年4クラスずつに加えて特別支援学級が2クラスあり、学校全体で計14クラスとなっています。教職員は36名で、「自ら考え正しく判断し、主体的に行動できる生徒」、「感性豊かで思いやりのある、礼儀正しい生徒」、「心身ともに健康な生徒」を教育目標に掲げています。子どもたちは基本的に「北区立浮間小学校」、「北区立西浮間小学校」の2校から入学してきます。浮間地区は現在子育て世帯が増えているため、5年後の段階では200人ほどの生徒が入学してくる見通しとなっています。新しい校舎は、その想定で人数が増えても困らないよう、ゆとりをもって設計されています。

2020(令和2)年4月に開設された、「北区立浮間中学校」を含む複合施設外観
2020(令和2)年4月に開設された、「北区立浮間中学校」を含む複合施設外観

――改築に至った経緯、理由について教えてください。

奥村校長:校舎の老朽化が1番の理由です。近くの「浮間図書館」と「浮間子ども・ティーンズセンター」も同様に老朽化が進んでいたため、3つの施設を集約した複合施設として建て替えることになったのです。ここは駅前の好立地でアクセスが良く、子どもの数が増えている地域でもあるので、区の子育て拠点として非常に適していたこともあり、この地に建設されることになりました。

最新設備が整う新しい環境が、生徒たちに意欲を与える

――今回の改築では新しく様々なスペースが設けられたそうですね。「教科ギャラリー」、「オープンスペース」、「グラウンド」など、新しい設備・機能についてご紹介いただけますか。

奥村校長:「教科ギャラリー」というのは、特別教室の準備室前に設けた展示スペースのことです。生徒が普段から学習に興味・関心をもてるよう、その教科に関する掲示などを目に見える場所に置いておく予定です。「オープンスペース」は、普通教室のある各階に設けられた、廊下と一体的な空間です。授業時間以外にも教員と生徒、生徒同士が自然と交流できるよう、また展示スペースとして設けられました。併設施設との接点となる吹抜け空間などに設け、地域の活動を身近に感じさせる狙いもあります。それぞれまだあまり効果的に使えていないのですが、これから充実させていく予定です。

進路関係の資料などが置かれた「オープンスペース」
進路関係の資料などが置かれた「オープンスペース」

「グラウンド」には1周200mのトラックがあり、野球、サッカー、テニス、陸上など幅広い競技に対応する汎用性の高い人工芝を採用しています。立派な夜間照明もあり、日が短い冬場も安全に部活動ができると期待しています。

全面に人工芝を敷いた「グラウンド」
全面に人工芝を敷いた「グラウンド」

――区立中学校とは思えないほどのきれいさと充実ぶりですね!

奥村校長:屋上には太陽光発電パネルも設置されていて、天気が良ければ本校で使う照明の電力はほとんど賄えると聞いています。屋上には「理科テラス」と「屋上プール」もあり、どちらも素晴らしい設備です。理科の教材用に作られた「理科テラス」のビオトープに4月にメダカを放したのですが、産卵して200~300匹まで増えて、近隣の小学校にお配りしました。

「理科テラス」
「理科テラス」

「屋上プール」は名前の通り屋上にあるため、学校のそばを通る人の目を気にすることなく、生徒がのびのび泳げることが大きな利点でしょう。ろ過機が付いているので水質も安心です。落ち葉が入らないので管理面でも楽になりました。照明はすべて、消費電力が低く長寿命のLED照明です。廊下やトイレは人感センサー式なので、無駄もありません。

人目を気にせず泳げる屋上プール
人目を気にせず泳げる屋上プール

LEDライトによって明るく照らされる廊下
LEDライトによって明るく照らされる廊下

――校舎が新しくなったことも踏まえ、今後の展望をお聞かせください。

奥村校長:校舎やグラウンドが新しくなって、生徒たちは非常にやる気になっています。教員も、最新のICTを活用してより良い授業を展開できるよう努力しています。これをきっかけに、生徒が学習にも部活にも前向きに取り組んでくれればと願うばかりです。

複合施設のメリットを生徒の学びと成長に活かす

――併設されている「浮間図書館」、「浮間子ども・ティーンズセンター」と連携した取り組み、計画などはありますか。

奥村校長:最も多いのは施設の共用ですね。普通教室の2つ分程度の広さがある多目的ホール「さくら草ルーム」は、3施設の共用スペース「浮間ラウンジ」と隣接していて、間仕切りを外せばより広くできます。ティーンズセンターも図書館も、大きなイベント時には共用部を使うので、武道場や和室も含め、本校が使わない時間は活用していただくつもりです。また、現在は新型コロナウイルス感染拡大予防のためまだ本格的に稼働していないのですが、図書館では月に一度絵本の読み聞かせ会も予定しているので、再開したら図書館と隣接した本校の「学習室」も使ってもらう予定です。

複合施設といってもエリアのすみ分けははっきりしているため、普段の学校生活では生徒と施設の利用者との交流はありません。ただ、併設施設の利用者さんの姿を目にする機会が増えましたから、これまでより地域の人を身近に感じていると思います。

茶道部の生徒らが利用する、広々とした和室
茶道部の生徒らが利用する、広々とした和室

武道場
武道場

中学校所蔵の図書が並ぶ「学習室」
中学校所蔵の図書が並ぶ「学習室」

――共用部のシェア以外に、授業やイベントなどで「浮間図書館」、「浮間子ども・ティーンズセンター」と関わる機会はありそうでしょうか。

奥村校長:特に「浮間子ども・ティーンズセンター」とは、授業やボランティア活動など協力していく予定です。3年生の技術・家庭科の授業にある保育実習を、今年は施設内で行う予定なんです。ティーンズセンターさんにお願いして乳幼児の保護者の方にお声がけいただいたところ、20人くらいの利用者さんがご協力くださると聞いています。ありがたい限りです。ボランティア活動としては、主にティーンズセンター主催のイベントの手伝いを予定しています。今後は、毎年「浮間一丁目緑地公園」をメイン会場に行われていた地域のお祭り「浮間このはまつり」を本校でやろうという話になっているんです(2020(令和2)年度の開催については新型コロナウイルス感染予防対策の観点より実施未定)。開催が決まった際には、生徒には思い切り楽しんでもらいたいのはもちろん、ぜひ運営スタッフとしても協力してほしいと思います。

陽光を効果的に取り込める、冷暖房完備の明るい体育館
陽光を効果的に取り込める、冷暖房完備の明るい体育館

北赤羽は、広い空が魅力の落ち着いた住宅街

――ここまで、校舎の改築についてお話を伺ってきましたが、中学校が力を入れて取り組んでいること、独自の活動などありましたらそちらもぜひご紹介ください。

奥村校長:伝統的に力を入れて取り組んでいる活動は、弁論大会です。3年生には夏休みの課題として出し、夏休み明けに各クラスで実施。そこでクラス代表を決めて学年大会を行い、その優秀者は文化祭で発表もします。1・2年生はその先輩の弁論から学び、冬休み中に各自テーマを決めて1月にクラスで行い、各クラス代表による学年大会を実施します。3年間を通して実施することで、表現力や論理的な思考力を養っていくのが目的です。

普通教室の様子
普通教室の様子

――地域やPTAと協力して取り組んでいる課外活動などもありましたらお聞かせください。

奥村校長:PTAのみなさんと一緒に、毎年夏休みの終わり頃には地域の清掃活動を行っています。「北区立浮間小学校」と「北区立西浮間小学校」と協力し、同じ日に各学校で手分けして担当エリアを清掃するんです。一度でかなりの量の落ち葉が集まりますよ。

――最後に、北赤羽の街の魅力についてご紹介ください。

奥村校長:このあたりは繁華街などがないので、非常に静かですよね。視界をさえぎる大きな建物が少なく、空が広い点も大きな魅力だと思います。晴れた日には4階の教室から、富士山やスカイツリーが見られるんですよ。あと、このあたりは少年サッカーが盛んで、浮間地区はかなり強いと聞いたこともあります。水と緑がきれいな「浮間公園」もあり、住みやすく、子育てにはうってつけの環境ではないでしょうか。

「浮間子どもスポーツ広場」でサッカーの試合中の少年たち
「浮間子どもスポーツ広場」でサッカーの試合中の少年たち

校舎外観
校舎外観

東京都北区立浮間中学校

校長 奥村宏さん
所在地:東京都北区浮間4-29-32
電話番号:03-3967-0226
※この情報は2020(令和2)年7月時点のものです。