利用者を地域とつなぐ架け橋 浮間地区唯一の児童館「浮間子ども・ティーンズセンター」
JR「北赤羽」駅から徒歩4分。都営住宅の1階にある「浮間子ども・ティーンズセンター」は、浮間地区にある唯一の児童館だ。周辺は公園が多く、豊かな緑に囲まれ、隣接して「浮間図書館」が建っている。今回は所長の奥村さんに、当センターの取り組みや北赤羽エリアの子育て環境や魅力をについてお聞きした。
乳幼児親子から中高生まで幅広い子どもたちが対象
――まずは「浮間子ども・ティーンズセンター」の概要、地域における役割を教えていただけますか?
奥村さん:利用対象は0~18才までの子どもですが、主な対象は乳幼児親子と中高生です。以前は利用者の半数以上を小学生が占めていましたが、各小学校内に小学生向けの新たな居場所「わくわく☆ひろば」ができたので、その割合が減りました。現在、乳幼児親子には、遊び場の提供と育児相談などを通した子育て支援、中高生には、居場所の提供を行っています。浮間地区においては、利用者を地域とつなぐ役割を担っているのが当施設です。
―利用方法と利用状況について教えてください。
奥村さん:小学生以上の子どもたちには、来館時に入館カードを提出してもらっています。氏名の記帳だけでも利用可能ですが、よく足を運ぶ子は入館カードを作っていますね。乳幼児親子の場合は、保護者の氏名と子どもを含めた利用人数を書いてもらっています。1日の利用者数は、昨年2018(平成30)年度平均で112人でした。
―館内にはどんな設備がありますか?
奥村さん:広い「プレイルーム」をネットで区切って活用しています。幼児は一日中ここで自由に遊べますが、他の活動が行われる場合はスペースをシェアして使う必要があるんです。午後5時半以降は中高生の専有スペースを確保し、ダンスや卓球などのクラブ活動を行っています。奥の「ベビールーム」は、ハイハイするまでの小さな子どもが安心して過ごせる場所になっています。小学生以上の子が読書やトランプ、ボードゲームなどを楽しむ「図書コーナー」は、お昼の12時から1時間の間はランチルームとしても利用されます。積み木、プラレール、おままごとセットなど遊具も充実していますよ。
「親育ちサポート事業」で育児に悩む保護者を支援
――こちらを利用されている乳幼児親子の方は主にどのような目的でいらっしゃる方が多いですか?
奥村さん:「安心できる場所で他の子どもたちと一緒に遊ばせたい」など、利用の理由はいろいろあると思いますが、“育児中のママやパパの居場所”という点での役割が大きいと感じています。北区では、育児に悩む保護者の方々を支援する「親育ちサポート事業」に力を入れているんですよ。
――具体的に、どんな取り組みがありますか? また、利用者の反応はいかがでしょうか。
奥村さん:一番に紹介したいのは、「ノーバディズ・パーフェクト・プログラム」です。参加者が経験を分かち合い、自分らしい子育て術を学ぶ保護者向けの講座になります。子育てはわからないことだらけであることが当たり前。「みんな同じことで悩んでいるんだ」と知ることで、お気持ちが楽になれることもあると思います。実際、利用者の皆さんからは「子育てに前向きになれた」「イライラが減った」などうれしい声をいただいています。毎週水曜日に実施している臨床心理士による育児相談も、気軽に相談できると好評です。
―親子で楽しめるイベントにはどんなものがありますか?
奥村さん:未就園児を対象とした登録制(無料)の「乳幼児クラブ」活動を実施しています。月曜午前11時からは0歳児向けの「ひよこクラブ」、火曜午前11時からは1歳児向けの「あひるクラブ」、火・木曜午前10時45分からは2・3歳以上向けの「きりんクラブ」と「ぞうクラブ」という具合に、手遊びやリトミック、ベビーマッサージなどの活動を年齢別に実施しています。また、利用者の方が中心になって企画した「とりかえっこ」というイベントも人気があります。子どもが着られなくなった服を交換しながら、その場で交わされるコミュニケーションをきっかけとして、地域の大人たちの顔がつながり、子育て環境の地盤をつくる機会となるようなイベントです。
2020(令和2)年春には、移転して新しい複合施設に
―2020(令和2)年4月には施設が移転するそうですね。移転理由や新施設で予定されている設備などを教えてください。
奥村さん:「浮間中学校」が老朽化によりその改築が決まった際、どんな建物にするかを話し合う中で、周辺にある当館と「浮間図書館」とを合わせた複合施設にすることになりました。
人口が増えている地域なので、駅前の好立地を活かし、地域の子育て拠点となることを目指しています。複合化のメリットを活かし、設備の共用化やタイムシェアを行って設備を最大限活用できるようにと計画されています。
音楽室を2室の他、中高生専用の居場所となる場も設けられるようです。今まで以上に中学校との連携が深まることによって、子どもたちにとってより良い環境を作れたらと思っています。2020(令和2)年春にはオープニングイベントの実施を予定しています。
―地域と連携して取り組んでいる活動があればぜひご紹介ください。
奥村さん:「児童館ネットワーク事業」では、地域の民生児童委員や利用者である保護者の方とともに様々な活動をしています。中でも評判がよいのは、中高生が乳幼児と交流する「サンタ事業」です。中高生がサンタやトナカイの衣装を着て、ご家庭からお預かりしたプレゼントを家に届けるんです。小さい子に対する優しい気持ちが芽生えるのと同時に、保護者のみなさんの気持ちや立場を体験する機会にもなっています。毎年10月に「浮間一丁目緑地公園」で行う「浮間このはまつり」も、地域と連携して取り組んでいます。例年1,600人くらいが参加する大きなイベントです。保護者の方が大勢でボランティアとして手伝ってくださる他、小学3年生以上が参加できる「子ども実行委員会」の子どもたちにとっては、自分たちの考えや思いを形にできる場なので、運営にはりきっています。
―北赤羽エリアの魅力やおすすめスポットを教えてください。
奥村さん:自然が豊かで、公園がたくさんあるところですね。魚釣りやザリガニ釣りを楽しめる「浮間つり堀公園」では、青少年浮間地区委員会と共催で「浮間ふれあいフィッシング大会」を毎年開催していて、たくさんの小学生で賑わいます。秋にデイキャンプを行っている「赤羽自然観察公園」には湧水や水田があって、自然を身近に観察できますよ。他にも、遊具が充実した「浮間北公園」、荒川と隅田川とを仕切る「岩淵水門」など、楽しいスポットがたくさんあります。フォトジェニックな風車で知られる「浮間公園」と、隣接する「浮間桜草圃場」も外すことはできませんね。浮間地区は桜草が有名なので、毎年春に開催される「さくら草祭り」はぜひ多くの方にご覧になっていただきたいです。
浮間子ども・ティーンズセンター
奥村栄子所長
所在地:東京都北区浮間1-8-2-101
電話番号:03-3960-5301
URL:https://www.city.kita.tokyo.jp/k-wakuwaku/jidokan/ichiran/ukima/
開館時間:9:30~19:00(土曜日は~17:30)
休館日:第1月曜日、日曜日、祝日、年末年始
※この情報は2019(令和元)年8月時点のものです。