スペシャルインタビュー

想いを伝える極上の鰻と家庭料理が人気の老舗「まるます家 北赤羽店」

隣の「赤羽」駅の賑わいから離れて、静かで落ち着いた住宅街が広がる「北赤羽」駅エリア。この一角にあるのが、絶品鰻と温かい家庭の味を楽しめる、地元に根づいた老舗「まるます家 北赤羽店」。居酒屋として巷で知られる「鯉とうなぎのまるます家 総本店」から暖簾分けをしたお店で、料理の美味しさはもちろん、良心的な値段とサービスに定評がある地元の人気店だ。 今回は、ご両親とお店を経営する店主の平田さんに、地元を中心に親しまれる店づくりや日頃大事にしていることについてお話を伺った。

北赤羽駅から徒歩約3分、住宅街に佇む家族経営のお店「まるます家 北赤羽店」
北赤羽駅から徒歩約3分、住宅街に佇む家族経営のお店「まるます家 北赤羽店」

あたたかさが感じられる家族経営のお店

―お店の沿革(開店のきっかけ)やコンセプトをお聞かせください。赤羽にも「まるます家」さんがありますが、そちらの店舗さんとはどういった関わりがあるのでしょうか?

平田さん:実家はもともと浦和の魚屋だったのですが、両親が赤羽に出てきたんです。そして赤羽にある「鯉とうなぎのまるます家 総本店」で両親が約30年働いて、暖簾分けで1990(平成2)年にここ北赤羽にお店を開きました。現在は、父と母と私の3人で営業をしてますが、忙しい時には姉や義理の母、娘も手伝いに来てくれたりと家族みんなで経営しています。

店内には、店に訪れた著名人のサインが多数並んでいる
店内には、店に訪れた著名人のサインが多数並んでいる

鰻屋なので提供しているメニューは鰻がメインですが、その他にも刺身や焼鳥、揚げ物なども出しています。凝った日本料理ではなく、家庭料理が食べられるお店です。

―営業日の一日の流れについて教えてください。

「まるます家」赤羽本店で30年以上修行を積んだ店主のお父様
「まるます家」赤羽本店で30年以上修行を積んだ店主のお父様

平田さん:毎日朝早くに、問屋さんが鰻をお店に持って来てくれるので、店ではだいたい朝7時頃から仕込みを始めます。鰻を割いて、串に刺して、蒸して、乾かすという一連の作業をほぼ毎日やっています。朝仕込み、昼営業が終わると一旦閉めて、また夜の営業を始める、という1日ですね。

手間をかけて仕込んだ鰻をじっくりと丁寧に焼き上げる
手間をかけて仕込んだ鰻をじっくりと丁寧に焼き上げる

―どのメニューから注文していき、どのメニューで〆るのが“まるます屋通”の楽しみ方でしょうか。作り方や材料などのこだわりもぜひ教えてください。

平田さん:最初から鰻を楽しむ方もいらっしゃいますが、特に夜になると、鰻以外の家庭料理を食べながらお酒を飲んで、〆で鰻を食べる、という楽しみ方をされる方が多いですね。〆にうな重1品まるごとだとボリュームがあるので、2、3人でシェアして食べられるお客さんが多いです。赤羽にある本店のイメージもあり、居酒屋というイメージを持って当店に来られる方も中にはいらっしゃいますが、向こう(赤羽の「まるます家」)と異なりおかず系のメニューが結構あります。家族連れのお客さんがいらっしゃってくださるのは、お酒や鰻だけではなく、そういった家庭料理が食べられる所にも魅力を感じてもらっているという点はあると思います。

テーブル席、座敷席の他、一人飲みも気軽にできるカウンタ―席も配備
テーブル席、座敷席の他、一人飲みも気軽にできるカウンタ―席も配備

平田さん:堅苦しくない家庭料理を出しているので、メニューにこれといったこだわりがあるわけではないのですが…。例えば、冷やしたぬきそばを手作りのタレを加えた冷やしたぬき豆腐にしてみたり、一般的な料理に少しアイデアや工夫をして、オリジナルメニューを出したりはしています。とりわけ凝っているという料理ではないですが、季節に合った、気軽に出せるメニューを出すよう意識しています。

鰻以外も、家庭料理を中心とした定食や単品メニューも充実
鰻以外も、家庭料理を中心とした定食や単品メニューも充実

心掛けているのは、老若男女、誰もが親しみやすい店づくり

―お店を営まれる中で大切にしていらっしゃるポイントや考え方がありましたらお聞かせください。鰻のお値段の設定がリーズナブルと感じますが、これも何かお考えがあってのことでしょうか?

程よい甘みのタレが絡んだ、ふっくらと柔らかい肉厚な鰻は絶品
程よい甘みのタレが絡んだ、ふっくらと柔らかい肉厚な鰻は絶品

平田さん:値段は一言で、企業努力ですね(笑)。都内の一等地にある鰻屋に比べれば、安く提供していると思います。他のことで努力をして、鰻の値段に負担が出ないようにはしているのですが、それでも限度がありますから、その時は値段を上げなければいけないかなとは思います。ですが、土地柄もありますし、あまりに敷居が高くなるとお客さんも来づらくなってしまうでしょう。お客さんには鰻の値段を気にせず、お酒や他の料理を楽しんでいただきたいので、なかなか上げることができないですよね。迷っているところです(笑)。
それと関連すると思うのですが、年に数回、特別な日だけではなく、もっと気軽に来ていただくためにも敷居を上げたくはない、というのが自分の経営の中心にある考えですね。

―メニューに使用されている食材(鰻など)はどこから仕入れていらっしゃるのでしょうか。

良質な鰻を本店の味を踏襲しつつ、オリジナリティを加えたタレにつける
良質な鰻を本店の味を踏襲しつつ、オリジナリティを加えたタレにつける

鰻は、岩槻にある問屋さんから卸しています。その他の食材は、地元産に限らず、より質の良い食材を使うようにしています。鰻以外は、都内の魚屋や地元でも新鮮な食材が手に入る所で仕入れています。

―お客様はどのような方々が多いでしょうか。またコミュニケーションをとる上で意識していらっしゃることがあればお聞かせください。

平田さん:年配のご夫婦から若者カップル、会社員、お子様連れのファミリーなど、老若男女、いろいろなお客さんがいらっしゃいますね。赤羽の本店を知っていて、こちらも知ったというお客さんもいます。昨日なんかは、北赤羽に住んでいる大人たちとその子どもたちで計十数人の地元の団体客もいらっしゃっていましたよ。

肩ひじ張らずに寛げる、昭和のレトロ感ある座敷席
肩ひじ張らずに寛げる、昭和のレトロ感ある座敷席

コミュニケーションについては、家族経営ということもあり、身内同士店内で大きな声で会話してしまう時があります。喧嘩しているのではないかと、お客さんは困っていらっしゃるかもしれません(笑)。お客さんともなるべくコミュニケーションをとるようにはしています。特に父が喋り好きなので、よくお話しかけたりしていますね。中でもカップルに話しかけるのが好きみたいで(笑)、お客さんも気を遣ってかもしれませんが、楽しそうにお話してくださったりしています。
それから、うちは常連さんも多いので、常連さん同士が仲良くなって話をされている姿もよく見ます。お店としては、そういったお客さんの自然なコミュニケーションに助けられている部分はありますね。

目指すのは、お客さんに気軽に来てもらえる鰻屋さん

―どのようなお店でありたいとお考えですか?今後挑戦していきたいことなどありましたら教えてください。

平田さん:なるべく、お客さんのリクエストに応えてやっていきたいと思っています。「こういうものが食べたいな、あればいいな」と言われたら、できる限り提供するような。

やっぱり、目指しているのは「飲むならあそこに行こうか」と思ってもらえる、気軽に来られるお店ですね。当店は大通りに面した店ではないので、「たまたま見つけたから入る」という方はほとんどいらっしゃらないです、お店をめがけて来てくださる方がほとんどです。そういった方たちが、リピートしてくれるような店になれればと思っています。

 店主の平田さんとご両親
店主の平田さんとご両親

平田さん
平田さん

まるます家 北赤羽店

店主 平田さん
所在地 :東京都北区赤羽北2-13-2
電話番号:03-5993-0077
※この情報は2019(令和元)年7月時点のものです。