スペシャルインタビュー

街と人に笑顔の虹をかける、ほっこりカフェ「にじいろのひつじ」

「北赤羽」駅からほど近い場所にあるカフェ
「北赤羽」駅からほど近い場所にあるカフェ

「北赤羽」駅の脇を走る環八通り沿い、駅から徒歩2分程の場所にある「にじいろのひつじ」。店名から癒し感あふれるこちらのお店は、2017(平成29)年10月にオープンした、街の人気カフェ。長年会社勤めをしていたというオーナーの大井理花さんは、癒しの場所を作りたいと一念発起して、ゼロからカフェ作りを勉強したのだそう。今回は、その大井さんにお店をオープンした経緯や店づくりにおける想いについてお話を伺った。

忙しい日々を送る女性のための癒しの場所として、お店をオープン

「にじいろのひつじ」のオーナー・大井理花さん
「にじいろのひつじ」のオーナー・大井理花さん

地元の主婦や高齢者、カフェ巡りが趣味の若者層まで様々な客が店を訪れる
地元の主婦や高齢者、カフェ巡りが趣味の若者層まで様々な客が店を訪れる

――まず、お店の概要について教えてください。

大井さん:長いこと会社で総合職の仕事をしていましたが、忙しすぎて体調を崩してしまったんです。長期で休んでしまうと会社に迷惑がかかると思い、それを機に会社を辞めました。辞めた後にいろいろ考えて、育児や仕事などに追われ忙しい日々を送る女性たちが、スローな時間と美味しいランチと珈琲で、日々がんばっている自分にご褒美をあげたいと思った時に、ふらっと来てゆっくりできる、ひと時でもほっと一息できる癒しの場所があるといいなと思ったんです。ファーストフード店やチェーン店にはない、あたたかい気持ちになれる「自分の居場所カフェ」が必要とされているのではないかと思い、お店を作ろうと決めました。

自身の経験から得た気づきが、店のコンセプトにつながっている
自身の経験から得た気づきが、店のコンセプトにつながっている

もともと珈琲が好きで自宅でもこだわって淹れていたのですが、凝り過ぎてバリスタの資格を取得したこともあって、美味しい珈琲を自分だけのためではなく他の誰かにも提供したいなと思ったんです。会社員時代は、お店を開く今の自分の姿を想像さえしていませんでした。

居心地のよい店内には、可愛いコーヒーカップや小物が並ぶ
居心地のよい店内には、可愛いコーヒーカップや小物が並ぶ

――北赤羽にお店を開かれたのは、こちらが地元でいらっしゃるからでしょうか?

大井さん:地元は埼玉なので、最初は自宅周辺の埼玉で場所を探し出したのですが、1年以上探しても結局見つけることができませんでした。最寄り駅が埼京線沿線だったので、埼京線で通勤できる上りの駅を順番に探して、行きついた所が北赤羽だったんです。北赤羽は店舗を探し始めてから、初上陸したエリアです。

訪れた人が、 “美味しい”時間を過ごすことができる店づくり

――フードやドリンクのこだわり、おすすめのメニューを教えてください。

大井さん:「安心安全の手づくり」にこだわっています。はじめ計量しながら作っていたマヨネーズも、月に何度も作るうちに目分量で作れるほどになりました。和菓子も食べたいとのリクエストで、どら焼きや芋ようかんを作ってみましたが、珈琲に合う和菓子はもっと繊細なものでなければと辿り着いたのが「練り切り(上生菓子)」でした。しかし匠の技に及ばず、数々の受賞歴を誇る湘南の老舗から取り寄せることにしました。今では、練り切りファンのお客様も増えましたね。

おすすめメニューは、フレンチトーストです。前日から仕込んで一夜じっくりフレンチトースト液を染み込ませた絶品フレンチトーストは、北赤羽に開店を決めてから、地元の方が喜んでくれるものをと繰り返し試作したものです。

仕込みに一晩かけている人気フレンチトースト
仕込みに一晩かけている人気フレンチトースト

ドリンクは、バリスタの資格を取得していることもあり、エスプレッソベースのものが多いです。夏場だけ限定でコールドブリューという水出し珈琲を出していますが、一瞬で淹れると雑味と苦みが出てしまうので、こちらはお出しする前日から一晩かけて少しずつ抽出しています。ブラックでもそんなに苦くなくて、飲みやすい珈琲になっています。また、珈琲はバリスタの腕で味が変わると思っているので、特別な豆は使ってはいません。最初、いろいろな種類の豆を出そうと思ったこともありましたが、開封した瞬間に酸化が始まってしまうので、どんなにいい豆を買っても1週間後は開封時とは違う味になってしまいます。おいしく感じるのは開封直後なので、同じ種類の豆だけを使って、開けたらその場ですぐに挽く、という新鮮な美味しさを提供しています。余った豆は毎日マシンから抜いて冷蔵庫で保管して酸化を防ぐように管理も徹底しています。

手づくりにこだわり、ケーキもすべて店内で焼いている
手づくりにこだわり、ケーキもすべて店内で焼いている

ドリンクメニューは珈琲がメインですが、珈琲が苦手な方もいらっしゃるので、紅茶にも力を入れ始めている所です。まだメニューには出していないのですが、茶葉はアメリカの「マイティ―リーフ」という会社のものをお出ししています。日本では百貨店にも卸していない商品で高級ホテルなどでしか提供されていないもので、販売会社から直接お店に卸していただいています。

都内でも飲める場所は限られている、マイティ―リーフ社の紅茶を提供
都内でも飲める場所は限られている、マイティ―リーフ社の紅茶を提供

――お店を経営される中で、大切にしているポイントやお考えをお聞かせください。

大井さん:自分が幸せを感じるのは、美味しいものに出会えた時なので、“美味しい”をご提供するのはもちろんですが、その美味しい時間を過ごすための空間を、笑顔になっていただけるような居心地のよいものにすることを大切にしています。

ほとんどお客様からいただいたという、ひつじのインテリア
ほとんどお客様からいただいたという、ひつじのインテリア

店を通じて生まれる地域との新たなつながり

――講師の方を招いて定期的にワークショップも開催されていますね。参加者の反応や感想はいかがでしょうか。

大井さん:ワークショップは月に4回、月曜日に開催していて、女性対象のハンドメイド的な講座が多いですが、夏休み時期は親子で参加できるワークショップなども開催しています。お子さんは、作ったものをそのまま自由研究の作品として持ち帰ったりしていますね。

ワークショップは、参加者同士がつながるコミュニティの場にもなっている
ワークショップは、参加者同士がつながるコミュニティの場にもなっている

講師は、「今よりももっと輝きたい」と思っている意欲ある近隣にお住まいの方々が多く、 是非「にじいろのひつじ」でワークショップがしたいとお申込みいただいています。周辺にお住まいの主婦の方達が多いですが、趣味が高じて教える資格も持っているけれど、教える場所がなく、場所を探しているような方々がほとんどですね。

参加者は、近隣からだけではなく遠方からもいらっしゃいます。ランチ付きなのですが、自分時間と楽しいおしゃべりとランチで心もお腹もいっぱいで大満足と、嬉しいご感想をいただいています。雑然とした公民館などでの講座よりも居心地がよく、リピーターさんも沢山いらっしゃいます。

夏休み期間は、親子で楽しめるワークショップも開催
夏休み期間は、親子で楽しめるワークショップも開催

――他にも、地域の他のお店の方と連携している取り組みなどはありますか。

大井さん:今年の2月には、地域のみなさんと一緒に「きたあかマルシェ」というイベントを開催しました。北赤羽の店舗や地元で活動する個人の方たちが集まって、ハンドメイドの作品を展示販売したり、ワークショップを実施したりし、大好評でした。

地元の他店とのコラボ企画にも積極的に取り組んでいる
地元の他店とのコラボ企画にも積極的に取り組んでいる

地元の人々に喜ばれる、「街の縁側」的存在を目指して

――今後、どのようなお店でありたいとお考えですか?挑戦していきたいことなどがあれば教えてください。

大井さん:「また来たい」と思っていただける、地域密着の「北赤羽の縁側」のような存在を目指して、がんばっていきたいと思っています。ジャンルを超えた地域の他店と北赤羽がキラキラした街になれるような取り組みに挑戦していく予定です。

北赤羽の街をもっと盛り上げたいと語る大井さん
北赤羽の街をもっと盛り上げたいと語る大井さん

――最後に、北赤羽エリアの魅力を教えてください。

大井さん:のどかで、あたたかい人々とゆっくりと時間が流れるスローライフが叶う街です。それから、まだお店が多くないからこそ未開拓のエリアでもあります。住んでいる方はもちろんですが、住んでいない方も「ちょっと行きたいな」と思っていただける街になるように、当店としても力になればいいなと思っています。

AkabaneCafe にじいろのひつじ
AkabaneCafe にじいろのひつじ

にじいろのひつじ

オーナー 大井理花さん
所在地 :東京都北区赤羽北2-13-9
電話番号:03-6316-7589
URL:http://r.goope.jp/nijiironohituji
※この情報は2019(令和元)年7月時点のものです。