有職組紐 道明

組紐の製造・販売を手掛ける「有職組紐 道明」は、1652(承応元)年に創業。もともとは糸商を生業としていたそうだが、江戸の大火、関東大震災、空襲などにより古記録が失われ、残念なことに詳細は伝わっていない。「道明」が製造・販売を手がける組紐は、仏教とともに伝来した奈良時代からの伝統工芸品だ。

もともと刀の下緒(さげお)・柄糸(つかいと)に用いられてきた組紐だが、明治時代の廃刀令により需要がなくなってしまった。そのようなとき、“伸縮性に富み、締めやすいのに解けづらい”という特性に注目されたのが、着物の帯締めとして用いられるようになったきっかけである。現在、「道明」では常時500種類近くを用意している。

季節感を大切にし、夏であれば涼やかなもの、冬であれば温かみのあるものを並べている。いずれも自社で抱える職人による手染・手組で、このような技術を継承していくことも今後の課題とのこと。一方で、伝統に縛られて変化を拒むのではなく、むしろ時代に合わせて、組紐によるネクタイを販売するなど新旧のよいところを取り入れている。経営姿勢についても、組紐と同様に伸縮性を見て取ることができる。

有職組紐 道明
所在地:東京都台東区上野2-11-1
電話番号:03-3831-3773
営業時間:10:30〜18:30(日曜日、祝日 〜17:00)
https://kdomyo.com/


