牛込柳町に33年続く、日本を代表する老舗イタリア料理店

リストランテ カルミネ(Ristorante Carmine)

リストランテ カルミネ(Ristorante Carmine)
リストランテ カルミネ(Ristorante Carmine)

今から約30年ほど前、「イタ飯」という言葉が生まれて日本中を巻き込むブームとなった。「ティラミス」「パンナコッタ」という言葉に、バブルのときめきを感じる人も多いことだろう。牛込柳町の交差点から南に徒歩3分ほどの場所にある「カルミネ」は、そんな「イタ飯ブーム」を作った店として名を轟かせている名店だ。

この店の創業者である、カルミネ・コッツォリーノ氏
この店の創業者である、カルミネ・コッツォリーノ氏

この店が生まれたのは1987(昭和62)年。当時30代の若手料理人だったカルミネ・コッツォリーノ氏がこの場所で開業し、「日本で初めてのイタリア人オーナーシェフによるレストラン」と話題になった。その後のブームで多くの同様の店も生まれたが、「カルミネ」はそのパイオニアと言えるだろう。

店頭の看板
店頭の看板

この名店は33年を経た今も、変わらぬたたずまいで営業している。ブームの頃には日本中から人が訪れていたそうだが、現在はだいぶ落ち着いており、平日は近隣に住まう人々、もしくは働いている人々が多くを占める。ディナーや休日になると少し客層が広がるそうだが、いずれにしても、大半がリピーター客だという。

奥行きがあり、清潔感たっぷりの店内
奥行きがあり、清潔感たっぷりの店内

店内に入ってまず驚くのは、間口に対する奥行きの深さと、「老舗」というイメージを覆すような清潔感だ。ピシリと揃ったテーブルの列、椅子の背。床は磨かれてにぶく光っており、壁面のポスターも見事なまでに垂直だ。入った瞬間から、「なんて律儀な店なんだろう」と、美味しさへの期待が膨らむ。

壁には様々なポスターや絵が飾られている
壁には様々なポスターや絵が飾られている

実は、カルミネ氏は現在、あまり厨房には入っていない。というのも、イタリアのフィレンツェに料理学校を開き、後進の指導に熱意を向けているからだ。学校が休みの時期には日本に帰ってきて、料理のレシピを考案したり、ピザを焼いたり、なじみのお客さんと団らんしたりしているそうだが、料理については、信頼するシェフに一任している。

若手シェフの倉住怜(くらずみ・れん)さんと、カルミネ氏
若手シェフの倉住怜(くらずみ・れん)さんと、カルミネ氏

現在、この店で料理を一任されているのは、シェフの倉住怜(くらずみ・れん)さんだ。倉住さんは2019(令和元)年からこの本店と、支店である「ソリッソ」の料理と店舗経営を任されているが、なんと25歳という若さ。しかし、彼の料理に対する真摯な姿勢は、ベテランのシェフと同等かそれ以上だ。

店内の様子
店内の様子

「リストランテ」とはイタリアのレストランで最高級の業態を指すが、「カルミネ」はリストランテながらもカジュアルな店だ。味はリストランテ級、雰囲気と値段はトラットリア級と表現すればわかりやすいだろう。かしこまって訪れる必要はないが、提供される料理は見た目からして美しく、おのずと背筋が伸びるものばかりだ。

店の魅力を存分に堪能したいのであれば、やはり、ディナーがお薦めである。日々内容が変わるアラカルト料理でも、4,000円台からあるコース料理でも良いので、好きなようにオーダーして、ワインを開けつつ、会話を主役にした時間を過ごしてみたい。これが本来のリストランテの姿である。

お店のワインはすべてイタリア産のもの
お店のワインはすべてイタリア産のもの

なお、ワインはすべてイタリアワインで揃えており、ボトルで3,000円台など、比較的手ごろな価格帯のものも多い。とはいえ妥協は皆無で、「しっかりとテイスティングしているので、どれも美味しいですよ」と、倉住シェフも太鼓判を押す。コースを頼んでワインを何本か開けても、1名1万円を超える人は稀ということだ。

手ごろな価格で最高の料理を頂ける
手ごろな価格で最高の料理を頂ける

また、最初はランチで訪れてみるのも良い。ランチセットは1,200円台からオーダーができ、最も安いものは、サラダ、パスタ(ピッツァ)、ドリンクの3点セットからオーダーできる。約1,800円の「ヴォルパイアコース」が一番人気で、こちらは前菜盛り合わせ、パスタ(ピッツァ)、デザートドルチェ、ドリンクの4皿となる。さらに豪華な「カルミネコース」ではメイン料理が1品プラスされるが、それでも2,300円ほどと格安だ。

リピーターも多い「ジェノベーゼ」
リピーターも多い「ジェノベーゼ」

ランチの場合、数種類の品書きから選ぶというのが建前になっているが、「夜に出しているものも、全部作れますよ」と倉住さん。常連にリピーターが多いのが「ジェノベーゼ」ということで、今回はこれを出してもらったが、絶妙な火加減でフレッシュなバジルの香りが引き立てられた極上の一品だった。このほか、「ミートソースとホワイトソースのフィレンツェ風ペンネ」もリピート率の高いパスタだという。

ミートソースとホワイトソースのフィレンツェ風ペンネ
ミートソースとホワイトソースのフィレンツェ風ペンネ

料理のポリシーを倉住さんに問うと、「シンプルなものにこそ、手間をかけること。あと、普通の食材に手間をかけることで、美味しさを最大限に引き出すことですね」という答えが返ってきた。たとえばボロネーゼなどは、「野菜を甘さが出るまで、パチパチと音がするまで炒めて、そこから肉を入れて、水分を全部出して、赤ワインを入れて、また水分が飛ぶまで煮込んで、トマトソースを入れて、やっと煮込める段階になるんです。手間はものすごいかかってますよ。でも、これくらいやると美味しさが全然違うんです」とのこと。このような手間暇が、すべての料理に息づいている。

カルミネ氏のポリシーは、倉住さんの作る料理一品一品に受け継がれている
カルミネ氏のポリシーは、倉住さんの作る料理一品一品に受け継がれている

ここは、店主のカルミネ氏が若かった頃に名店として名を馳せた店である。ゆえに、カルミネ氏本人が常駐しなくなった今、「あの店は今、まだ美味しいのかなあ」と不安がる人もいるかもしれない。だがその答えは、「まったく問題ない」の一言に尽きる。

カルミネ氏
カルミネ氏

いま、若き倉住シェフがカルミネ氏の味を受け継ぎ、開業当初からの思いを守りながら、丁寧な仕事でさらなる高みを目指している。倉住さんのことを「彼が本当の息子だったら良かったのに」とまで評するカルミネ氏と、「俺も、もうひとりの親父だと思ってます」と慕う倉住さん。二人の二人三脚が見られる今こそが、「カルミネ」の三十余年の歴史の中で、最も輝いている瞬間なのかもしれない。

ブームはこの店から始まったと言われている、カルミネの象徴メニュー「ティラミス」
ブームはこの店から始まったと言われている、カルミネの象徴メニュー「ティラミス」

最後になってしまったが、「カルミネ」を象徴するメニューと言えば、「ティラミス」だ。30年前、空前のティラミスブームはこの店から始まったと言われている。その美味しさは今でも一級品であり、これを食べずには「カルミネ」を語れない。この店の良心が詰まっているような、珠玉のティラミスを口にすれば、思わず笑顔がこぼれるはずだ。

リストランテ カルミネ(Ristorante Carmine)
所在地:東京都新宿区細工町1-19 西川ビル1F
電話番号:03-3260-5066
営業時間:11:30~15:00(L.O.14:00)、18:00~22:00(L.O.21:00)
定休日:火曜日(祝日の場合変更あり)
http://www.carmine.jp/carmine.html

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