地域の人に喜ばれる町のパン屋さんをめざし手作りにこだわる「はやちゃんのパンや」
西武池袋線「東久留米」駅から徒歩9分。「はやちゃんのパンや」は、公務員住宅が建ち並ぶ大門町にある。浄牧院通りから一本入ったこの通りに店は少なく、近隣住民にとって貴重な存在だ。妻として店主を支える池田由美子さんに、お店のこだわりや東久留米の魅力についてお話を伺った。
約60種類!充実した定番のラインナップに加えユニークな商品も
――お店の概要と「はやちゃんのパンや」という店名の由来を教えていただけますか。
池田さん:2022(令和4)年6月にオープンしました。開店当初は20種類ほどでしたが、お客さんの要望に応えているうちにどんどん増えて、今は60種類くらいあり、個人店にしては種類の多い方だと思います。パン作りに関しては、店主である夫がほぼ一人でやっています。目安としてお知らせしている焼き上がり時間に合わせてお越しくださる方や、「毎週何曜日は『はやパンの日』と決めてるの」とおっしゃってくださる方もいらっしゃいます。ご予約・お取り置きも承っています。
当店の名付け親は義母で、夫の「はやと」という名前から来ています。ただ、「はやちゃん」と呼んでいるのは聞いたことがありません(笑)。他にも候補がありましたが「パン屋」であることがわかりやすく、読みやすい、親しみやすいなどを基本に考えていたので、この店名をもらったときはしっくりきました。
お店の前の通りは保育園児さんたちのお散歩コースとなっており、お子様がガラス越しに「はやちゃん頑張れー!!」とエールを送ってくれることがあるのですが、親しみやすいという意味でもこの店名にしてよかったなと思います。
――「東久留米エリア」でお店を開いたきっかけや理由があれば教えてください。また、開店時から街に変化があれば、教えてください。
池田さん:私の実家が東久留米にあり、かれこれ40年近く東久留米に住んでいます。だからというわけではなく、良い物件がたまたま私の地元だっただけですが、結果的にはお客様に恵まれ、この地で良かったと思います。
開店から2年ほどしか経っていないので、大きな変化はあまり感じませんが、駅の東口側は個人店が多く、新しく飲食店ができるなどちょこちょこ変化はあるようです。でも西口側はつい最近「イトーヨーカドー 東久留米店」さんの中に「ロフト」さんや300円均一ショップ「THREEPPY(スリーピー)」さんが入って、おしゃれな雰囲気になっています。
――パン作りのこだわり、接客で心がけていることなど教えてください。
池田さん:デニッシュなど一部の商品を除き、ほどんどのパンは国産の小麦粉を使っています。北海道産の良質なバターやフランス産、沖縄県産の塩などパンに合わせて使用しています。カレーやカスタードクリームなど、出来合いのフィリングは使わず手作りにこだわっています。
お客様に対して心がけているのは、アットホームな対応でしょうか。年配の方の中にはおしゃべりを楽しみに来る方もいらっしゃるので、そういう方とはなるべくお話しするようにしていますし、「ただいまー」と言って入ってくるお子さんには「おかえり」と応えるなど、いつも笑顔で迎えるようにしています。
ずっしり感があり。きめ細かい食感で、耳までおいしく食べられる食パンが人気
――1番人気のパンやおすすめのパンも教えてください。
池田さん:1番人気は、北海道産小麦「ゆめちから」に生クリームを配合した食パンです。密度が高くずっしり感があり、食べ応えがあります。きめ細かい食感も特長で、耳までおいしく食べていただけます。お客様の中には「エンドカット(耳付きの1枚)がいつも取り合いになるのよ」とおっしゃる方も。
池田さん:この生地に各フレーバーを渦巻き状に加えた「ぐるぐる食パン」シリーズも好評で、大納言と抹茶、レーズン、チョコ、チーズなどの種類があり、桜の季節には桜あん食パンなど季節商品もご用意しております。小ぶりなサイズ感も好まれているようです。
ラスクも人気です。食パン・チーズフランス、ライ麦全粒粉のパンをラスクにしたもので、北海道産のバターがたっぷりとしみ込んだ優しい甘さのラスクは食べ始めると止まらないと好評で、プチギフトなどに購入される方もいらっしゃいます。
池田さん:地域の方に日常的に使っていただく普通の町のパン屋さんを目指しているので、あんぱんやカレーパンなど定番のラインナップを充実させています。一方で個性的な品もあって、私はフランスパン生地に青唐辛子が入ったメンマをのせて焼いた総菜パンが一番のお気に入りです。あんぱんの中に十勝産の粒あんと種なしの梅干しを丸ごと1個入れた「梅干しあんぱん」もリピーターさんが多い商品です。
それと、食パンに続き明太フランスも人気です。手作りの明太クリームがたっぷり入って焼きたてだと流れ出てしまうほどです。
――来店されるお客様は、どのような方が多いでしょうか。また、そんなお客様や地域性に合わせた種類のパンがあれば、教えてください。
池田さん:年配の方とファミリー層が多いですね。最近はその間の世代もちらほら見るようになりましたが、まだまだ当店は知られていなくて。先日2周年のときにチラシをポスティングしたのですが、「チラシを見るまで知らなかった」という方が結構いらっしゃいました。
ご年配の方や小さいお子様でも食べやすいよう、フランスパンなどは他の店より若干やわらかめにしています。お子様が多いのでキャラクターパンもおつくりしています。
商業施設や公園もあって住みやすい、のどかで穏やかな東久留米エリア
――地域イベントへの参加や周辺施設との連携など、地域との交流はございますか。
池田さん:近隣のボランティア団体から、イベントでハンバーガーを100個作るのでバンズを作ってほしいという依頼がありました。野菜やハンバーグは自力で用意できても、バンズはなかなか手に入らないでしょうからね。ハンバーガーは普段は作っていないのですが、地域のためになるならとお引き受けしました。
あとは小学校の授業の一環で、お子様たちが見学に来ることもありますね。
――今後、どのようなお店作りをしていきたいとお考えですか。
池田さん:私としては、焼きたてのパンをその場でお召し上がりいただけるようなイートインをやれたらいいなと思っています。また、近隣に住む方が気軽に休憩できるような憩いの場所になればと思うのですが、当面は人手の問題もありますので現状維持かなと思います。
開店したとき、近隣に住む方に「近くにパン屋ができて良かった」と喜んでもらえました。今までどおり丹精込めてパンを作って近隣の方にご提供することで、地域の活性化につながればと思います。これからも、地域に密着した町のパン屋として、幅広い年齢の方に喜んでいただけるような店づくりをしていきたいと思っています。
――東久留米エリアの魅力を、お聞かせください。
池田さん:「東久留米」駅から池袋まで30分程度、東京メトロなど複数の路線が乗り入れ、有楽町や横浜方面へのアクセスも可能なので通勤、レジャーの選択肢が広がります。公園や黒目川の遊歩道など自然が身近にあり、適度にのどかで穏やかな環境も気に入っています。
駅周辺にはドラッグストアや23時まで営業のスーパー、銀行など生活に必要な施設がそろい、駅の北口に昔あった改札とつながっていた道沿いは小さな商店街になっていて、八百屋さんやお肉屋さん、飲食店など魅力的なお店が並んでいます。日常でほぼ不便を感じない住みやすい街だと思います。
池田さん:また駅から離れますが、門前大橋の交差点前には「マルエツ 東久留米店」さんもありますし、当店と駅の間には「トレジャーファクトリー 東久留米店」さんや「ファッションセンターしまむら 東久留米店」さんがあります。私のお気に入りは、駅北側の踏切そばに「さのや精肉店」さんという昔ながらのお肉屋さんがあるのですが、そこのレバーの唐揚げが絶品です!注文後に揚げてくださるので揚げたてがいただけます。
「東久留米市 東部地域センター」というコミュニティセンターは図書館などがあるほか、ヨガなどのイベントもやっています。バスケットボールや水泳などスポーツを手頃な料金で楽しめる「東京ドームスポーツセンター東久留米」も近いです。
黒目川沿いの遊歩道は散歩にぴったりですし、「浄牧院」というお寺はこの辺りの名所のひとつで、拝観料を払えば敷地内にある立派な五百羅漢の石像を観覧できます。さらに、坐禅に参加できたり、年越しの際は除夜の鐘をつかせていただけたりと貴重な体験ができるお寺です。
はやちゃんのパンや
池田由美子さん
所在地:東京都東久留米市大門町1-3-35
電話番号:042-420-4643
営業時間:9:00~20:00 売切れ次第終了
※この情報は2024(令和6)年7月時点のものです。