スペシャルインタビュー

最新鋭の多機能ビルで、新時代の浜松町をブランディング/「世界貿易センタービル」建て替え事業

都心と羽田空港の中継地点である「浜松町」駅周辺では、現在大規模な再開発事業が進んでいる。最もインパクトがあるのは、浜松町のランドマークである「世界貿易センタービル」の建て替えプロジェクトだ。同ビルは2021(令和3)年6月30日をもって閉館。今後解体され、同じ場所に新しいビルが建つ。今回は、この建て替えを中心とする「都市再生特別地区(浜松町二丁目4地区)」の開発事業について、株式会社世界貿易センタービルディング開発企画部の荒川和樹さんにお話を伺った。

生まれ変わる世界貿易センタービルと浜松町駅周辺(イメージパース)
生まれ変わる世界貿易センタービルと浜松町駅周辺(イメージパース)

超高層ビル時代の到来を告げ、日本経済を牽引してきた「世界貿易センタービル」

――長らく浜松町のシンボル的な存在を担ってきた「世界貿易センタービル」の歴史を振り返り、その意義をどのように位置づけていらっしゃいますか。

荒川さん:1970(昭和45)年に完成した「世界貿易センタービル」の高さは152m。その2年前に開業した「霞が関ビル」を抜いて、当時は日本一の高さでした。超高層ビル時代の到来を世の中に強く印象づけたと思います。

そして、高度経済成長期に建てられたビルとして、日本経済を牽引する役割を担ってきました。今回建て替えによって誕生する新しいビルは、そうした経済的な面だけでなく、陸海空の交通結節点、観光拠点としての役割も担っていくことになります。

2021(令和3)年6月に閉館した旧「世界貿易センタービル」
2021(令和3)年6月に閉館した旧「世界貿易センタービル」

――今回ビルを建て替えることに至った背景・経緯を教えてください。

荒川さん:建て替えの理由は、時代や周辺環境の変化に伴いビルとしての競争力強化を図るためです。そもそも「世界貿易センタービル」は貿易振興の重要拠点として建てられ、当初は各国の領事館や税関窓口、商社などが多く入居していました。その後、時代の変化とともにビルの入居企業様の業種も多岐に渡るようになり、貿易拠点としての特色は薄まっていきました。その間に都内では新しい高層ビルが多く建てられ、老朽化した世界貿易センタービルも競争力強化のため、最新鋭のビルに建て替えることになりました。

交通結節、国際交流、観光、防災など多機能を備え、競争力を向上

――建て替え事業の計画概要と進捗状況を教えていただけますか。

荒川さん:「世界貿易センタービル」の建て替えを中心とした「浜松町二丁目4地区」はA・Bの2街区に分かれていて、A街区に建設予定の建物は「世界貿易センタービルディング」の「本館」「ターミナル棟」「南館」「モノレール棟」の計4棟で、延べ面積約314,000㎡となります。「本館」は46階建てで、オフィスや国際級のホテル、国際医療センター、観光プレ体験施設などが入る予定です。「ターミナル棟」は7階建てで、バスターミナルの他にカンファレンスセンターやレセプション会場、屋上庭園などを整備予定です。

「浜松町二丁目4地区」都市計画 配置図
「浜松町二丁目4地区」都市計画 配置図

街区全体の完成は2029(令和11)年度の予定ですが、先行して2018(平成30)年にB街区の「日本生命浜松町クレアタワー」が、2021(令和3)年3月にA街区の「南館」が開業しています。また、お隣のC地区には、当社も事業参画している再開発ビルの建設が進んでいます。なお、「世界貿易センタービル」の解体は、国内で最も高い建造物の解体となります。

「港歩行者専用道第8号線」から見える、先行開業した「南館」と「旧芝離宮恩賜庭園」
「港歩行者専用道第8号線」から見える、先行開業した「南館」と「旧芝離宮恩賜庭園」

――先々月、都市計画変更手続きを開始されましたね。変更に至った理由と変更内容についてお聞かせください。

荒川さん:この開発計画が始まったのは10年ほど前です。2012(平成24)年に東京都に特区提案を行い、2013(平成25)年3月に都市計画が決定しました。当時は交通結節機能と国際交流拠点、防災・環境といったことをテーマにしていました。しかし、オリンピックの誘致が決まった頃から訪日観光客が増え始め、観光需要が高まってきました。ですので、この開発計画でも社会的な背景を踏まえ、当初の計画に追加する形で、国際級のホテルや観光拠点施設なども整備することとしました。

周辺開発との相乗効果で、面的に発展していく浜松町エリア

「都市再生特別地区(浜松町二丁目4地区)」都市計画資料
「都市再生特別地区(浜松町二丁目4地区)」都市計画資料

――具体的にどのような施設・機能に生まれ変わるのでしょうか。

荒川さん:電車、バス、タクシーなどの乗り換えが格段にスムーズになります。また、駅の改札から駅前の開発エリア一体が歩行者デッキでつながり、利便性・安全性が向上します。先行開業した「日本生命浜松町クレアタワー」、「世界貿易センタービルディング南館」、そして建設中の他の棟とJRとモノレールの改札、すべてが歩行者用通路によって3階レベルでフラットにつながります。

一方で1階はバスやタクシー、自転車など車両の通行がメインになります。歩行者が行きかう3階には、改札を出たところにインパクトのある3層吹抜けの広場空間ができるので、新しい浜松町を感じてもらえるのではないかと思います。

(参考)施設構成及び敷地外貢献の内容(断面図)
(参考)施設構成及び敷地外貢献の内容(断面図)

計画変更の理由となった観光拠点は、VRなどを活用して観光地への興味を喚起する“デジタル体験”や、職人の技を生で見られるなど特別感のある“リアル体験”を楽しめる「観光プレ体験施設」を予定しています。


「観光プレ体験機能施設」イメージパース
「観光プレ体験機能施設」イメージパース

――浜松町周辺の地域資源や近年の浜松町周辺エリアの大規模再開発など、近隣開発との相乗効果はどのようにお考えでしょうか。

荒川さん:旧芝離宮恩賜庭園」の存在は大きいですね。憩いの場である公園とは違い、庭園には美しさもあります。しかも「旧芝離宮恩賜庭園」は、都立9庭園の中でも貴重な恩賜庭園。その横に建つビルなんて、なかなかありません。必然的に、ビルには庭園との調和が求められます。「ターミナル棟」の7階に設ける屋上庭園は、「旧芝離宮恩賜庭園」との連続性、一体感を意識した緑化を考えています。

「旧芝離宮恩賜庭園」と接する屋上庭園の緑化 (イメージパース)
「旧芝離宮恩賜庭園」と接する屋上庭園の緑化 (イメージパース)

大門通り沿いも、周辺環境と調和する緑ある景観に。(イメージパース)
大門通り沿いも、周辺環境と調和する緑ある景観に。(イメージパース)

また、「浜松町」駅前だけでなく、周辺エリアでも面的に大規模開発が進んでおり、数年後には広域的に魅力あるエリアになっていると思います。もちろん、複数の大規模再開発が同時期になされることで相乗効果もあると思います。

新旧の地域資源を活かして浜松町に新たな魅力を

――浜松町エリアの魅力とは何でしょうか。

荒川さん:地元の方々に愛されている「旧芝離宮恩賜庭園」、「増上寺」、「芝大神宮」、そして屋形船や「だらだら祭」など、格式の高いものであったり、古くからある良いものは、この街の魅力だと思います。

「増上寺」
「増上寺」

利便性でいえば、陸海空すべてをつなぐ立地特性があります。JR、モノレール、地下鉄、バスターミナル、タクシープールと、考え得るほぼ全ての陸上交通が浜松町には揃っているんです。そのうえ「羽田空港」へのアクセスも良く、海に近いので海上交通も利用できる。交通利便性は抜群です。東京の玄関口として国内外のお客様を迎えるのにふさわしい場所だと思います。

手前左が解体前の「世界貿易センタービル」、中央奥に見えるのが「南館」
手前左が解体前の「世界貿易センタービル」、中央奥に見えるのが「南館」

――貴社事業を通じた今後への展望、街への思いをお聞かせください。

荒川さん:駅前はビジネス街というイメージが強く、ほとんどの人にとっては乗り換えなどで経由する場所になっています。だから浜松町エリアの魅力を掘り起こせるような、企画力のあるビルにし、通り過ぎるのではなく滞在できる場所にしていきたいです。

また、弊社は50年以上ここにビルを構えており、地元の方々にお世話になってきました。観光やビジネスで訪れる人、あるいは移り住んでくる人だけでなく、この地に長く暮らしてきた人たちにも愛される街づくりをしたいと思っています。

新しいビルでは、古くから続く文化など、この土地に流れる文脈みたいなものを拾い上げて、この地の記憶を継承できればいいですね。この街を作り、守って来た過去の人々への敬意を表現しつつ、いま浜松町に暮らす人々のための街づくり。それがひいては未来の人のためになると考えています。

最新鋭の多機能ビルで、新時代の浜松町をブランディング/「世界貿易センタービル」建て替え事業
最新鋭の多機能ビルで、新時代の浜松町をブランディング/「世界貿易センタービル」建て替え事業

世界貿易センタービルディング

開発企画部 開発企画課長 荒川和樹さん
所在地:東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービルディング南館9階
電話番号:03-3435-3765
URL:https://www.wtcbldg.co.jp/
※この情報は2021(令和3)年9月時点のものです。

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