移りゆく街で、助け合う

心から安心して暮らせる街を目指して進む/「浜町二丁目親合町会」高橋会長

「浜町」駅を中心に広がる浜町2丁目。かつては武家屋敷が建ち並び、料亭街としても知られていた。近年はその立地の良さから、新しいマンションやホテルの建設が進み、先進的な街としても注目を集めている。今回はそんな浜町2丁目の地域を守る「浜町二丁目親合町会」の髙橋会長に、浜町の歴史や魅力、暮らしやすさについてお話を伺った。

お話をうかがった、浜町二丁目親合町会の高橋さん
お話をうかがった、浜町二丁目親合町会の高橋さん

――まず、「浜町二丁目親合町会」の概要について教えてください。

髙橋さん:日本橋周辺にはもともとたくさんの町名があり、かつては町名ごとに町会が作られていました。さらに大きな括りとしては、「日本橋一の部」から「七の部」までの連合町会があって、浜町はその「五の部」に含まれています。浜町の中がさらに一丁目、二丁目、三丁目と分かれていて、二丁目の中が金座町会、親合町会、西部町会、浜二町会と分かれています。
この浜二町会の歴史については、実ははっきりとはわかっていません。ただ、隣の金座町会は江戸時代に金貨鋳造の資材が大川(隅田川)から陸揚げされた場所と言う由縁により、関東大震災復興時の浜町二丁目の区割りに伴いその地で佐藤病院を開設していた佐藤長祐医師の命名によると伺いました。

日本橋浜町の中央に位置する二丁目エリア
日本橋浜町の中央に位置する二丁目エリア

――かつては浜町二丁目という街はどのような街だったのでしょうか。

髙橋さん:今の久松警察署の前を通っている通りが「金座通り」と言われていて、そこは金座から日本橋に向かう大通りでした。この通り沿いは、江戸時代には武家屋敷が多かったようですね。
浜町公園」周辺は江戸時代には大きな武家屋敷があって、それが明治や大正時代まで残っていたそうです。しかし関東大震災をきっかけに、東京都によって公園として整備されました。僕が子どもの頃は何もない広い公園で、園内には野球場とプールがあって、プールの下にはまだ防空壕が残っていましたは、今ではそこに体育館(中央区立 総合スポーツセンター)ができています。

かつて武家屋敷があった場所は、現在は地域の憩いの場となった「浜町公園」になっている
かつて武家屋敷があった場所は、現在は地域の憩いの場となった「浜町公園」になっている

――過去と比べて、浜町二丁目周辺どのように変わりましたか。

髙橋さん:僕が子どもの頃は、周りがほとんど料亭でしたね。人力車も走っていて、芸者さんもいて、見番(芸者の取次所)もありました。そんな料亭街だったので、料亭に関係する仕事をしている人や芸者さんもたくさん住んでいましたし、踊りや三味線の師匠など、文化芸術に精通している方が多くいらっしゃいました。

当時の街の写真はほとんどないんですが、これが昭和31年に撮った写真です。これは今の甘酒横丁の緑道の部分ですけれど、昔はあの緑道の部分が浜町川という川だったんです。弁慶の像のところまでが、ずっと川でした。夕方になると三味線の美しい音色が聞こえてきたり。そんな時代でしたね。

昭和31年の浜町二丁目
昭和31年の浜町二丁目

それが40年くらい前から、街を訪れる人のニーズが変わり、料亭が次第にマンションに変わっていきました。最近は新しいホテルもできて、「明治座」のビルの上には企業も入ったのでだいぶ雰囲気は変わりましたね。

2019(平成30)年に開業した「浜町ホテル 東京」
2019(平成30)年に開業した「浜町ホテル 東京」

――浜町二丁目親合町会では、現在どんな活動をされているのでしょうか。

高橋さん:親合町会単独で行うだけでなく、隣の金座町会と合同で行ったり「五の部連合町会」で行う行事もあります。中でも10月の「五の部運動会」と11月の「五の部ソフトボール大会」はかなり盛り上がりますね。運動会は、子どもからお年寄りまで、いろんな年齢の人が楽しめるようになっていて、パン食い競走や町内対抗リレー、綱引きなどそれぞれの町会が1つのチームになって闘います。
ソフトボールも同じですね。各町会でチームを作って、トーナメント戦をしています。ただ、その中に久松警察署と日本橋消防署(浜町出張所)のチームも参加するので、これもかなり盛り上がるんです。
そのほか、12月の「合同餅つき」も恒例の行事ですね。これは金座町会と合同で、防災会館の広場で行っています。毎年3~400人くらいの人が参加されています。警察署の方や消防署の方にも手伝って頂いて、米を炊いてもちつきをして、参加された町会員に配布しています。

さまざまなイベントを行っている
さまざまなイベントを行っている

ほかにも、8月に「大江戸まつり」という中央区主催のイベントがあり、これには各町会がお店を出店しています。この時には「五の部」だけではなくて、もう少し広い範囲から町会が集まっていて、色んな人が来ていますね。舞台を作って盆踊りも踊っています。あと、2年に一度だけですが、「神田祭」にも参加していて、この時も非常に盛り上がりますね。金座町会と一緒に神輿を担いでいます。

――親合町会では地域防災にも力を入れていらっしゃるそうですね。

高橋さん:そうですね。毎年11月に「防災拠点訓練」というのを行っています。これは、この地域の防災拠点が「久松小学校」に指定されており、そこにある備品や備蓄が各町会に振り分けられているので、有事の時に備えた訓練を行っています。関係する町会以外に、学校、消防、警察も一緒に加わっています。自分の町会から隊列を組んで歩いて来て、炊き出しの機材や手順を確認したり、簡易トイレを設置したり、テントと、寝るための空気を入れるマットを実際に組み立ててみたり、そのような内容の訓練をしています。

――「町会に入るとこんなメリットがある」という部分を教えてください。

高橋さん:これは実際に僕が東日本大震災の時に経験したことですが、地震があった時、僕は隣の一人暮らしのおばあさんが心配になり、様子を見に行ったんです。その時、玄関のドアが開かなくなっていて、声をかけて覗いてみると、中で腰を抜かして動けなくなっていたんです。その後、私の妻と一緒におばあさんを助け出して避難所まで連れていきました。ご家族が遠くにいるということは前に聞いていたのですが、そのご家族の方が僕のところにお礼に来られたのは、地震があった2日後だったんですね。
もし、僕がその時、隣のおばあさんのことを知らなかったら、一人暮らしだということを知らなかったら、ひょっとしたら腰を抜かしたまま、ずっとそこに居たかもしれないということです。でも、町会で普段から顔を合わせていれば、「あのおばあさんどうしたかな」と気づくことができるじゃないですか。そういうことが、町会の一番の役割だと思うんです。

髙橋会長
髙橋会長

だから本当は、この地域に住むのであれば、全員が町会に入ってくれるのが一番だと思っています。行事にも参加して、普段から顔を合わせていれば、「あそこにはあの人が住んでいるんだな」とか「この人は一人暮らしなんだな」とか「家族が遠くに住んでいるんだな」とか、地域の人のことが分かってくるんです。“普段から顔見知りになっておく”ということが、本当の意味での安心・安全につながると思うんです。安全は道具やモノ、警察や消防がいることでも確保できるけれども、“安心して暮らす”というのは、人間の信頼関係がないと成り立たないんです。その信頼関係を作るのが、町会の役割だと思っています。

――今後の町会としてのビジョンや、「こういう街になっていけばいいな」という思いをお聞かせください。

高橋さん:やっぱり“安心で安全な街”を作るためには、若い人が入ってきて、持続可能な街にしていく必要があると思います。ところが、最近はマンションや企業が増えてきて、町会との接点もやや薄くなってきているので、そのような方々ににも町会に関わってもらえるように、積極的にアピールをしきたいですね。まずはお祭りでも餅つきでも、気軽なイベントから来てもらえれば嬉しいです。それを町会を知るきっかけにしてもらって、町会に入ってもらえれば、ご家族の安心にも、地域の安全にもつながっていくと思っています。

浜町の整備された街並み
浜町の整備された街並み

――最後に、浜町エリアの魅力とおすすめスポットについて教えてください。

高橋さん:やはりどこに行くにも便利な場所ですよね。地下鉄の駅もあるし、歩いて日本橋の百貨店まで行けるし、車を持つ必要は感じないです。また、治安の良さも魅力です。夜でも真っ暗にならないので安心して歩けます。「浜町公園」は広々としていてスポーツ施設なども整っていますし、色々な場所に子どもが遊べるような公園もあるし、子育てをする環境としても良いと思います。もともと料亭の街なので、近くに美味しいお店がたくさんありますね。ぜひ足を運んでみてください。

日本橋浜町二丁目親合町会

代表 髙橋 久雄(ひさお)さん
該当区域:日本橋浜町二丁目5番から9番、14番から18番、31番、42番
URL:https://ja-jp.facebook.com/kinza.shingo/
※記事内容は2020(令和2)年1月時点の情報です。

  • この記事は2020年8月に作成しました。