写真 : 「あづま」の暖簾
「白山」駅のすぐ目の前に店を構える「日本料理 あづま」は、この地で4代続いている小さな料理店。戦後間もなくこの場所に暖簾を掲げ、当初は炉端焼ととんかつを出す店として営まれていた。3代目となり、平成に入った頃に業態を変えて「日本料理 あづま」として再スタート。しゃぶしゃぶ、すき焼きを看板料理に掲げ、人々の胃袋と心を満たし続けてきた。
写真 : 看板料理のすき焼き
写真 : 「あづま」の4代目当主 …
そんな「あづま」の4代目当主として腕をふるっているのは、ここで生まれ育った毛利太一さん。5年ほど前に3代目の父から店を受け継ぎ、何十年と通う常連客に変わらぬ美味しさを提供しながらも、会席に力を入れたり、気軽に楽しめる価格帯のメニューを増やしたりと、時代のニーズにも対応してきた。
「日本料理という響きで高級店に思われがちですが、当店はドレスコードも無いですし、お子さんももちろんOKですので、カジュアルに使っていただきます。素材にもこだわり、幸福なひとときを過ごしていただけるように、心を込めてお作りしています」と毛利さんは話す。
写真 : 趣のある石畳
写真 : ゆったりと過ごせる座敷
平日は企業関連の接待利用が多いそうだが、週末になると、ほとんどが家族連れのお客さんとなり、親子、または3世代、4世代で訪れ、団らんのひと時を過ごしているという。
昨今では感染対策もあって、「しゃぶしゃぶ、すき焼き」よりも、その日に入った食材で組み立てる、日替わりの会席料理の注文が多いという。毎朝、料理長が自ら豊洲や足立の市場に出向いて目利きをし、本当に状態の良いもの、旬を迎えた食べごろの食材だけを仕入れている。
写真 : その日の仕入れ状況によっ …
日本料理とは、お皿の上で四季を表現するもの。ゆえに肝となるのは、食材の季節感と新鮮さだ。現代風に“気軽さ”を取り入れた今でも、その伝統を崩すことはない。
写真 : 新鮮なお刺身をぜひ味わい …
写真 : 「あづま」 外観
また、昨今とても人気が高まっているのが「うな重」だという。三河産または四万十産の国産ウナギを仕入れ、店で捌いて丹念にふっくらと焼き上げている。うなぎを専門で焼いていた職人さんが在籍しており、その仕上がりはうなぎ専門店に引けをとらない。産地から直接仕入れることで値段も抑えられており、うな重を目当てにくるリピーターも多いそうだ。
もともと炉端焼きと日本酒の店として始まり、「すきやき・しゃぶしゃぶ」の専門店として繁盛し、平成に入ってからはそこに日本料理やうなぎを加え、「適正価格で本物の日本料理を食べたい」という人々の志向に応えてきた「あづま」。ニーズに合わせて変化する柔軟さがあったからこそ、今でも、街の人々に愛されているのだろう。
写真 : 仕出し弁当も人気だ
写真 : 白山エリアの雰囲気も一緒 …
店が変わってきたように、「白山も昔とは全然変わりましたね」と話す毛利店主。最近はマンションが増えて客層も変わり、上品な、落ち着いたファミリーの利用も多くなってきたという。「街には雑多な感じも必要だと思うんですよ。昔は白山にもおもちゃ屋やゲームセンターがあって、居酒屋もあって、お祭りも盛り上がって、そういう街だったんです。そうした変遷も含めて、この街を楽しんでくれる人が住んでくれたら、嬉しいですよね」とも話していた。
あづま 所在地:東京都文京区白山5-36-7 電話番号:03-3811-6611 営業時間:17:00~22:30(L.O.22:00) 定休日:日曜日 https://www.aduma-hakusan.com/