生地の「熟成」にこだわる多彩なパンがそろう

本格的なパンを地元・八王子の皆さんに届けたいとオープンした「Boule Beurre Boulangerie-ぶーるぶーるぶらんじぇり-」

旧甲州街道の横山町交差点から北に伸びる「みずき通り」。この通り沿いに2006(平成18)年に創業した「Boule Beurre Boulangerie-ぶーるぶーるぶらんじぇり-」は、“フランスの小さな街にあるパン屋さん”をイメージした、本物志向のパン店だ。最初は小さな店でスタートしたが、開業以来、口コミでじわじわとファンを増やし、2014(平成26)年には道路の向かい側に敷地を拡大して移転した。今では八王子でも屈指の有名ブーランジェリーとなり、週末には行列ができることも多い。

この店を営んでいるのは、まさにこの場所で生まれ育ったという草野武シェフ。今回はお店の見どころ、パンへの思い、“八王子っ子”から見た地元の魅力などについて、幅広くお話を聞いた。

今回お話を伺った店主の草野武シェフ
今回お話を伺った店主の草野武シェフ

アメリカで食べたパンが職人を目指すきっかけに

――まずは、パン職人を目指すようになったきっかけを教えてください。

草野さん:一番初めにそう思ったのは、アメリカに旅行に行った時です。今でこそ日本にもたくさんのパン屋がありますが、その頃はまだ「行列ができる」みたいな店って無かったんです。でも、アメリカのカリフォルニアに行った時に、「砂漠の中の小さな村に、何マイルも遠くからお客さんが来るすごいパン屋がある」って聞いて、実際に行って食べてみたんです。それがものすごく美味しくて、その感動が「パン屋になろう」という気持ちにつながっていったんだと思います。

お洒落なデザインが目を引く店舗外観
お洒落なデザインが目を引く店舗外観

それからパンの専門学校に行って、学校に通いながら朝だけパン屋で働くような生活を始めました。卒業後には多摩地区のパン屋さん、都内のパン屋さんでそれぞれ2年くらい働いて、フランスにも行って現地のパン屋さんで研修をし、最後の仕上げとして、茨城県水海道市(現・常総市)にあった「二コラ」というお店に入ったんですね。

そこは当時、シェフが「日本の8人のブーランジェ(パン職人)」に選ばれていたくらい、業界では有名なお店だったんですが、そこでまた2年働いて、八王子に戻って店を開いたという感じです。「二コラ」はもう閉店してしまったんですが、うちはその流れを汲んでいる店で、「二コラ」で得た技術とフランスで研修をした技術をミックスして作っています。

地元・八王子で本格的なパンを届けたいとお店をオープン

――この場所にお店を持ったきっかけを教えてください。

草野さん:それはもう「地元だから」というのが一番の理由です。この建物がもともと実家なので、パン職人になろうと思った時から「地元の八王子に本当に美味しいパンを伝えたい」という思いは持っていて、いろんな場所に行ってパンの勉強をしていた中でも、つねに「いずれは地元でやろう」という気持ちでいました。

店内風景
店内風景

――お店のデザインについてもお伺いできればと思います。ファサードのデザインが2軒連なったようになっていてユニークですね。

草野さん:実はもともと、パン屋としてパンを売る店と、パンを食べてもらうカフェと、両方をやろうと思っていたんです。だから青い側は、パタパタと開け閉めできるカフェ扉になっていて、一方で赤いほうは、フランスのパン屋さんの入り口のようになっているんです。今はカフェの形としては使えていないんですが、フランスではこういうカフェ併設のスタイルが多いんですよ。

こだわりが詰まった店舗デザイン
こだわりが詰まった店舗デザイン

シンプルなこだわりパンや、専用ブレンドの国産小麦を使用したパンなど豊富な品揃え

――特に人気のパン、おすすめのパンなどがあれば教えてください。

草野さん:おすすめは「リュスティック」という基本の生地のみを使ったシンプルなパンです。売れ筋としては、この「リュスティック」を基本生地として、クランベリーとくるみを入れて細長く仕上げた「フリュイ」や、マカダミアを入れた「ブラン」というパンが人気です。

もうひとつ、これは「二コラ」のレシピをほぼ踏襲しているパンになりますが、「セロリチーズ」というパンもおすすめです。セロリとチーズをリュスティック生地に混ぜたパンですね。リュスティックとこの3つのパンは、是非とも食べてもらいたいです。

おすすめの「リュスティック」
おすすめの「リュスティック」

――リュスティック以外の生地では、どんなパンがおすすめですか?

草野さん:あとは、国産小麦を使ったパンですね。八王子市内の製粉会社と協力して、うち専用にブレンドをしてもらっている国産小麦の小麦粉があって、それを使った食パン、うちでは「パンドミ」と言っている山型パンですがこちらもおすすめです。同じ粉を使った「フォカッチャ」もあります。

――近年、「おまかせパンセット」というものを始められたそうですね。

草野さん:これは、パンの廃棄をなんとか減らそうと考えたもので、毎日夕方にパンの残り具合を見ながらSNSで呼びかけて、パンをセットにして安く売るという取り組みをしています。近くであれば当日中に車で配達しますし、遠方の方でも「rebake」(リベイク)という専門のサイトに掲載してもらっているので、これを通して宅配で送ることもできます。

店内に並ぶおいしそうなパン
店内に並ぶおいしそうなパン

――お客さんとのやりとりの中で、印象に残るエピソードなどがありましたら教えてください。

草野さん:フランス人の方で、市内でガレット屋さんを営まれている方が時々来られるんですが、その方に「フランスに帰らなくても、あなたのところに来ればまったくフランスと同じパンが買えてすごく感謝している」と言われたことはとても嬉しかったですね。

豊かな自然が残り、街の活気もある「八王子」

――草野さんが生まれ育った街、八王子の魅力とは何でしょうか?

草野さん:パン屋をやっているとしみじみ、「材料が近くから生まれている」ということのすごさ、ありがたさを感じるんですが、その点八王子は畑も多く残っていて、いろんな野菜が手に入りますし、実はおいしい牛乳もあるんです。「磯沼ミルクファーム」という牧場が市内にあって、うちでもそこの牛乳を使っているんですが。畑があって、自然があって、里山もすぐ近くにあるという点は大きな魅力だと思います。

あと、もともと八王子は商業の街で、昔はこの辺りにすごく大きな商店街があったんです。今でこそ小さくなっていますが、まだまだ元気に営業している商店もあって、そういうところはやっぱりいいお店が多いですね。

八王子の魅力を語る草野さん
八王子の魅力を語る草野さん

――八王子のお気に入りのお店があれば教えてください。

草野さん:このすぐ近くにあるカレーとスパイス料理の「インドラ」というお店がおすすめです。俳優さんも行きつけのお店で、よくテレビ番組でも紹介されているお店です。あとは、さっきお話をしたフランス人の方がやっているガレット屋さんですね。「カフェ ド ラ ポスト」というお店ですが、フランスの本格的なガレットを作っていらっしゃるお店です。

――最後に、今後のお店の展望などがあれば教えてください。

草野さん:フランスではパン屋さんって、パンとお菓子を半々ぐらいで置いてあることが多いんですね。パンは食事のパン、お菓子はお菓子、という住み分けがしっかりしていて、それを一軒でやっているんです。私はフランスが大好きなので、今はパンが主になっていますが、今後はお菓子のほうも強くしていきたいですね。

Boule Beurre Boulangerie-ぶーるぶーるぶらんじぇり-

店主 草野武さん
所在地 :東京都八王子市横山町16-5
電話番号:042-626-8806
URL:http://www.boule-beurre.com/
※この情報は2022(令和4)年6月時点のものです。