スペシャルインタビュー

歴史と文化が根付く千束の街を貫き 地元住民の暮らしを支える「千束通り商店街」

つくばエクスプレス「浅草」駅から徒歩10分ほど。浅草寺の北におよそ1.2kmにわたって「千束通り商店街」が延びる。千束通りは、かつて江戸幕府公認の遊廓として栄えたという、歴史ある通りだ。商店街振興組合の理事長を務める根本さんにエリアの魅力について伺った。

千束通り商店街
千束通り商店街

少しずつ変わり始めている古き良き下町

ーー「千束通り商店街」の歴史と概要を教えていただけますか?

根本理事長:大正初期に田んぼ「千束田圃」が埋め立てられ、「ひさご通り」に通じる道路が敷かれました。その後、昭和初期にはバスが通るようになったと聞いています。現在は寿司屋、うなぎ屋、酒屋、駄菓子屋など約100軒が軒を連ねています。田んぼをつぶしてできた街なので、昔は店名に「田甫(たんぼ)」と付くところが多かったようです。昔は吉原に来る方を相手にした商売が主流だったようですが、今はこの辺は住宅街なので、基本的に地元の方にご利用いただいています。

ーー千束通り商店街の特徴、力を入れている活動についてお聞かせください。

根本理事長:長年商店街で商売を続けている店の方は、いわゆる下町らしさが良さだと言いますね。でも、ここ数年で2割くらいのお店が入れ替わり、おしゃれなバーガーショップなども入りました。私としては、何を魅力にしていくかは考えどころだと思っています。だから今は「これが特長だ」とは言えないのですが、昔のような賑わいを取り戻したい考えており、イベントなどを開催し集客に注力しています。

千束通り商店街
千束通り商店街

浅草サンバカーニバルの公開リハーサルのある「納涼大会」など人気イベントが盛りだくさん

ーー商店街の年間イベントにはどんなものがありますか?

根本理事長:1月は「獅子舞」、3月は「春の大感謝祭」というセールを行うのが恒例です。「春の大感謝祭」では、セールと合わせて、地域の方々と交流を深めるイベントを開催するようにしています。2017年には、浅草に事務所を構えているプロ野球解説者の江本孟紀さんに少年野球教室を開いていただきました。昔ながらの福引抽選会を喜んでくれる方もいらっしゃいますが、もっと多くの人に喜んでもらえるようにと知恵を絞っています。

7月に行われる「浅草神社 夏詣」でも、商店街のブースを毎年出しています。「三社祭」以外では、一番大きなイベントは8月の「納涼大会」でしょう。去年はできませんでしたが、3年くらい前から、雷門の方で開催される「浅草サンバカーニバル」の公開リハーサルを千束通りで行っていました。サンバの本場ブラジルでは予行練習から大いに盛り上がるんですよ。11月にはまた「秋の大感謝祭」というセールがあり、合わせてハロウィンパレードなどを行っています。

千束通り納涼大会
千束通り納涼大会

ーー「浅草観音うら一葉桜祭り」と「三社祭」についてお聞かせください。

根本理事長:台東区などが主催する「浅草観音うら一葉桜祭り」は、一葉桜の並木が続く「一葉桜・小松橋通り」で、毎年4月第2週の土曜日に開催されています。一葉桜というのは、ソメイヨシノが散り始めた頃から咲き始める大輪の八重桜です。目玉は、華やかな衣装に身を包んだ一行が練り歩く「江戸吉原おいらん道中」。毎年これを目当てに大勢の人が集まります。町会の婦人部が模擬店を出す他、商店街では大勢の見物客に立ち寄ってもらえるよう各店が集客に取り組んでいます。

5月の「三社祭」は、浅草神社の例大祭。初日には、千束が発祥とされる「びんざさら」という楽器を使った神事が行われます。田植え前に五穀豊穣を祈って舞う「びんざさら舞」という踊りで、国の無形文化財に指定されているそうです。千束エリアの町会の人が中心になって動いています。2日目には、浅草神社の氏子である各町の神輿が街を走ります。千束通商店街も4つの町会と連合渡御を行い、大変盛り上がりますよ。

三社祭
三社祭

ーー商店街で開かれているファーマーズマーケットはどんな内容でしょうか?

根本理事長:「浅草SENZOKU TANBO」と銘打った朝市で、去年初めて開催した新しいイベントです。商店街活性化のための話し合いの中で、「旅先でも市場って活気があるよね」と生まれたアイディアです。歩道に長テーブルを出し、参加店舗の商品を並べて販売しました。まだ3回しか行っていませんが、オリジナルエコバッグをプレゼントしたり、空き店舗に「千束小学校」や「富士小学校」の子どもたちの絵や工作を展示したり、来てくれる方に楽しんでいただけるよう毎回工夫しています。半年に1回くらいのペースで続けたいと思っています。

子どもたちの絵や工作を展示
子どもたちの絵や工作を展示

歴史と文化を守りつつ、変化の可能性を秘めた千束エリア

ーー近くに「千束小学校」がありますが、協力し合っていることなどありますか。

根本理事長:ファーマーズマーケットでは、子どもたちの作品を快く貸し出してもらいました。また、地域学習の一環として子どもたちがみんなで商店街を見に来ることもありました。一度学校に呼ばれて、商店街について子どもたちからインタビューを受けたこともあります。

他にも、千束から少し離れていますが、「学校運営連絡協議会」の集まりで「都立浅草高校」に足を運ぶこともあります。商店街のイベントで人手が足りないときは、そこの生徒さんたちに手伝いに来てもらっています。商店街は地域との結びつきが強いですね。

ーー商店街として地域と関わる上で大事にされていること、地域への想いをお聞かせください。

根本理事長:お店の人と地域の人が、もっと近い距離感の関係を築けるといいなと思っています。だから地域の方には「商店街をもっと利用してください。そして商店街に対する要望があれば私に言ってください」と日頃から伝えるようにしています。私自身にとって、千束は生まれ育った地元というわけではありません。理事長職を任されたのは、うちの会社「鮒忠(ふなちゅう)」の創業の地だから。だから地元愛ではないんですが、“創業地愛”というか感謝の想いがあります。うちの店が今まで長く続けて来られたのは、やはり最初に商売を始めたこの地域のおかげですから。恩返しじゃないですけど、できればまた「鮒忠(ふなちゅう)」としても商店街にも地域にも貢献したいと思っています。

千束通商店街振興組合 理事長 根本修さん
千束通商店街振興組合 理事長 根本修さん

ーー最後に、「千束通り商店街」を中心とした街の魅力についてお聞かせください。

根本理事長:歴史と文化がある街なので、それを後世に伝えて残してほしいと思います。また一方で、変化も必要だと感じています。必要とされるものを必要とされる形で提供しなければ生き残っていけませんから。商店街を盛り上げるために必要なものをこれからも探し続けたいと思います。

千束通商店街振興組合

理事長 根本修さん
所在地:東京都台東区浅草4-36-6
電話番号:03-3874-6087 ※この情報は2021(令和3)年2月時点のものです。

※取材時にはマスク着用、写真撮影時のみマスクを外しています。