用賀インタビュー

用賀の人々に愛されるインターナショナルスクール「清泉インターナショナル学園」

玉川通り(国道246号)の南側の閑静な住宅地にある「清泉インターナショナルスクール」は、1962(昭和37)年に正式に文部省の認定を受けて、創立から54年になる長い歴史をもつインターナショナルスクール。基本的には日本に滞在中の外国人の子弟や、日本人と国際結婚をした夫婦の子弟など、「両親、または両親のいずれかが外国出身」という家族のための学校だが、外国への駐留歴が長い日本人の家族など、日本国籍の生徒も在籍する。

今回はこの歴史あるインタナショナルスクールを訪ね、学園長を務められるコレット・ロジャースさんに、学園の歴史や特徴、用賀の街との関わり、街の魅力などについてお話をうかがった。

用賀のコミュニティに根付いたスクール

コレット・ロジャース学園長
コレット・ロジャース学園長

――「清泉インターナショナル学園」の開校の経緯について教えてください。

私たちはカトリックのスクールで、設立したのは、もともとスペインから来たシスターたちでした。シスターたちは1934(昭和9)年に来日しまして、当初の目的としては、カトリックを広げることと、教育を、特に女の子に対して広げたい、ということで、初台に小さなミッションスクールを開いていました。

そして終戦後、ミッションスクールは横須賀に移転しまして、そこで、アメリカ空軍の人たちから依頼を受け、幼稚園を始めました。それを1962(昭和37)年に大学があった五反田に移しましたが、そのうち大学も、小学校も、幼稚園もみな大きくなっていって、場所がなくなってしまいました。そこで、シスターたちがこの用賀の土地を見つけて、1972(昭和47)年に、用賀に幼稚園と小学校を移しました。それから、中・高校もできて、用賀の街と一緒に大きくなっていきました。

――どうして移転の地として用賀が選ばれたのでしょうか。

土地が十分にあって、落ち着いた雰囲気でありながらも都会から近いという点が大きかったかと思います。「用賀」駅からのバスもあり、当時からとても便利な場所だったようです。移転した時には、この学校は本当に小さな建物でした。周りもまだ、田んぼばかりでした。どんどん学校が大きくなっていくにつれて、隣の田んぼも買って、そこに建物を建てて、大きくなっていきました。

コレット・ロジャース学園長
コレット・ロジャース学園長

じつはこの学校内には修道院もあり、シスターたちもここに暮らしているのですが、やはり、用賀の住み心地が良いということは、いつも言っています。レストランにしても、スーパーマーケットにしても、シスターたちはよく知られていて、声を掛けられることもたくさんあるそうです。シスターたちも、用賀のコミュニティの一員だということを常に感じています。

また、シスターたちだけではなく、私たちの生徒も実際にコミュニティに入って、いろんな交流を行っています。たとえば、老人ホームを訪問してダンスや歌を披露したり、多摩川に行って清掃活動をしたり、「世田谷区立中町小学校」と交流を行ったり、「天祖神社」でお神輿を担がせてもらったり、といった具合です。また、2年に1回、近所の人をお招きして、日本の文化について、いろいろ披露していただいたり、お話をしたり、という機会もあります。そういう意味では、私たちの生徒も、この用賀の地域の一員だということは、強く感じています。

私たちも地域に対してはすごく感謝をしていますが、用賀のコミュニティの方もオープンマインドで、ウェルカムな気持ちを持ってくださっていますので、有り難く感じています。

多様性を肌で感じる環境

数十か国から生徒が集まるスクール
数十か国から生徒が集まるスクール

――現在、だいたい何ヵ国程度の子どもが通っているのでしょうか。

55ヵ国以上です。ただ、両親で国籍が違ったりもしますので、数え方は難しい面もあります。生徒だけでなく、先生たちもスタッフも、各国から来ています。(家族構成で)多いのは、両親とも外国人か、親の一方が外国人という方ですね。日本人の家族の場合、「海外在住歴が3年以上」というのが目安になります。

――何歳から入学することができるのでしょうか。

年齢は2歳からです。中にはまだ2歳になっていないような子もいますけれど。ママ、パパ、ノー、ぐらいしか言えないような子でも大丈夫です。小さい子については、試験はありません。面接だけです。小学校以上は、試験と面接があります。中学校以上は、試験と面接に加えて、1日こちらに体験入学ができますので、学校の様子を見てもってからの入学になります。

――幼稚園以外は女子校のようですね。

まず、シスターが最初に来日した時の目的が、「女性のための学校を設立したい」ということだったので、当初の目的を引き継ぎ、現在も幼稚園以外は女子校になっています。なぜかと言えば、女性であっても、世界に何かを変えることができる、というのが、シスターたちのものすごく強い意志だったんですね。世の中にはなんとなく女性は理科や算数が苦手だという印象がありますが、そうではないということを世の中に伝えたいと思っています。また、女性であっても、ドラマや音楽などで、自己を表現できるような環境をつくってあげたいというのが、清泉のひとつの願いだと思っています。

――幼稚園から高校まで、幅広い年代の集団生活になりますが、年代を超えた交流などはあるのでしょうか。

「ハウスシステム」というのがありまして、それが生徒の年代を超えた交流の場になっています。イメージとしては、「ハリー・ポッター」の作品内に出てくる「寮」のイメージです。

子ども達は4つのハウスのいずれかに所属する
子ども達は4つのハウスのいずれかに所属する

清泉には4つの「ハウス」があって、幼稚園から高校まで、同じハウスに所属します。ハウスの名前は日本の山の名前になっており「御岳」「岩木」「浅間」「鳥海」です。毎年、ハウスのメンバーで一緒にピクニックに行ったり、年に2回ほどはハウス対抗の運動会のような対抗戦もやっています。優勝したハウスにはトロフィーが出るので、みんなそれを目当てに盛り上がります。毎月1回、ハウスのメンバーで一緒にランチをする機会もあります。

独立した女性に成長する

校舎内の様子
校舎内の様子

――卒業後の進路について教えてください。

必ずしも最終学年までいる生徒ばかりではないので、難しいところですが、だいたいの生徒が海外の大学に進学します。日本に残る生徒もいますが、日本人の方も、外国に進学する生徒が多いです。行き先については、自分の母国か、両親の母国か、どちらかの理由が多いでしょうか。中には日本の大学に進む生徒もいます。進学先は生徒それぞれですね。

――IB(国際バカロレア)も導入し、取得する生徒が多いと思いますが、海外の大学進学に際してメリットはありますか。

もちろん、メリットはあります。特にアメリカやイギリスなどの場合、こちらでIBを取得しておけば、最初の1年間の勉強は免除される大学が多いです。特にアメリカなどは学費が高いので、ご両親は助かるかと思います。海外の大学の入学担当者も、IBについてはよく理解していて、資格を持っている生徒に対して門戸を広げていますので、持っているだけでかなり入りやすくなるかと思います。

休憩時間などに活用できる中庭
休憩時間などに活用できる中庭

――「Festival of Nations」が地域ぐるみの一大イベントのようですが、どのようなイベントが詳しく教えていただけますか。

毎年10月に開催されるフェスティバルで1970年代から続いている歴史の長いものです。この時には学校をオープンにしていますから、どなたにも来ていただけます。各国ごと、食べ物やパフォーマンスなど、いろいろなものを提供していまして、みんなが楽しい1日を過ごす機会になっています。

芝生で安全なグラウンド
芝生で安全なグラウンド

――学園の卒業生には、将来、どのように活躍してほしいと願っていらっしゃいますか。

なにより、「独立した女性」になってほしいと願っています。「リスペクトする心」を忘れない大人になってほしいし、「発言できる女性」でもあってほしいです。この学園の卒業生は、「何かになりたい」という気持ちがあったら、それに対して自信をもって、まっすぐ進んでいってくれる。そう私は信じています。

――今後の社会における、インターナショナルスクールの役割については、どのようにお考えでしょうか。

ひとつは、これは日本の社会にあっても、ほかの国にあったとしても同じですが、学校ですから、「一番大事なのは教育」だと信じています。特にこの学園には、生徒がそれぞれ違う国から来ていますから、「違いがある」ということをつねに意識しながら、その中で、知的に洗練されていってほしい、そういうことを教えたい、と考えています。

広々とした園庭
広々とした園庭

「違いがある」からこそ、物事に対して考える力は培われるものだと思います。一方で、いまの社会では、「違う」ことが批判の対象になりがちです。しかし、そうではなく「違いを乗り越える」ことが大事だと思います。それは人をリスペクトして、理解して、そのうえで、いかに協力することができるのか、ということをまず考えていくことで実現できると思います。そういうことを、生徒にも教えたいし、社会にも伝えたいと思っています。

アットホームな暖かい街、用賀

――最後に、用賀の街の魅力について教えてください。

人々が何よりの魅力です。すごく「ウェルカム」の気持ちが大きくて、私たちに対しても好意的で、寛容に受け入れてくださります。これは、生徒にとっても安心できる環境につながっています。非常に有り難いことですね。

清泉インターナショナルスクール
清泉インターナショナルスクール

清泉インターナショナル学園

学園長 コレット・ロジャースさん
所在地:東京都世田谷区用賀1-12-15
TEL:03-3704-2661
URL:http://www.seisen.com/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。