店主 押田亜紀さん インタビュー

美味しいごはんと芸術で地域を繋ぐ、カフェダイニング「クロロッポ」

「つつじヶ丘」駅から“約700歩”。カフェダイニング「クロロッポ」は、閑静な住宅街にある隠れ家的なカフェだ。店名は、駅からの距離を表すアラビア数字の700が「クロロ」に見えることから名付けられたそう。栄養士でもある店主の押田亜紀さんに、今年で5周年を迎えたお店のこと、そして、つつじヶ丘周辺の街の魅力について話をうかがった。

長年の想いを形にしたカフェをオープン

「クロロッポ」の店主・押田さん
「クロロッポ」の店主・押田さん

――つつじヶ丘にお店をオープンした経緯について教えてください。

押田さん:親の代から住んできたこの街で私達夫婦の代に変わり、子供達も巣立ち、空いた部屋をそのままにしておくのはもったいないと思い、自宅の一角を店舗スペースにしました。

メニューは店内の大きなボード
メニューは店内の大きなボード

夫の定年退職まで待つべきか迷ったのですが、知人に相談したら「思った今、やりなさい」と言われました。「60才を過ぎてから新しいことに挑戦するのは難しい。でも気力・体力がある40代で始めておけば、60才、70才になっても続けられる」と。自宅で20年以上お店を続けている先輩の言葉には説得力があり、心が決まりました。

ハンドメイドの表札プレート
ハンドメイドの表札プレート

――昔から飲食店をやりたいという思いがあったのでしょうか。

押田さん:大学の栄養科で学び、栄養士の資格を取り、食品関連の企業に勤めていたので、いつか自分の店を持ちたいという思いはありました。実はこの店を開く前に仕出し屋に挑戦したんですが、お料理を召し上がった方の反応を見られないのは物足りないな…と。やるならお客様の反応が直に見られるお店がいいと思い、カフェを始めました。

「忘れな草」「ガマの穂」などがデザインされた美濃焼タイルのカウンター
「忘れな草」「ガマの穂」などがデザインされた美濃焼タイルのカウンター

――お店のこだわりを教えてください。

押田さん:季節ごとのおいしさを味わってほしいので、新鮮な旬の食材にこだわっています。近くの直売所で新鮮な野菜を仕入れているほか、三重県と長野県の親戚から低農薬のフレッシュ野菜が届くのでキッシュの具材やサイドメニューに生かしています。

カウンターの上にずらりと並ぶ色紙
カウンターの上にずらりと並ぶ色紙

人と人との縁が繋がり実現し、音楽やアートに触れられる空間に

――お店の特長を教えてください。

押田さん:最大の特長は、定期的にコンサートを開いていることでしょう。元々音楽が好きで、お店を開いたら演奏家を招いてコンサートができたらと思っていました。といっても当初は漠然とした夢にすぎず、実現できたのはご縁と流れがあったからなんです。

動物文字絵作家の山内ジョージさんから贈られたイラストも
動物文字絵作家の山内ジョージさんから贈られたイラストも

押田さん:まず、趣味を通じて素晴らしい演奏家の方々とつながりを持てたこと。たとえば私が以前習っていたギターの先生は、ギターデュオ「いちむじん」のメンバーだった宇高靖人さんでした。2人の娘はそれぞれオーボエとバイオリンを習っていたのですが、先生方のご家族に交響楽団団員をされる程の腕前の方達がいて、いつのまにか耳が肥えてしまいました(笑)。

そのような中、お店をオープンしたばかりのある日に、バイオリンの先生の息子さんから「ここでお祝いコンサートをやってみましょうか!」と思いがけない嬉しいご提案がありました。これが見事大成功!気を良くした私はそれを機に、演奏会を続けることにしました。そして今日に至ります。

コンサートで使われるピアノ
コンサートで使われるピアノ

押田さん:コンサートは2カ月に一度。ジャンルは決めていませんが、演者は音大卒のプロばかりです。普通なら大きなホールまで出かけなければ聴けない演奏を気軽に楽しめるということで、地域の方々は開催をとても楽しみにしてくださっています。現役の芸大生や桐朋大生など、若い方に来てもらうことも多いんですよ。

ハンドフルート奏者の森光弘さんとギターのコンサート
ハンドフルート奏者の森光弘さんとギターのコンサート

当日は入れ替え制で、1時間の公演を2回行います。演奏の合間にはお食事やドリンクをご提供しています。お客様に楽しんでいただきつつ時間通りに進める点が、難しいところですね。定員は20名ですが、5周年のパーティを開いたときは2回目に40人以上のお客様が来てくださり、テーブルをすべて外に出して対応しました。

大盛況だった5周年パーティー
大盛況だった5周年パーティー

押田さん:もうひとつの特長は、店内の壁をギャラリースペースとして貸し出していることです。2~3週間の期間で区切り、さまざまなアーティストの絵画や写真といった作品を展示しています。食事やコーヒーを楽しみながら、多彩なアートにふれていただければと思います。

友人のイラストレーターmariさんが描いてくれたお店の絵
友人のイラストレーターmariさんが描いてくれたお店の絵

地域にとっての「もうひとつのリビング」でありたい

――お店のおすすめのメニューを教えてください。

押田さん:おすすめは、敷地内のユズの木から収穫した実を使った「ゆずスカッシュ」。マーマレードにしてケーキに添えたりすることもありますよ。ハンバーグとキッシュも、気に入ってくださる方が多いです。

サクッと焼き上げたパイ生地の中に具材をたっぷり閉じ込めたキッシュ
サクッと焼き上げたパイ生地の中に具材をたっぷり閉じ込めたキッシュ

――平日、休日、時間帯などそれぞれどのようなお客様が多いのでしょうか。

押田さん:平日は幼稚園や小学生のお子さんを持つママたちがランチに来ることが多いですね。土曜日は家族連れが目立ちます。お年寄りや若い女性もいらっしゃいますし、幅広い世代のお客様にご利用いただいています。

季節限定のメロンパイ
季節限定のメロンパイ

――地域にとって、「クロロッポ」はどのような場所でありたいと思いますか?

押田さん:“もう1つのリビング”でしょうか。家に友だちを招くのは時としてストレスになるもの。そんなときでも、気楽にお喋りを愉しむために、家の外にあるもうひとつのリビングだと思って気軽に使ってもらえたらと思います。お昼から夕方までいてくださっても全然かまいません。ゆったりくつろいでいただけるよう心がけています。

似顔絵を得意とするお客様がプレゼントしてくれたイラスト
似顔絵を得意とするお客様がプレゼントしてくれたイラスト

人も環境も優しい「つつじヶ丘」エリア

――住民として、つつじヶ丘エリアの環境の魅力や、好きなところを教えてください。

押田さん:私にとっては嫁ぎ先の土地になるのですが、もう生まれ故郷よりここに住んでからの方が長いですし、顔見知りも多いので地元みたいなものですね。つつじヶ丘は、とにかく人が優しいと思います。

周辺に畑が多いのも魅力です。新鮮な食材が手に入りやすいので、飲食店を営む身としてはありがたい限りです。近くの農家さんから畝単位で枝豆を買って、自分で収穫した新鮮なものを朝採れ枝豆として提供しているんですよ。

「実篤公園」
「実篤公園」

お気に入りスポットは、「実篤公園」。武者小路実篤が晩年を過ごした邸宅の敷地を整備した公園で、実篤の原稿や手紙を所蔵する「実篤記念館」や菖蒲園などがあります。一番のおすすめは、中庭にある池に浮かぶ光藻(ヒカリモ)。水がキレイなところにしか育たないらしく、都内で見られるのは調布市だけだそうですよ。

クロロッポ

押田亜紀さん
所在地:東京都三鷹市中原1-14-6
電話番号:090-8503-4174
URL:
http://cafe700ppo.web.fc2.com
https://www.facebook.com/クロロッポ-685387494822770/
※この情報は2018(平成30)年7月時点のものです。