江戸時代にルーツをもつ老舗の酒屋

あたご小西

急勾配の“出世の石段”で知られる「愛宕神社」。乗馬のまま昇り降りした丸亀藩藩士・曲垣平九郎が、徳川幕府3代将軍・徳川家光に賞賛されたエピソードの舞台である。その「愛宕神社」の参道脇には、1641(寛永18)年に小西弥兵衛が開いた酒屋、「小西」に由来する「あたご小西」が店を構えている。近代的な外観から見落としてしまいがちだが、愛宕山の歴史を語るときには欠かせない存在と言える。

関西から江戸に酒を運び込んでいた「小西」の商売は大盛況で、“小西”の暖簾は方々に広がった。落語「文七元結」や歌舞伎「神明恵和合取組」、さらには「魚屋宗五郎」などでも、その名が見られるくらいである。その「小西」の系譜を引く「あたご小西」は1883(明治16)に創業。芝口の本店で番頭を務めていた初代が、小西重兵衛店の名跡を継いだことが「あたご小西」の始まりという。

当時の愛宕山は、東京随一とも称される眺望の良さで知られ、その頂上には外国人だけが宿泊できるホテルがあった。そのホテルと、洋酒の取引をしていたのが「あたご小西」である。

現在もホテル、レストラン、バーなどを顧客とし、小売店ではなかなか手に入らない商品を扱っている「あたご小西」。殊にワインの充実は、そうした明治時代からの歴史と積み重ねがあるからに他ならない。愛宕山見物を終え、ふらりと立ち寄った「あたご小西」で、その品揃えに驚かされる愛好家も多いことだろう。強みはワインだが、ウイスキーやビール、日本酒、焼酎等の充実を図っていることにも触れておこう。

また、夜は店内やテラスでワインとおつまみを楽しめるワインバーとなる。約20年前、ワインをこよなく愛するオーナー夫妻が、フランスのようにもっとワインを気楽に楽しみ語り合える、サロンのようなお店を東京にも作りたいと考え、改装した。店頭価格でワインを楽しめるということで、近くにお住まいの方や、仕事帰りのビジネスマンからも好評を得ているそうだ。毎月テーマを変えた「ATAGO de WINE(あたごでワイン)」というイベントも開催しており、毎回お店が人でいっぱいになるほど盛況だという。誰でも気軽に同店との接点を持つことができ、愛好家同士の交流の場にもなるだろう。

店内で販売されているイタリアンジェラートにも注目したい。酒屋でなぜジェラート?と思われるかもしれないが、非常に本格的な味わいで、季節に合わせた珍しい味もラインナップされている。お酒の口直しや、暑い日の休息にもぴったりだ。

そんな同店の5代目は、港区芝地区の老舗の会である「芝百年会」の会長でもある。愛宕山に訪れるのであれば、その歴史と合わせて「あたご小西」を訪ねてみてはいかがだろうか。歴史を知ることで、よりワインが美味しく感じられることだろう。

あたご小西
所在地:東京都港区愛宕1-6-8
電話番号:03-3431-1888
営業時間:10:00~21:00
定休日:土・日曜日、祝日
http://www.atagokonishi.com/

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