「品川宿いどばた」オーナー 杉山由美恵さんインタビュー

子育てママだからこそ提案できる産後ママも楽しく過ごせる憩いの場「品川宿いどばた」

2016(平成28)年7月のオープンより、子育てに奮闘するママとその子どもたちのための憩いの場として注目を集めている「品川宿いどばた」。子育てママによる子育てママのためのイベント&ワークショップを開催する「ママかつ」の代表者、杉山由美恵さんが運営する親子サロンで、自らも2児のママとして子育てをする杉山さんだからこそ提供できる目配り、気配り、心配りにあふれた心地良い空間だ。古民家の一階を改装した和の空間では、体験あり、学びあり、木・金曜日には食事ありの多彩な取り組みが行われ、特に産後ママにとっては子育てを楽しむヒントが数多く盛り込まれている。品川在住の子育てママを中心に運営されている「ママかつ」とは?、「品川宿いどばた」では具体的にどのようなことが行われているのか?、品川で生まれ育った杉山さんに地域の子育ての魅力についてもお話を伺った。

子育てママが生き生きと活躍できる場「ママかつ」

笑顔のお母さんたちと子どもたち
笑顔のお母さんたちと子どもたち

――まず、「ママかつ」の概要について教えてください。

杉山さん:「ママかつ(以下、ママかつ)」は2015(平成27)年1月に発足した、品川在住の子育てママを中心に活動する任意の団体です。

もともとは私がベビーマッサージの資格を取得して、産後のママとその赤ちゃんを対象に個人でレッスンを行っていたのですが、たくさんのママと出会う中で、子育てにも生かせる資格やスキルを持っているママがたくさんいることに気がつき、声をかけたのがはじまりです。

たとえば、アロマの資格を持っている方には、私のベビーマッサージで赤ちゃんを癒した後に、アロマでママを癒してあげたらどうかと提案してみたり、イラストレーターの方には「ママかつ」のロゴを描いてもらったりと、それ以外にもわが子のために取得した資格や知識を他の子育てママにも伝えたいと考えているママは多くて、前職の経験や知識、資格、スキルなどを生かしてママたちが生き生きと活躍できる場を設けようと「ママかつ」という名称を掲げて活動をはじめました。

おもちゃに興味津々
おもちゃに興味津々

現在、「ママかつ」では親子で参加できるイベントや講座、ワークショップを多数開催していて、2016(平成28)年度は一年間で147講座を実施しました。

公式facebookでも講座の内容を一部ご覧いただけますが、最近では飲む点滴と言われている甘酒を手作りしようとか、手作り味噌に挑戦してみたりとか、季節のイベントに合わせてアイシングクッキーを作ってみたりなど、食に関する体験イベントをはじめ、ベビーフォトを撮ってもらったり、0歳からのオムツなし育児について学んだりとか、赤ちゃんの時期から参加できるものも含めて様々な講座が行われています。

赤ちゃんも参加できる講座がある
赤ちゃんも参加できる講座がある

さらに講座を担当する先生は全員「ママかつ」が認定する方々なので、子育て中のママだからこそできる目配り、気配り、心配りが行き届いた講座内容になっているのも特徴です。

ちなみに「ママかつ認定講師」は、2017(平成29)年3月時点で私を含めて7名いるのですが、最近では『○○という資格を「ママかつ」で生かせますか?』と問い合わせをいただくこともあり、コンセプトに掲げている「ママだからできること。」に共感してくださる方は、ぜひお話をお聞かせいただきたいと思っています。

産後ママのための憩いの場としてオープンした「品川宿いどばた」

品川宿いどばた
品川宿いどばた

――「品川宿いどばた」とは? 具体的に行われている活動内容を教えてください。

杉山さん:2016(平成28)年7月に「品川宿いどばた」をオープンするまでは、「大井町」駅の「アトレ大井町」3階にあるセントラルガーデンで「ママかつ」の講座を行っていたのですが、当初はオープンスペースにレジャーシートを敷いて活動を行うところからはじまりました。現在はアトレさんにプレイマットを貸していただいて快適に運営できていますが、0〜2歳児くらいの赤ちゃんは寝転がることも多く、より安心して過ごせる畳のある環境を探していました。

旧東海道の「北品川本通り商店会」から一本奥に入った細い路地に面するこの民家は、地元の知り合いを通じて紹介してもらった物件で、6畳と4畳半のふた間に対面式のキッチンがあるだけの小さい空間です。

赤ちゃんにも安心な畳のある環境
赤ちゃんにも安心な畳のある環境

「ママかつ」の活動拠点は現在、北品川を含めて区内に6ヵ所あり、品川シーサイド、大井町、大崎、目黒、五反田と、ゆくゆくは旗の台や武蔵小山あたりでも拠点を構えたいと考えています。

赤ちゃんを連れた産後ママにとって、ご自宅からの距離が遠いとおのずと足が遠のいてしまうので、品川区の全域をぐるっと一周するようなイメージで拠点数を増やすことを目標に活動の場を広げています。

産後ママが通いやすい場に
産後ママが通いやすい場に

「品川宿いどばた」では、曜日によって内容が変わるのも特徴で、月曜日は産前・産後ママのための整体サロン、水曜日は保育士さんによる親子の遊び場になっています。

火・木・金曜日は「ママかつ」によるイベントやワークショップを行っていて、私もベビーマッサージの先生として講座を持っています。そのうち木・金曜日はゆっくりご飯が食べられるようにと「いどばた食堂」と名付けてランチを提供しています。

「ママかつ」代表の杉山由美恵さん
「ママかつ」代表の杉山由美恵さん

『「品川宿いどばた」って何をやっているところ?』と聞かれることもよくあるのですが、飲食店にするとご飯を食べるだけで目的が終わってしまうので、食堂にしたかったわけでもないですし、イベントスペースでもレンタルスペースでもありません。

これまで出会ったたくさんのママから「こういうのがあったら助かるな」とか「こんなことやってみたい」といったアイデアをひとつひとつ実現させたら今のようなスタイルになりました。

「産後ママのために憩いの場を提供したい!」という想いからスタートした広い意味での親子サロンなので、イベントあり、食事あり、おしゃべりに来るだけでももちろん歓迎の気ままに過ごせる自由な空間です。

「ママ友ってどうやって作ったら良いんだろう?」自身の経験を生かした産後ママのための居場所づくり

お母さんと赤ちゃん
お母さんと赤ちゃん

――「品川宿いどばた」の特色について教えてください。

杉山さん:「いどばた」という名称は、井戸のまわりに集まって洗濯などをしながら世間話をしていた当時のママたちの様子から生まれた井戸端会議に由来するもので、このあたりにはまだ当時のままの井戸が残っていることもあり、他愛も無い会話でもいいからおしゃべりして気分転換をして欲しいという思いから名付けました。

品川区内には児童センターをはじめ行政が運営する子育て支援施設も数多くあるのですが、「品川宿いどばた」は古民家の一階を間借りした和室の小さい空間が特徴で、私も含めてみんなで一緒に過ごしている感覚を大切にしています。

今日もひとりで来ているママが数名いらっしゃるのですが、ぱっと見それが分からないくらいの広さで、否が応でもおたがいに声をかけ合うような距離感ですし、この場を通じて新しい関係やコミュニティづくりに発展していって欲しいと願っています。

お母さん同士の交流の場にもなっている
お母さん同士の交流の場にもなっている

あえて小さい空間にこだわったのは、私自身が実際に体験したことから気づいたアイデアのひとつです。児童センターのような行政が運営する子育て支援施設に、ひとりで赤ちゃんを連れて行ったママがぽつんと座って時間を過ごして誰ともしゃべらずに一日が終わるということもよくあるんですよね。

また、ママ同士の会話のきっかけづくりのひとつとして同じ年齢の子ども同士でグループを作らされることが多いんですが、月齢の同じ子どものママとしか接点を持てないばかりか、子どもの月齢が同じだからといって友人ができるわけでもないんです。

3、4歳頃になると習い事や保育園、幼稚園に通う子どもがきっかけでママ同士も仲良くなることはあるのですが、赤ちゃんのときに子どもがきっかけで関係ができることはほとんどなくて、まずはママ同士が共通の話題や興味のあることで盛り上がれるのが大切なんじゃないかと思います。

玄関先の暖簾
玄関先の暖簾

そのためにも「ママかつ」で開催しているようなイベントやワークショップといったきっかけづくりが重要で、たとえば甘酒作りの講座には、食や美容、健康に興味のあるママが集まるので、共通の目的や趣味を通じて自然な流れから友人をつくることもできるのではないかと思います。

私も一人目の子どもをまったく土地勘の無い千葉県で育てたことがあるんですが、知り合いもいなければ近くにどんな施設があるかも分からない状態で、産後うつにこそなりませんでしたが、子どもが生まれて一年間は「ママ友ってどうやって作ったら良いんだろう?」とすごく苦戦したんですよね。

みんなで一緒に過ごす感覚を大切にしている
みんなで一緒に過ごす感覚を大切にしている

産後ママがおしゃべりもできずに一人でぽつんといる光景を実際に見てきたので、絶対にそういう場所じゃなくて、ほんのちょっとでも自分の話したいことをおしゃべりして帰ってもらえるような産後ママのための居場所をつくりたかったんです。

その後、一年ほどして私は実家のある品川に戻って来られたのですが、品川区にも仕事の都合などでいろいろな地域から来ている子育てファミリーが多くいることに気づきました。当時の私と同じような気持ちを抱えて子育てをしているママがいるはずだと思い「ママかつ」の活動を続けています。

子育てを支援する任意団体やサークル活動が多数ある品川区

北品川本通り商店会
北品川本通り商店会

――品川で子育てをする魅力とは?

杉山さん:品川区の子育て環境について言えば、まず児童センターや子育て支援センターなど、行政が運営する子育て支援施設がたくさんありますし、産前・産後のケアやサービスにも恵まれていると思います。

また、品川の良いところと言えば…情に厚い人が多い!

私たちのように子育てを支援する任意の団体やサークル活動が数多くあり、0歳から未就学の子どもを1時間から預かってもらえる「おばちゃんち」や、障がいを持つ子どものための支援活動を行っている団体など、行政サービスではなかなか手が届かないようなところまで、街の人たちが率先して活動を行っているのが特徴です。

なかにはクラウドファンディングで集めたお金で品川の子育て情報をまとめたホームページを制作・運営しているママたちの集まりもありますし、それぞれの活動や団体の横のつながりが強いのも特徴で、必要な情報を必要な人に届けられるネットワークができています。

もっと身近な例としては、「入園式に着物が着たい」というママがいれば近くで着付けをやっている先生を紹介したり、「子どもを連れて行ける美容室は無いかなぁ?」といった話を聞けば、「青物横丁にあるわよ」と伝えたり、おしゃべりの延長で必要な情報を必要な人に伝えられるリアルな場が「品川宿いどばた」です。

お母さん同士を、お母さんと街をつなげる取り組み
お母さん同士を、お母さんと街をつなげる取り組み

木・金曜日限定で取り組んでいる「いどばた食堂」のランチにも、地元の商店から仕入れた食材を多く使っているため、「美味しいっ!どこで買えるの?」と気に入ってくれたママには、「近くの八百屋さんで仕入れた野菜だよ♪」と伝えてあげるだけで、街との接点が生まれます。

子育てをするうえで街や街の人とつながることがいかに大切かということも品川を離れて身を以て経験したので、品川で生まれ育った私としては、品川で子育てをするママと街をつなげたい、子育てを通じてママたちをつなげたいと思っていて、「品川で子育てをして良かった」とママたちに感じてもらえるような取り組みを行っています。

ありそうでなかった子育て支援のあたらしいカタチ

ひと月に200人が利用する「品川宿いどばた」
ひと月に200人が利用する「品川宿いどばた」

――最後に、品川で子育てするお母さんにメッセージをお願いします。

杉山さん:産後ママのための居場所づくりをしたいという想いに突き動かされて「ママかつ」を立ち上げてから3年目を迎えますが、年間1,000人以上のご家族にご参加いただいて、「品川宿いどばた」もひと月に200人もの方にご利用いただいています。

新たな子育て支援の形が整ってきた
新たな子育て支援の形が整ってきた

行政の子育て支援事業とはまた違った取り組みや特色があるため、目的やその日の気分などに合わせて使い分けていただくことで、子育てもよりいっそう楽しくなると思います。

「ママかつ」では、他の区、他の地域でも同じような取り組みが広がっていくことを目標としており、子育てママが生き生きと活躍する今後の展開にもご期待ください。

品川宿いどばた オーナーの杉山さん
品川宿いどばた オーナーの杉山さん

品川宿いどばた

オーナー 杉山由美恵さん
所在地 :東京都品川区北品川2-3-20
TEL :090-2459-4117
URL:http://mama-katsu.com/idobata/
※この情報は2017(平成29)年3月時点のものです。