練馬区立開進第二中学校 校長 大石 光宏 先生 インタビュー

人権教育に長らく取り組んできた経験を「他者を思いやる」日々の教育に生かす「練馬区立開進第二中学校」

「練馬」駅からも「豊島園」駅からも徒歩圏内という、練馬区の心臓部にほど近い「練馬区立開進第二中学校」。今年開校70年を迎える歴史あるこの学校には、親子3代で通う家庭も多いのだとか。1982(昭和57)年度から「人権尊重教育推進校」に指定され、長きに渡って子どもたちの心の教育に取り組んできた「開進第二中学校」の大石校長先生に、本校での取り組みや地域の魅力について伺った。

「自分と同じように他者も大切にできる人」を目指して

――まずは学校の沿革と概要について教えてください。

大石校長先生
大石校長先生

大石校長:本校は1947(昭和22)年4月1日に開校し、本年度70周年を迎える歴史ある学校で、10月には記念式典も予定しています。現在、1年生154名、2年生111名、3年生169名、合計434名の生徒たちが在籍しています。

1882(明治15)年当時、下練馬村といわれたこの地域に新しく学校をつくるにあたり、氷川神社の神官だった風祭宝信氏によって「開進」という名前がつけられたということです。

学校名の由来
学校名の由来

――特徴のある取り組みはありますか?

大石校長:1982(昭和57)年度から「人権尊重教育推進校」として指定を受け、35年間に渡って人権教育に力を入れてきました。人権というのは難しい話ではなく「自分と同じように、他者を大切にする」という実にシンプルかつ当たり前の考え方が根幹です。週2時間の総合的学習の時間を中心に、全教科を通じて「人権」につながる問題提起を授業内でも行なっています。

1年生では準備の学びを行い、2年生ではNPO法人やボランティア団体を通じて、実際に路上生活者のところへ行って話を聞いたり、ハンセン病患者施設を見学したり、障害者スポーツのローリングバレーボールを体験したりと、その内容は多岐に渡っています。

そして3年生ではその集大成として、東日本大震災で大きな被害を受けた石巻へ修学旅行で行きます。被災者の方の話を聞き、その夜は農家の方々のお家に民泊をさせていただくなど、現地の方々との交流を中心に旅行のプログラムを組んでいます。未だに復興が進まず、風評被害なども深刻な被災地へ実際に行くことで、学んだことをよりリアルにより幅広く理解することにつながっているようです。

3年生は11月に学習発表会を行い、各自自分で「人権問題に関するテーマ」を見つけてプレゼンテーションを行なっています。毎年発表を見ていますが、シリアの少年兵や沖縄基地問題など、子どもたちが個々に選ぶテーマは大人たちの想像をはるかに超えてグローバルで奥深いですよ。手前味噌ですが、3年をかけて取り組んだ成果が出ているなぁと感じます。

教室の様子
教室の様子

広い校庭で伸び伸びと体を動かせる、安全で安心な学校

――区内で最も広い校庭を生かした行事などはありますか。

大石校長:行事ということではありませんが、日常的に複数の部が同時に練習でき、なおかつ怪我が少ないというのが一番嬉しい点です。普通、野球部とサッカー部が同時に練習というのはなかなか難しいですし、無理に入れ込んでも結局ボールの行き来で練習に集中できなかったりします。中学生は心も体も一番成長する時期ですから、このときに体を使って思いっきり活動できる環境が整っている、しかも都内でこれだけの広さが確保できているというのは幸せなことだと思います。

練馬区で最も広い校庭
練馬区で最も広い校庭

――部活動が盛んだというお話も校庭の広さに関係あるのでしょうか。

大石校長:陸上部は全国大会に出場したり、サッカー部も区大会で優勝したり、テニス部も都大会に出場したり、運動部の子どもたちからは「強くなりたい」という気持ちが伝わってきますね。また体育館を地元の新体操クラブチームに夜間解放していることもあって、本校では区立中学では珍しく「新体操部」があるんです。運動部だけでなく吹奏楽部も今年吹奏楽コンクールで金賞を受賞しましたし、全体的に部活も勉強も頑張りたいという意識が強いように感じます。

ユニークな部活動としては「農部」という部があって、学校農園で野菜や果物づくりに取り組んでいます。夏休みの間も水やりや草取りなど、こまめに学校に通ってはよく面倒を見ていましたよ。作業用のつなぎのユニフォームもお揃いで作って、ときどき収穫した野菜なども持ってきてくれます。顧問もいますが、地域の方々が外部指導員として通ってくださり、土の作り方から肥料の与え方、基本的な育て方などを事細かに教えてくださっています。人間は土を触っていると精神的にも落ち着いて豊かな気持ちになるようで、子どもたちの成長によい影響があると肌で感じています。今年は「農業検定を受ける」と言って部員たちは張り切っているので、応援しています。

記念の賞状や写真がたくさん
記念の賞状や写真がたくさん

――日々の指導のなかで先生方が気をつけていらっしゃることはありますか?

大石校長:やはり「人権教育」に長年取り組んできたこともあり、先生方も日常的に「人権」や「差別」「いじめ」に関してよく考えていて意識が高いと思います。やはり子どもから質問を受けることも多いですし、話題になる機会も多いですからね。本校では2011(平成23)年度の生徒会が考え、掲げている「思いやり宣言」があります。近隣の小学校にもPRしていて、昨年学区内小学校の「南町小学校」でも「思いやり宣言」が出されたようです。

また私が赴任した年度から、担任を持つ先生方にクラスの子どもすべての家庭に電話をかけてもらっています。これは年度が始まった4月~5月末にかけて保護者の方と直接電話で1対1でお話しする機会を持つというもので、子どもの様子を伝えたり、保護者の方々の心配なことをお聞きしたり、コミュケーションを取る手段の一つとして実施しています。昔は家庭訪問というものがあって、必ず先生と親が顔を突き合わせて話をしたものですが、現在はその習慣もなくなりました。先生方にはかなりの負担になっているとは思うのですが、年度始めに一言言葉を交わしていれば、何かあった時に連絡もしやすいでしょうし、親御さんたちも安心なのではないかと考え、少々無理を言ってお願いしています。

支えられるだけでなく、「地域を支える子ども」を育てる

――地域の方々との交流などはどのような形で行なっていますか?

大石校長:本校は地域の避難拠点になっていて、毎年地域と合同の避難訓練を行なっています。その訓練の際に、地元の消防団の方々や保護者のお父さんたちの「おやじの会」にも参加してもらい、1年生の子どもたちに怪我の応急処置やAEDの使い方など、かなり実践的な訓練を実施しています。

というのも、この地区は昼間、男性たちは都心に働きに行っていますし、高校生は遠方に通っている人も多いので、地元に残っているのは高齢者と小中学生です。災害が起こったとき、私は中学生が使命感を持って地域の人たちを助ける人材になってほしい。支えてもらっている地域の人たちを、今度は支える側に立ってほしいと考えています。1年生の避難訓練でその意識づけをしっかりと行い、2年・3年を通してその気持ちを保ってほしいと思います。

校舎内の様子
校舎内の様子

――宿泊できる施設が校内にあるというのも珍しいですね。

大石校長:セミナーハウスは昭和60年代に建てられたようで、練馬区では「大泉中学校」内にも同じような宿泊可能施設があります。部活動の合宿なども校内で行えるので有難いです。研修室があるので地域の方々の講演会などにも利用されており、今年度は鼓や狂言、能楽の会などが催されたようです。

もちろん災害時には避難所として解放する予定で、実際に東日本大震災の時には帰宅困難だった職員たちが宿泊した経験もあります。

――生徒たちや保護者の方々はどのような雰囲気ですか。

大石校長:練馬区は東京23区内でありながら、畑も多く、のどかな田園風景や緑が残る貴重な地域です。そのせいか子どもたちも非常に純粋で、素直な生徒が多いように感じます。親御さんも教育活動に協力的ですし、親子3代でこの中学校に通っている方もいらっしゃるくらい、一度住むと離れ難い魅力がある地域なのだと思います。

練馬区立開進第二中学校 正門
練馬区立開進第二中学校 正門

――先生が個人的にお好きな場所はありますか?

大石校長:3月末からちょうど入学式シーズンの石神井川沿いの桜の風景が大好きですね。川に向かって桜の枝が下に垂れ下がり、水面に桜が映ってなんともいえない美しい景色です。私自身、練馬区で生まれ育っていますので、利便性は高くて便利なのに、ふと四季を感じさせてくれる自然豊かなこの地域は非常に暮らしやすいよい街だと思います。

石神井川沿いの桜
石神井川沿いの桜

練馬区立開進第二中学校 校長 大石 光宏 先生
練馬区立開進第二中学校 校長 大石 光宏 先生

練馬区立開進第二中学校

校長 大石 光宏 先生
所在地:東京都練馬区練馬2-27-28
電話番号:03-3993-1348
URL:http://www.kaishin2-j.nerima-tky.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年9月時点のものです。