スペシャルインタビュー

自然豊かな教育の街・大泉学園で国際社会に「いきる」力を育てる「東京学芸大学附属国際中等教育学校」

都心への交通利便性が高い一方で、閑静な住宅街が広がる大泉学園。古くから住む人も多くのどかな街の雰囲気も特徴だ。元々“学園都市”を目指し作られた街のため、教育環境は充実している。「東京学芸大学附属国際中等教育学校」は、開校10周年を迎え、「国際バカロレア教育(以下、IBと略)」の充実と日本の教育の発展に貢献する独自の教育プログラムで国内・国外からも注目を浴びる中高一貫校だ。同校を訪れ佐藤正光校長と藤野智子副校長に話を伺った。

「東京学芸大学附属国際中等教育学校」正面入り口 ©恵雅堂出版株式会社
「東京学芸大学附属国際中等教育学校」正面入り口 ©恵雅堂出版株式会社

国公立学校初のIB一貫教育を実践

――まずは、学校の概要について教えてください。

佐藤校長:本校は1947(昭和22)年に、本校の前身となる「東京学芸大学附属大泉中学校」が、「東京第三師範学校附属中学校」として発足しました。2007(平成19)年に附属大泉中学校と附属高等学校大泉校舎を統合・再編した「国際中等教育学校」として開校し、現在は全校生徒約740名が在籍しています。「国際」をキーワードとして、多様で異なる人々と共生・共存でき、進展する国際化の中で活躍する力を持った人材を育成する学校です。また本校は、日本の国公立学校初の国際バカロレア・ワールドスクールとして、1年生から4年生までの全生徒を対象に中等教育プログラム「MYP」を実施しています。さらに2015(平成27)年3月31日付で、5年生と6年生を対象としたディプロマプログラム「DP」の認定校となりました。2016(平成28)年4月より定員制を設けて一部の生徒を対象に授業をスタートさせ、「MYP」と「DP」の「IB一貫教育」を実践する初の国公立学校になりました。

お話をしてくださった佐藤校長
お話をしてくださった佐藤校長

探究的な学びで社会に貢献できる人材を

――「IB」や「MYP」、「DP」について教えてください。

佐藤校長:「国際バカロレア教育(IB)」のはじまりは、外交官や大使など世界中を視野に入れて働くご家庭のお子さんを対象に、どの国に行っても子どもが質の高い教育を受けられるようにするのが目的だったそうです。本校は「IB」を取り入れていますが、英語重視の学校でも欧米式の学校でも、エリート教育の学校でもありません。「IB」はその国の伝統や文化に立脚した教育を積極的に行うことも特徴でして、使用する言語は日本語も認められています。しかしながらグローバルな視野で教育を捉えた場合、日常生活だけの為に英語を使うのではなく、自分の考えを伝えたり議論ができたりするレベルの英語力が求められます。生徒は日本語で学ぶ科目もあれば、英語で学ぶ科目もあります。2つの言語を使って教科内容をより深く学習できることができるのも、本校の特徴です。

校内と生徒の様子。のびやかな雰囲気がある
校内と生徒の様子。のびやかな雰囲気がある

藤野副校長:「IB」は、国際的な視野を持つ人間の育成を目指し、人類に共通する人間らしさと地球を共同で守る責任を認識し、平和でより良い世界の構築に貢献する人間を育成するプログラムです。探究的な学びが特徴で、質問すること(探究)、実行に移すこと(行動)、考えること(振り返り)の相互作用を通じて、様々な意見やものの見方が尊重される開かれたクラスを目指します。ただ点数をとって知識を積み重ねるだけではなく、学習者が一人で、または他の人々と協力して生涯学び続ける為の力を引き出します。本校での「MYP(Middle Years Programme)」の4年間は、プレゼンテーション・ディスカッション・レポート課題などを通じた概念理解と探究活動を中心とした学習が特徴です。生徒はこの4年間の学習経験をもとに「DP(Diploma Programme)」におけるより高度な学習をスムーズに始め、深めていくことができます。「DP」は、5・6年生対象のより専門性の高い学習プログラムで、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身につけることを目的とした教育です。生徒は2年間かけて「言語と文学」や「個人と社会」、「芸術」など6つの科目と「CAS(Creativity,action,and service)」などのコアを学びます。海外進学のチャンスが広がるだけではなく、国際的な視野と高い専門性を有するグローバル人材への成長が期待できます。

学校の案内パンフレット
学校の案内パンフレット

佐藤校長:本校の教育では「国際教養」という学習領域を設定しています。「国際教養」は「IB」の中等教育「MYP」の考えをもとに、国際理解・人間理解・理数探究という3つの柱で構成される、6年一貫教育の中で実施するカリキュラムの1つになります。社会に貢献できる人材となるためには、知識・技術・能力を活かして様々な人と有益なディスカッションができるようになることが重要です。質の高いディスカッションができるようになるには、世の中にあふれる情報源の中からそれらを正しく理解し、相手に伝えることが必要で、ディスカッションの相手も努力して考えを伝えようとします。そしてその考えを聞き取る力もまた必要です。生徒には「国際教養」で「自分が勉強していることが、何につながっていくのだろう?」という問いを常に持ち続け、その考えを自分で探っていくことを身につけていって欲しいと考えます。

校舎は4棟に分かれている。E棟の写真
校舎は4棟に分かれている。E棟の写真

英語“を”学ぶのではなく、英語“で”学ぶ大切さ

――「英語イマージョン」とはどのような取り組みですか。

藤野副校長:4年生以上を対象に教科を英語で受講するプログラムになります。3年生で週に1時間プレイマージョンの時間を設けて、数学と理科と社会、美術を英語で受講します。4年生では数学A、地理A、科学と人間生活を、5年生では世界史A、数学B、生物、6年生は数学特講、物理、政治経済を英語で受講することができます。また、1年生から英語の授業の他に週に2時間、LE(Learning in English)の時間が設定され、ネイティブの先生と英語で様々な地球的課題について学び、異文化への理解・関心、自分自身や自文化への理解を深めます。初めて英語を勉強した生徒でも3年生が終了する段階では、約半数が英語検定2級レベルを取得しているのが現状です。

目的を持って海外留学にチャレンジする生徒も

――海外留学や海外の大学進学を希望する生徒はどの程度いるのでしょうか。

佐藤校長:4年生以降で成績・出席状況など一定の条件を満たせば、帰国後に最大31単位が認められる制度があり、1年間の長期留学から短期留学までそれぞれが目的を持って留学を希望する生徒も少なくありません。海外の大学進学希望者も毎年数名おりますが、DP1期生が卒業する2018(平成30)年は海外大学希望者が今よりもさらに増えるかもしれません。

留学した生徒の体験をまとめた掲示物
留学した生徒の体験をまとめた掲示物

国際交流・学校間交流で課題研究への理解を深める

――国際交流・学校間交流の活動内容について教えてください。

佐藤校長:国際交流では「東京学芸大学」の協定大学である「Philippine Normal University」やアジアの開発機構、現地のNGO団体の支援先を訪問しています。UAE、ブラジル、ベトナム、アメリカ、中国など各国からも学校視察を受け入れています。また国内では、「さくらサイエンス」のプログラムでインド、モンゴル、ラオスの学生と一緒に講義を受講し交流を深めたり、「東京外国語大学」の「Joint Education Program」を受講したりと、積極的に交流しています。また、本校を訪れたSGH校の生徒と、ディスカッションを通しての交流も行っています。「関西大学高等部」とは「共同体と移民問題」についてや「地球環境の変化は私たちの生活をどう変えるか」についてディスカッションをしました。その他にも「兵庫県立国際高等学校」などとSGH校同士の取り組み状況や情報を交換し、相互の課題研究への理解を深めています。

課題研究を通じて資質・能力の育成を

――スーパーグローバルハイスクール(SGH)としての活動について教えて下さい。

佐藤校長:スーパーグローバルハイスクール(SGH)の活動は、「課題研究」を通じて様々な社会課題の解決について考えたり、国内外のフィールドワークにおいて調査活動・検証活動を行うなどして、グローバル社会で生きるための資質・能力を身につけることを目指すものです。「Global Discussion 2016」や「世界津波の日 高校生サミット」への参加、SGH甲子園などの発表会への参加、情報発信・収集の場として外部講師を招いてセミナーや「Global café」を開催するなどの取り組みを行っています。また本校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校にもなっていまして、国際的に活躍する科学技術人材の育成をめざした理数教育の開発研究に取り組んでいます。研究成果の発表の場としてサイエンスフェアなどへの参加を積極的に行っていまして、「平成29年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会」などで各種受賞・表彰を受けています。さらに本校では生徒の研究活動を推進するために課題研究コンテストとして「ISSチャレンジ」を実施していまして、「SGH」部門と「SSH」部門に分かれ生徒個人および団体による約1年間に渡る研究の過程および成果を審査し、優秀な研究を表彰する取り組みも行っています。

SGHとSSHの両方の指定校
SGHとSSHの両方の指定校

年に一度の祭典「School Festival」。一般公開で地域とともに

――その他特色のあるカリキュラムや力を入れている活動がありましたら教えてください。

佐藤校長:1年間で非常に大きな行事が例年9月中旬に行われる「School Festival」です。生徒は学年・クラス、部活などのグループに分かれて、生徒が自ら企画、沢山の方に楽しんでいただけるようこの日のために準備をします。教室での展示発表や体育館での発表、演劇、ダンスなど様々で保護者や一般の方も来校できるとても盛り上がるイベントです。その他、例年6月中旬に行われる「Sports Festival」(一般公開なし)があり、学年ごとの種目だけでなく、異学年が合同で行う種目もあり、学校が1つになる活気のあるイベントです。「School Festival」は一般公開もしていますので、本校の生徒が自然体で何事にも必死になって取り組む姿を是非見ていただきたいと思います。

「School Festival」の様子 ©恵雅堂出版株式会社
「School Festival」の様子 ©恵雅堂出版株式会社

教育の街・大泉学園は通勤通学にも便利な街

――最後に、大泉学園エリアの教育環境の魅力について、一言お願いします。

佐藤校長:大泉学園エリアは名前の通り学園都市を目指して作られた街です。自然が豊かで学校などの教育施設が充実していて閑静な住宅街でもありますので、子どもたちが勉強をするには最適な街だと思います。

藤野副校長:西武池袋線、有楽町線、副都心線、バス通りなどの交通の便が良いので便利な街ですね。通学にも買い物にも良い所だと思います。

東京学芸大学附属国際中等教育学校 佐藤校長
東京学芸大学附属国際中等教育学校 佐藤校長

東京学芸大学附属国際中等教育学校

校長:佐藤正光先生、副校長:藤野智子先生
所在地:東京都練馬区東大泉5-22-1
URL:http://www.iss.oizumi.u-gakugei.ac.jp/
※この情報は2017(平成29)年9月時点のものです。