自然と地域の輪に包まれる高台の小学校

緑の山々を背に、素直な子どもたちが学ぶ「八王子市立楢原小学校」

八王子市郊外の閑静な住宅地にある、「八王子市立楢原(ならはら)小学校」。眺望の良い高台に位置し、4階建ての校舎の上層階から西を眺めれば、高尾や陣馬などの山々が連なって見え、ここが東京であることを忘れてしまうほど。

この学校に通う子どもたちはおよそ350名。各学年2クラスという比較的小規模の学校で、創立40年ということから、保護者にもこの学校の卒業生が多い。豊かな自然とアットホームな地域の輪に囲まれて、落ち着いた雰囲気で学ぶことができる小学校である。今回は校長の原市 裕先生を訪ね、小学校の特徴と地域の魅力についてお話を聞いた。

八王子市立楢原小学校
八王子市立楢原小学校

――まず、学校の沿革、概要について教えてください。

本校は1977(昭和52)年の創立で、今年で創立42年目になる小学校です。隣には「陶溶(とうよう)小学校」という創立140周年を超える小学校がありまして、そこの学校の児童数が増えたために、40年前にそこから分かれて始まったのが本校であると聞いています。

この学校の特徴は立地、環境の良さではないでしょうか。この辺りはもともと雑木林でしたので、今でも周りを見ると非常に緑が多いです。住宅も増えてはいますけれども、学校から見る静かで落ち着いた景色は、40年前と比べてもあまり変わっていないのかなと思います。

学校から見る楢原町の景色
学校から見る楢原町の景色

――子どもたちの様子について、校長先生はどのような印象をお持ちですか?

本校の場合、生徒のご両親も本校の卒業生が多いので、保護者の方には愛校心がある方が多いですし、学校の活動にもとても協力してくださいます。そういった環境もあって、生徒たちは比較的落ち着きのある素直な子が多いと感じています。
一方で近年の課題としては全国的にもそういった傾向ですが、楢原の子どもたちの中にも「特別な支援」の必要な子が増えているという実態はあると思います。

教育目標
教育目標

――学習について、特に力を入れている点は何でしょうか?

今、校内研究で特に力を入れて取り組んでいるものの一つがこういった「特別な支援が必要な子ども」に対して、どうやって学力をつけ、身に付けさせていくかということです。
そのための取り組みのひとつとして実践しているのが「ユニバーサルデザインの視点を生かした授業づくり」というものです。校内研究でも、教員たちが専門家を呼んで勉強しあったり、知識を深める機会を定期的に持つようにしています。そこで学んだことを、日々の授業の中で生かしているというのが、本校の研究特徴のひとつです。

具体的には「視覚的にわかる授業をする」ということを大切にしています。授業のはじめ、「今日はこういう授業をやるよ」と提示する際に、たとえば言葉だけではなく写真を見せたり、具体物を出したりして、目で見て授業の内容や目当てがわかるような工夫をしています。
特別な支援が必要な子たちは、聞く力が弱かったり、聞いたことを頭の中で整理する力が弱かったりしますので、そこを克服するための手立てとして、こういった実践を全教科において、できる限り取り入れるようにしています。

八王子市立楢原小学校 廊下
八王子市立楢原小学校 廊下

他には本校では地域や保護者と連携を深めていく中で、「放課後子ども教室」に力を入れています。これは今年度から学校がある日は毎日実施しておりまして、「放課後の子どもたちの居場所をしっかりと作ろう」ということで積極的に取り組んでいます。
その中で図書室と校庭でいろんな活動をしているわけですが、図書室では宿題やドリルなど、補習的な学習の時間も持てるようにしています。そこには「支援員」という方に来ていただいていて、校内と校庭でそれぞれ2人、合計4人ぐらいの体制で、毎日子どもたちのいろんな活動をサポートしたり、一緒に楽しんだり、質問や疑問に答えられるような態勢を作っています。

この「放課後子ども教室」は他校にもありますが、これだけ毎日実施している学校は少ないと思うのでこれも楢原小の一つの特色だと感じています。
それから2020年には東京オリンピックが開催されますので、今は「オリパラ教育」についても積極的に取り組んでおります。講師を呼んでお話を聞いたり、いろいろな国の文化を学んだりといった点で計画的に学習を進めているところです。

八王子市立楢原小学校
八王子市立楢原小学校

――体験学習にも力を入れていらっしゃるようですね。特徴的なものがあれば教えてください。

課外活動では、「自然とふれあう」というテーマを持って、体験的な活動を重視しています。たとえば3年生については、地元の産業を体験しながら学習するという目的で、蚕(かいこ)を育てています。地域の方をお呼びして、卵をかえして育て、繭(まゆ)にして、繭から糸を取って、というところまでを体験しています。最後には糸を使っていろんな工芸品も作っています。
最近は桑の木も少なくなりましたから、どこの学校でもできるという活動ではないと思うのですが、本校はまだ学区内に桑の木が自生していたり、民家の庭で育てられたりしていますので、そういったところから桑の葉も分けていただいているんですね。

学校の外に出ていく活動という部分では、4年生が「安全マップ作り」をやっていまして、保護者と協力しながら地域の危険箇所を調べて、最後には一つの地図にまとめて発表しています。その時には地域の安全ボランティアさんもお呼びし、調べたことをお伝えして一緒に安全な環境を作っていこうということで、毎年取り組んでいます。

八王子市立楢原小学校
八王子市立楢原小学校

――ホームページに「今日の給食」というコラムがありますね。このねらいは何でしょうか?

これは、学校のホームページで毎日、写真付きで給食の内容を更新しているというものですが、給食の管理員さんや栄養士さんが主体となって、給食の内容を保護者に向けて発信しようということで取り組んでいるものです。ご家庭では、子どもたちが日々、学校の給食で何を食べているのかというのは、なかなか分かりにくいと思いますので、視覚的にわかりやすく、「今日はこんな給食を食べた」ということをお伝えするのが目的です。

メリットとしては、夕食の献立を重ならない、バランスを考慮できる、といった点があるわけですが、もちろん「食育」の観点もあります。家庭でも「食べる」ということにもっと意識をもってもらって、食事のバランスに注意したり、残さないための工夫をするといった意識を持ってもらいたいというねらいも含んでいます。

八王子市立楢原小学校 教室
八王子市立楢原小学校 教室

――特徴的な学校行事、地域や保護者との共催イベントなどがあれば教えてください。

ひとつは、毎年秋に「楢原祭(まつり)」という、子どもたちが主体となってお店などを開いて、地域の方や保護者にも来ていただきながら、一緒に楽しむという行事があります。毎年盛大に行われていますので、子どもたちも楽しみにしています。お店をクラスごとに出して、大人も子どもも、一緒に楽しむというお祭りです。
また、毎月1回保護者のお父さん方が「パパサンズ」というボランティア組織を作っています。そちらが中心となって行うイベントが毎月1回くらいあります。7、8年前から続いているものですね。たとえば、9月には学校に泊まるという企画があって、低学年は体育館に、高学年は校庭にテントを張って泊まるということもやられています。敷地内で夕食や朝食も作るので、けっこう大変な準備もあるのですけれど、毎年やってくださっています。

ほかには、ハロウィンの時期にパーティーを開いたり、体育館でスポーツ大会をしたりといろいろな年間の行事を企画して、お父さんたちが主体になってやって下さっています。これもまた、楢原の誇るべき活動なのかなと思っております。

八王子市立楢原小学校 校長 原市 裕先生
八王子市立楢原小学校 校長 原市 裕先生

――幼保小、小中の連携に関して、取り組みがあれば教えてください。

小中一貫については、本校は楢原中と連携して行っています。年間3回の「小中一貫教育の日」が設けられていますので、そこが中心の連携となっています

子どもたち同士の交流については、部活体験ということで、6年生が放課後を使って自分の好きな部に参加をして、中学生と一緒に活動するということをしていますし、中学校の生徒会が来て、中学校の様子を子どもたちに話してくれる、ということも行っています。また、今年度からは、中学校と小学校で日程を調整しまして、防災の関する「引き取り訓練」を同じ日に行うなど、親御さんの負担を減らせるような取り組みも行っています。

幼稚園、保育園に関しては「光明第三保育園」と「なかの幼稚園」と交流をしています。園児たちが小学校に遊びに来て、主に1年生と交流をするというような活動です。また職員についても保育園、幼稚園に実際に行って、園児と職員の活動を見せていただくというような交流も行っています。

八王子市立楢原小学校 校庭
八王子市立楢原小学校 校庭

――最後に、楢原小の周辺エリアの魅力、校長先生のお気に入りスポットを教えてください!

まず、私の好きな場所ということですと、学校から西を望んだ景色ですね。これは昔から、あまり変わらない風景だと思います。秋は特に夕焼けがきれいですね。西の空が茜色にきれいに染まります。八王子は「夕やけこやけ」の歌が生まれた地として有名ですが、東京でこういう景色が見られる場所というのはなかなか無いと思います。

また子育てをされる環境としても、敷地は広いですし、住宅街ですので安全面も確保されています。そういった意味では育てやすく子どもが活動しやすい環境だと思います。もちろん、自然が近くにあって、自然の中で遊びやすいという点も素晴らしいですね。
また、地域についても町会の活動が非常に活発で、町会の運動会やお祭りなどもありますから、子どもたちも楽しいと思いますし、「地域で子どもを育てる」という雰囲気もあります。長く暮らされている方が多い地域ですが、決して閉鎖的ではなくて、開放的な雰囲気なんですね。本当に気さくで、面倒見がいい方が多いですから、子育てをされるという方にとっても、安心して暮らせる地域だと思います。

 

八王子市立楢原小学校 校長 原市 裕先生
八王子市立楢原小学校 校長 原市 裕先生

八王子市立楢原小学校

校長 原市 裕先生
電話番号:042-626-1204
URL:http://hachioji-school.ed.jp/nrhre/
※この情報は2017(平成29)年9月時点のものです。