西東京市立上向台小学校 校長 手塚成隆 先生 インタビュー

“豊かな人生を送るための準備期間”としての小学校教育を行う「西東京市立上向台小学校」

敷地から歩いてすぐの場所にある「小金井公園」など、地域資源を利用した伸びやかな教育活動を行なっている「西東京市立上向台小学校」。今年度から教育目標も新しく設定し、土曜公開授業の内容も刷新するなど、新たな取り組みにも力を入れている。緑豊かな環境や地域の人たちにも支えられた日々の教育活動について、そしてこの街の魅力について、手塚校長先生にお伺いした。

多様な社会に対応できるための「やさしさ・つよさ・かしこさ」

手塚成隆 校長先生
手塚成隆 校長先生

――学校の歴史や概要を教えてください。

手塚先生:本校は1978(昭和53)年に「田無市立上向台小学校」として開校し、2001(平成13)年に田無市と保谷市の合併により、校名を「西東京市立上向台小学校」と改称いたしました。校章は、富士山といちょうをモチーフにしたデザインで、富士山のようにたくましく美しく育つようにという思いと、いちょうのように太く根を張って枝を広げてほしいという願いが込められていると聞いています。

広々とした校庭
広々とした校庭

――今年度から新たな教育目標を掲げられたそうですが。

手塚先生:学校は「豊かな人生を送るために準備をするところ」だと考えています。人は誰でも“よりよく生きたい”“豊かな人生を送りたい”という願いを持っています。その願いを実現するための「学び」や「努力」であり、それを通して人として生きる喜びや生きる意義と価値を持てるのです。義務教育は9年間という長い時間をかけて、“よりよく生きる”ために必要な素地を身につける場です。

その素地とは、生きていくうえで必要な知性を身につけ(知)、人や社会・自然と関わるなかで感性を磨き(徳)、生活の基盤となる健康な体と心を育てる(体)ことです。特に小学校は、この「知・徳・体」がバランスよく備えるため、調和のとれた人間形成をする大切な時期です。学校は、そのための教育を施すために存在しているのです。

掲げられている教育目標
掲げられている教育目標

その思いを教職員全員で共有し、未来を担う子どもたちを育てるべく、「人にやさしさ 自分につよさ 生き抜くかしこさ」という新しい教育目標を設定いたしました。

――どのような思いで、この教育目標を作られたのでしょうか。

手塚先生:20年後、30年後に社会の中心で活躍するのは、現在私たちが指導をしている子どもたちです。AI(人工知能)との共存の時代になるでしょうし、私たちの想像を超えた未知の世界が広がることでしょう。大人は「先行き不透明」などという言葉で、未来に悲観的な予測をすることがありますが、私はこれからの社会に大きな期待と希望を抱いています。

オリンピック・パラリンピック教育に関する掲示
オリンピック・パラリンピック教育に関する掲示

未来を生き抜くうえで大切なのは、自分で軸を持ち、自分の存在に誇りを感じて、どんな社会であっても力強く生き抜くためのたくましさです。そのためのやさしさ(徳)・強さ(体)・賢さ(知)を育てるための教育目標として、「人にやさしさ 自分につよさ 生き抜くかしこさ」という一文を考えました。子どもたちの誰もが持つ「学びたい」という意欲、そして彼らの思いや願いを大切にしながら、日々の教育活動を行いたいと考えています。

またそのためには、学校と保護者の方々、地域の皆さんの3つの力が同じ方向に向かう必要があります。本校の教育活動がますます充実し、躍動したものになるよう、保護者と地域の皆さんのご協力を得ながら進めていきたいと思います。

記録ではなく「記憶」に残る周年行事を

――今年度は40周年の記念行事も予定されているそうですね。

手塚先生:11月には西東京市主催の式典が予定されていて、5~6年生が参加する予定です。またこれとは別に、全校生徒が参加する記念集会を6月に予定しています。周年記念というと、記念品を配布したり航空写真の撮影などを考えがちですが、今回の40周年では「記録」ではなく「記憶に残る記念行事」を実施したいと考えています。

例えば全校生徒による「風船飛ばし」や10年後の自分に手紙を書く「タイム・カプセル」など、子どもたちがマスコットキャラクターを自分たちで考え、そのイラストがあしらわれたレターセットでタイム・カプセル用の手紙を書くなど、子どもたちを主役にした記念行事を企画しています。

展示されている卒業制作の作品
展示されている卒業制作の作品

特に「風船飛ばし」では保護者の方々からボランティアスタッフを募り、当日のお手伝いをお願いしようと考えています。40周年の行事に子どもたちと一緒に参加することで、保護者の方々の記憶にもとどめられるような思い出深いイベントにしたいですね。

――地域の特性を生かした教育活動などはありますか?

手塚先生:歩いてすぐの場所に80ヘクタールの広大な敷地を誇る「小金井公園」があり、日常的に利用させてもらっています。総合的な学習の時間や理科の授業で、昆虫探しやどんぐり拾いなどのほか、先日大雪が降った際には雪合戦をするためにも訪れました。本校の野外活動がのびのびと行えているのも、この公園のおかげといっても過言でもないほど、日々お世話になっています。

また毎年10月には6年生から1年生までの縦割り班で「小金井公園」まで遠足に行き、全校オリエンテーリングを行なっています。広々とした草地で体を動かしながら異学年で交流して遊べるのは、子どもたちにとってもよい経験になっているでしょう。

緑に囲まれた学校
緑に囲まれた学校

地域資源という意味では、近隣の農園を貸していただき、毎年2年生が大根を種から育てて、最終的にはたくあんの漬け込みまでを行なっています。これも地域の方々が種まきから間引きなどのやり方を手取り足取り子どもたちに教えてくださり、収穫やたくあんの作り方まで面倒を見てくださるからこそ実現している活動です。手作りのたくあんは、子どもたちが自宅に持ち帰っているので、保護者の方々にも召し上がっていただいていると思います。このように子どもたちを地域で支えてくれる土壌がありますので、学校としても非常に有難いですね。

慈しみの心・憧れの心を育てる「縦割り班」の活動

――縦割り班の活動も活発なようですね。

手塚先生:現在の縦割り班は、各学年3~4名、1班20〜25名程度のグループになっています。6年生がどんな遊びをするか企画を立て、リーダーシップを発揮して全学年にとって楽しい遊びを考え一緒に活動していますから、特に低学年の子どもたちはお兄さん・お姉さんに遊んでもらえて嬉しそうな様子です。今は兄弟も少なくなり、近所の異学年の友達と交流するということがなくなりました。学校でのこの縦割り班の活動を通じて、慈しみの心や年上を敬う気持ちが、子どもたちの心の中に育つことを期待しています。

また今年度から道徳が授業科目になったことを受け、10月の学校公開で道徳の授業を行う予定にしています。その授業の後すぐに縦割り班での遊びの時間を設け、「心」について学んだ後すぐに異学年の仲間と過ごすことで、気持ちや行動にも潤いが加わるのではないかと思います。そんな様子も保護者の方々に見ていただき、我が子の成長を感じていただけたらと思います。

自然豊かな学校周辺の緑道
自然豊かな学校周辺の緑道

――クラブ活動などで特徴のある取り組みがあれば、教えてください。

手塚先生:本校では放課後や土曜日などに活動する課外活動のクラブはなく、週1回、選択制で取るクラブ活動を行っています。なかでも合唱部は、近隣の高齢者施設や幼稚園に赴いて発表を兼ねたコンサートを行って、地域交流としての活動もしています。部員は12〜13名という決して大きくはない部で、派手で目立つ活動などはしていませんが、例えば高齢者施設での歌は童謡や懐かしい歌などを中心に歌を披露したり、実につつましやかな美しい活動だと私は感動しています。お年寄りの方々からは「子どもの声に元気づけられた」という感想もいただき、子どもたちの持つ力に改めて驚かされています。

創立30周年記念の桜で作ったベンチ
創立30周年記念の桜で作ったベンチ

朝礼やクラブ活動を公開する新たな取り組み

教室の様子
教室の様子

――保護者の方々の雰囲気はいかがですか。

手塚先生:この学校自体が緑の多い静かな住宅街にあるせいなのか、保護者の方々も非常に落ち着いた雰囲気です。保護者の方々が子どもを見る目も親子の距離感も、実に適度でバランスが取れていると思います。PTA活動にも協力的で、お父さんたちによる「おやじの会」も結成されています。

今年度から土曜公開の授業を、音楽朝会の公開授業にしたり、4年生以上のクラブ活動を保護者の方々に見ていただいたりと、少し趣向を変えてアクティブな公開授業にするつもりです。一般の授業ではなく、学校での活動的な場面を公開することで、家では見られない子どもの意外な一面を保護者の方々にも感じていただけたらと思っています。

遊び、そして学びの場である「都立小金井公園」
遊び、そして学びの場である「都立小金井公園」

――最後に学校周辺や地域環境について教えていただけますか?

手塚先生:「小金井公園」に代表されるように、実に緑が多くて静かで癒される街です。学校の校庭側は自転車道路になっているのですが、朝は子供たちが元気に通学してきます。その道路を通りながら近隣の方々が、運動会の練習や休み時間の遊びの様子を何気なく見守ってくださるのがわかり、安心します。毎年お正月には校庭を利用して「どんど焼き」が行われているのですが、これも地域の方々が全て準備から運営までを取り仕切ってくださっています。昔ながらの風習を残そうという気概も感じますし、地域の方々の温かい気持ちも伝わってきますね。
バスを使えば西武新宿線の「田無」駅にもJR中央線の「武蔵境」駅にも出られて便利ですので、通勤も通学もしやすい好環境ではないでしょうか。

校長先生
校長先生

西東京市立上向台小学校

西東京市立上向台小学校 校長 手塚成隆先生
所在地:東京都西東京市向台町6-7-28
電話番号:042-467-1151
URL:http://www.nishitokyo.ed.jp/e-kamimukoudai/
※この情報は2018(平成30)年4月時点のものです。