「子育てを“孤育て”にしない」、多彩な子育て支援を展開する「国立市子ども家庭支援センター」

JR「国立」駅の南西に位置する「国立市子ども家庭支援センター」。同センターは、国立市内の18歳未満の子どもとその保護者、そして子育てに関わる人を対象とした支援や情報の提供を行っている施設である。そんな「国立市子ども家庭支援センター」の皆さんに、国立市の子育て支援や取り組み、その中で同センターがどのような役割を担っているか、そして国立市の魅力について伺った。

「子ども家庭支援センター」の皆さん
「子ども家庭支援センター」の皆さん

「次世代の育成」に注力する国立市の取り組み

――国立市の子育て支援に対する取り組みについて教えてください

東京都の各市区町村では規模の差はあるにせよ、子育て支援活動のガイドラインがあり、「子育て親子の交流の場のの提供と交流の促進」「子育て等に関する相談、援助の実施」「地域の子育て関連情報の提供」「子育て及び子育て支援に関する講習等の実施」が4つの柱となっています。

具体的な活動としては、「ファミリー・サポート・センター」「育児支援サポーター派遣」「一時保育」「子どもショートステイ」といった子育て支援サービスを行っています。

まず、「ファミリー・サポート・センター」は、生後2カ月から10歳までのお子さんを持つ家庭を対象に、お子さんのお預かりや保育園・習い事への送迎を代行するサービスです。子育て家庭を手伝ってくれる人を募り、100人以上の支援会員がその相互支援活動に当たってくれています。中には、ご自身が支援会員として活動に協力してくれると同時に、このサービスの利用者でもある方もいらっしゃいます。そんな複数の支援会員と利用者をマッチングするのが私たちの仕事です。

「子ども家庭支援センター」
「子ども家庭支援センター」

「育児サポーター派遣」は、国立市独自の子育て支援サービスで、産前から産後6カ月までの子どもがいるご家庭に、研修会を受講し登録されたサポーターさんが直接うかがって、沐浴の補助、上の子の世話など育児や母子の食事の世話、掃除、洗濯、買い物など、家事のお手伝いをします。

さらに、2016(平成28)年秋からは児童養護施設に委託して、日帰りの「子どもショートステイ」事業もスタートしました。これまでも2歳児から小学校6年生までを対象とした、短時間のショートステイには対応していたのですが、対象年齢も中学3年生までへと拡大しました。また、「一時保育」事業は国立市内の「国立あゆみ保育園」と「きたひだまり保育園」の2園で対応しており、保護者の仕事、病気、リフレシュなどで、一時的な保育が必要な時に利用できます。

国立市独自の子育て支援サービスがある
国立市独自の子育て支援サービスがある

――国立市の公共機関が協力し合ってのサービスを展開しているということですね

国立市では、「次世代の育成」を主眼においた事業を強化しています。市役所内に「子育て相談窓口」を設けたのもその一つで、子育て関係の手続きに来所した際、気軽に立ち寄って相談してもらいたいと考えています。また、将来的には、「国立」駅前に当センターの3倍以上の広さを持つ「子育て広場」がオープンする予定です。複合商業施設の中に作られるので、買い物や通院を兼ねて立ち寄ることができるという利便性が期待できます。一時保育にも対応する予定です。

そうしたハード面でのサービス拡充に加え、2017(平成29)年7月からはスマホアプリで、国立市の子育て情報や防災情報を提供する「くにさぽ」というサービスもスタートしました。子育て情報「ぽかぽか」も発行しており、こちらも国立市ホームページで閲覧可能です。身近な情報収集ツールとして、ぜひ利用してください。

子育て情報「ぽかぽか」
子育て情報「ぽかぽか」

「子育て広場」で保護者の仲間づくりや情報交換、リフレッシュをサポート

――国立市の子育て支援サービスにおける「子ども家庭支援センター」の役割をお教えください

センター内の「子育てひろば」では、0歳の子どもが保護者と一緒に自由に遊べるスペースを開放しています。保護者同士が交流や子育て情報の交換をされたり、あえて利用者が少ない時間にいらっしゃって、お子さんに本を読んであげたり、お子さんが遊んでいる様子を見ながらくつろがれる方など、利用方法はさまざまです。初めてのお子さんを育てている方に比べて、第2子の方はすでに子育て情報を持っていることもあって、子育ての先輩としてのアドバイスされていることもあります。国立市はコンパクトな街である分、それぞれの地域が近いので買い物情報など共通の話題も多く、話が弾みやすいようです。私たちは、初めてこちらを利用される方が他の方たちと馴染めるよう、サポートに努めています。

「子育てひろば」の利用者は、お子さんが0歳児から2歳児くらいまでの方が多く、来館される人数は日によって違いますが、イベント開催時には1日で180名の利用者があったこともあります。通常は多い時で50~60人ほどです。土曜日の午前中などは、父親が子どもと一緒に来られることも多いです。中には育児休暇中の方もいて、子育てを女性任せにしない家庭が増えてきていることを実感しています。

「子育てひろば」
「子育てひろば」

――どのようなイベントが行われているのですか?

「読み聞かせ」の実施や、国立市内にある「ヤクルト中央研究所」が自社の保育士さんを派遣してくれて、「子育てひろば」を利用して親子で遊べるようなイベントを行ってくれます。内容は月替わりで紙芝居や体操、お誕生日会、子どもの手形を取るなど内容はさまざまです。

ただ、私たちはそうした季節のイベントを充実するよりも、現在はその分の時間を保護者に向けた子育て講座・セミナーの実施にシフトしています。子どもが遊べるイベントは地域のNPO法人などが積極的にやってくれているという背景もあり、これまで定員漏れになってしまうこともあった講座・セミナーを強化していこうと考えています。人気講座だと希望者全員を受け入れられないこともあって、1年に1回の講座の場合、次の実施は翌年になってしまいます。ですが、子どもの成長は待ってくれません。子育て関係の講座・セミナーはタイムリーなことが重要なのです。そのため、1つの講座を上・下半期で1回ずつ行えるようにしました。父親向けの講座も実施しています。

「子育てひろば」の様子
「子育てひろば」の様子

「一人で頑張らないで! 地域で子育ての輪」をモットーに

――講座・セミナー関係を強化した目的とは?

当センターを利用される方の多くは、0歳児から2歳児までの保育園や幼稚園に行っていないお子さんを持つ保護者です。保育園や幼稚園に通うようになれば、そうした悩みにも保育士が対応してくれます。ですから、私たちは“どこにも所属していない子育てファミリー”を応援するのが役目だと思っています。各種講座を通じて、子育てで悩んでいるのは自分だけではないと思ってもらいたい。相談員・臨床心理士といった子育て関係の専門家からの言葉をもらえることで、保護者の方々に安心を提供できればと考えています。

子育てに対して真面目に取り組んでいるからこそ、「子育てを辛いと言ってはいけない」と思っている人も少なくありません。講座・セミナーを受けた方々から「子育てを辛いと言ってもいいんだ」という気持ちを持つことができたという声を多く聞きます。こうした反響も鑑みて、当センターでは季節イベントを詰め込まず、広場を開放する時間を長くすることで、初めて訪れる人でも入りやすい環境、相談しやすい環境を作っています。

「子育てひろば」の様子
「子育てひろば」の様子

――「子育てひろば」に個室「ほっとルーム」が設けられていますが、あちらでも子育て関係の相談に対応しているのですか?

18歳までのお子さんや家庭に対する悩み・不安に応える「なんでも相談」を行っていますが、相談の内容的に深刻な場合は個室「ほっとルーム」を利用して、じっくりお話をうかがって相談できる機会を作ったり、電話での相談にも対応しています。月曜日から土曜日までの8時間から17時まで受け付けている相談専用電話も開設しています。そうした子育て相談については、センターを利用していない人も利用可能なので、一人で悩む前にまずお電話をいただければと思います。

「子育てひろば」の様子
「子育てひろば」の様子

――子育て仲間づくり支援の推進においても、その一翼を担っているそうですね

同じ地域の親子が集まる「地域グループ」や、同じ月生まれの親子が集まる「月齢グループ」のお手伝いをしています。「月齢グループ」は、「保健センター」での定期健診の際に保護者の方々にグループを作って、それぞれ自分たちでグループ名もつけてもらいます。1グループ20人くらいで、子どもの検診や予防接種などのついでに月2回の実施です。グループの幹事役を中心に、各グループの自主性を尊重して、好きなことをやってもらっています。ただ、私たちはグループ活動が軌道に乗るまでのアドバイスはします。また、「月齢グループ」単位での講習・セミナーも行っており、年齢ごとに分けることで、お子さんの成長に合わせたピンポイントな課題や悩みに応えられる内容を取り上げることができます。

「月齢グループ」を「地域グループ」に結び付けるのも私たちの仕事です。それぞれ月齢が異なるので、子育ての先輩となる保護者の方からは、参考になる情報を聞くことができます。たとえば、「子どもが食事を食べない」「なかなか寝付かない」「夜泣きで困っている」「イヤイヤ期の時の対応」といった問題。それが解決に至らなくても、それぞれが他の人に話したり、お互いの悩みを交換したりするだけで、「自分だけではない」と安心できるようです。現在は7カ所、集まれる場所を作り、そこにはおもちゃも置いてもらいました。

国立市は、子育てを主に母親一人で悩むような「“孤育て”を無くす」活動を推進していることもあり、私たちもその一員として、子育て中の保護者の仲間づくりや情報提供・情報交換をサポートしていきたいと考えています。

「くにたち子育てサポートブック」
「くにたち子育てサポートブック」

インタビューに答えて下さった方々
インタビューに答えて下さった方々

国立市子ども家庭支援センター

関根さん、小高さん、中川さん、神崎さん
所在地:東京都国立市富士見台3-21-1
電話番号:042-573-0192
開館時間:子ども家庭支援センター 8:30~17:00 ※子育てひろば 10:00~16:00(木曜日は10:00~13:00)
休館日:日曜日、祝日
URL:http://www.city.kunitachi.tokyo.jp/about/sisetsu/others/1465447612890.html
※この情報は2017(平成29)年11月時点のものです。