杉並区役所 保健福祉部 子育て支援課 課長 大澤章彦さん インタビュー

切れ目のない子育て支援を目指して、「杉並区役所 保健福祉部 子育て支援課」

“地域で子どもを支えたい”という思いから生まれた子育て応援券、待機児童ゼロを目指した保育園2000人の定員増の取り組み、悲しい事例を一つでも減らそうと杉並区独自の児童相談所開設の準備など、区内の子育て世代をサポートしたいという熱い思いが伝わってくる杉並区役所子育てに関するさまざまな取り組み。日々子育て支援の最前線に立つ保健福祉部子育て支援課課長の大澤さんに、杉並区としての既存の支援内容から今後新たに着手する分野まで、詳しくお伺いしました。

「妊娠を考えたときからの切れ目ない支援」

子育て支援課課長の大澤章彦さん
子育て支援課課長の大澤章彦さん

――杉並区が取り組む子育て支援策について、主軸に据えている取り組みを教えてください。

大澤課長:杉並区では「妊娠期から切れ目ない支援」を行うことに重点を置いています。さらに言えば不妊治療に関する相談や特定不妊治療に対するサポートも行なっていますので、「妊娠を考えたときからの切れ目ない支援」と言ってもいいかもしれません。

妊娠が分かったら妊娠届けを出していただきますが、以前は区民事務所などでも母子健康手帳を交付していましたが、現在は区内5ヶ所ある保健センターと本庁のみで交付することにしました。これは、その際に、必ず、保健師や助産師などの専門のスタッフと20~30分間、個別にじっくりとお話をする「ゆりかご面接」を実施するためでもあります。

「杉並区役所」
「杉並区役所」

面接では妊娠中の過ごし方や妊娠前後から利用できるサービスの内容を伝えたり、一人ひとりの育児支援プランを渡したり、不安なことがないかを吸い上げて、きめ細やかな支援を目指して実施しているものです。「妊娠」が初めての自治体との接点という方も多いので、より身近に感じてもらい、より親身になってサポートする必要があると考えています。

ゆりかご券
ゆりかご券

――妊婦さんや子育て中のお母さんが利用できるゆりかご券を配布しているとか?

大澤課長:先ほどお話しした妊娠時の「ゆりかご面接」の際に「ゆりかご券(10,000円分)」を、お子さんの誕生時に「出生児応援券(20,000円分)」を交付しています。また、0~2歳児の間は年1回20,000円分を、小学生以下の兄弟が2人以上いる世帯の第三子以降の0~2歳児には年1回25,000円分の無償応援券を各御家庭に交付しています。この応援券は、マタニティヨガや産後ケアのデイサービス、お子さんを預かるサービスなど、地域の子育て支援サービスに利用できるものです。

「ゆりかご券」が使用できる「レストナック幼稚園」
「ゆりかご券」が使用できる「レストナック幼稚園」

これらのサービスは「地域で子どもを支えよう」という思いから生まれたもので、利用者と事業者を応援券でつなぐことを目的にしています。当初はサポートをする事業者側が何をどうしたらいいのか、という状態から手探りで進めてきた取り組みです。しかし、おかげさまで意識改革から実際のサポート内容まで、この取り組みをきっかけに“地域の子育て力”がアップし、良質なサービスが提供できるようになりました。

お母さんたちを孤立させないための様々な施設整備を

「和泉子どもセンター」
「和泉子どもセンター」

――杉並区では「子どもセンター」という施設があるのですね?

大澤課長:この施設は子育て支援サービスに関する情報提供や相談を受けることを目的に、区内5ヶ所にある保健センター内に設置しているものです。区内の子育て支援サービスに関する情報は「子どもセンター」に集まるようになっています。妊婦さんから未就学児の保護者までを対象にしており、保育園への入園申し込みなども受け付けています。

「子どもセンター」には親子に嬉しい設備も整う
「子どもセンター」には親子に嬉しい設備も整う

――子ども・子育てプラザも今後増やしていく予定だと伺いました。

大澤課長:現在は永福町にある「子ども・子育てプラザ和泉」1ヶ所だけなのですが、2018(平成30)年には天沼と成田にも新たにつくる予定です。杉並区は区内を7つの地域に分けて政策に取り組むことが多いのですが、将来的には各地域に2つずつの「子ども・子育てプラザ」を設置する予定です。

「子ども・子育てプラザ和泉」
「子ども・子育てプラザ和泉」

小さな子どもを連れての外出は心配事も多く、どうしても親子だけで室内で過ごす時間が増えてしまいます。そこで子ども・子育てプラザのような場所があちこちにできれば、家の外に出るきっかけなり、集団の中で我が子を見ることもできるのではないかと考えています。そこに集まるお母さん仲間やスタッフと話や情報交換をすることで、少しでも育児の不安や疎外感を払拭してもらえればと思います。

行政の一方的な発信ではない、母に寄り添うサイトを運営

――すぎなみ子育てサイトの運営について心がけていることなどはありますか?

大澤課長:すぎなみ子育てサイトには、杉並区で子育てをしている現役お母さんたちが自分たちで取材し、記事を書いている区民参加型のコンテンツ「すぎラボ」があります。親子で遊びに行く場所やイベント、親子で参加できるワークショップなどの「おでかけ情報」、区内の幼稚園や習い事、お母さんの学びの場などの「学び情報」、防災や子どもの病気などのコラムを集めた「安全・安心情報」など、子育て中の保護者の視点から情報を発信しています。

子育て中のママたちが発信している「すぎラボ」
子育て中のママたちが発信している「すぎラボ」

すぎなみ子育てサイトでは、行政情報を一方的に発信するのではなく、お母さんたちが求めているものが何なのかを考え、その気持ちに寄り添う内容になるように心がけています。子どもの成長段階に応じた内容にしたり、リンクを張ってより詳細の情報へ飛ばしたり、見せ方を工夫してより見やすく気軽に見に来てもらえるサイトを目指しています。
なかなか外に出られないお母さんや働いているお母さんたちでも、このサイトの情報ならいつでも見てもらえるので、いろいろな場面で役立ててほしいですね。

――今後杉並区として力を入れていきたい取り組みはありますか?

大澤課長:杉並区では前年度に保育園の待機児童解消のための対策を行い、2017(平成29)年度には待機児童が29名にまで減少しました。しかし区内の乳幼児の数が増加傾向にあることから、来年度の保育所への入所状況は未知数なのが現状です。

これを受け、2018(平成30)年には高円寺・和泉・方南町地区には新たな保育所をオープンさせる予定で、その後も1年間で1,000人の定員増を目指しています。「施設を増やしても保育の質は落とさない」を合言葉に、質の高い保育のクオリティは確保したまま待機児童ゼロを目指したいと思っています。杉並区は保育需要がある層が転入してくるケースが多いので、そういった若いファミリー層の期待に応えたいと考えています。

庁舎内にある「コミュかるショップ」
庁舎内にある「コミュかるショップ」

――杉並区独自の児童相談所も開設準備を進めていると聞きました。

大澤課長:2016(平成28)年度に児童福祉法が改正され、東京23区においても区独自の児童相談所が設置できるようになりました。これまでの児童相談所というのは東京都が設置したもので、杉並児童相談所は杉並区のほか中野区、武蔵野市、三鷹市も担当しています。非常にデリケートで深刻なケースを扱うことの多い児童相談所が独自で開所できるということになれば、よりスピーディな対応が可能になりますし、情報共有や方針の決定ももっとスムーズにできるようになります。

子どもに関するセーフティネットを充実させ、より適切に事例に対応するため、現在杉並区でも懸命に開所準備をしているところです。ただ、入れ物だけを作って中身がお粗末では本末転倒ですから、職員の育成から体制整備など周到に準備したいと考えています。

――最後に、方南町エリアの魅力を教えていただけますか?

大澤課長:方南町というのは杉並区のなかでも非常にユニークな地区で、「方南銀座商店街」がとても元気な楽しい街ですよね。近年では高円寺阿波踊りならぬ、方南町エイサー祭りも開かれたり、ハロウィンパレードや宝探しアドベンチャーなど、独自のお祭りやイベントを企画して開催しています。

「方南銀座商店街」
「方南銀座商店街」

また方南エリアに住む子育て中のお母さんを中心メンバーにした「方南こまち」という地域団体があり、親子向けイベントを開催したりフリーペーパー『ここまち』を発行したりと活発な活動をしています。そういう意味でも、方南町は仲間がたくさんいますし盛り上がっているので、子育てがしやすい街だと思います。
また和泉保健センターや子どもセンターもサミットの裏側にありますので、気軽に立ち寄って利用してほしいですね。

杉並区役所 大澤章彦さん
杉並区役所 大澤章彦さん

杉並区役所

杉並区役所 保健福祉部 子育て支援課 課長 大澤章彦さん
所在地:東京都杉並区阿佐谷南1-15-1
電話番号:03-3312-2111
URL:http://www.city.suginami.tokyo.jp
※この情報は2017(平成29)年10月時点のものです。