スペシャルインタビュー vol.05

八丁堀から“美味しい”と“クリエイティブ”の発信をする「cawaii bread&coffee」

原田環さんと中山真理さんは、アート&デザインのライターユニットとして「カワイイファクトリー株式会社」を立ち上げ、美術を専門領域とした企画・制作を行っている。お二人がオープンさせた「cawaii bread&coffee」は亀島川沿いに佇むパンとコーヒーの店。
家族連れからオフィスワーカーまで、八丁堀の人たちに愛されている人気店だ。今回はこちらのお店を訪れ、お二人の活動や八丁堀の魅力についてお話を伺った。

中山真理さんと原田環さん
中山真理さんと原田環さん

――まずは、「cawaii bread&coffee」について教えてください。

原田さん:「cawaii bread&coffee」は、パンとコーヒーを提供するお店で、2014(平成26)年7月にここ八丁堀にオープンしました。私たちはもともと隣の茅場町にオフィスを構えて編集と執筆関係の仕事をしていたのですが、お店のオープンと同時にオフィスも八丁堀に移転しました。もともと八丁堀は卸業や製造業系のオフィスが多く、その為お店は主に男性好みの焼き鳥屋さんやガッツリ系の定食屋さんばかりだったんです。その当時はまだ自分たちがのんびり過ごせるようなお店や女性も気軽に立ち寄れる小粋でおしゃれなお店が少なかったので、「それならば私たちが作ろう!」ということで私たちと同じ思いをもつ人たちのためにお店をオープンすることに決めました。

のんびり過ごせる可愛らしいお店をということでオープンを決めた
のんびり過ごせる可愛らしいお店をということでオープンを決めた

――お客様はどのような方が多いですか?

中山さん:やはり平日はこの近くで働いてるビジネスマンやOLの方が多いですね。
また、最近はこの近くのオフィスビルがマンションに建て替えられる例が多く、それらのマンションに引っ越してきた新しい人たちが増えています。なので、休日になると30代くらいのベビーカーを押した若い夫婦の来店がとても多いです。

原田さん:朝は7時から営業をしているので、休日は朝一番に焼きあがるパンを買いにいらっしゃる方も多いです。ここで朝食をとって家族でどこかに出かける人やテイクアウトをして自宅で食べる人など、スタイルは様々です。近所の気軽なパン屋さんとしていろんな人に来て頂きたいですね。
もちろん、銀座や東京駅の方へ出ればより多くのパン屋さんがあるとは思いますが、いざ銀座に行くとなると身なりをしっかりと整えないとと思ってしまいますよね。でも、ここならサンダル1つでふらっと買いに来ることができます。このお店はその「気軽さ」を大事にしているので、これからもそんなお店でいられるようにしたいと思っています。

パン ド カンパーニュ
パン ド カンパーニュ

――人気の商品とこだわりを教えてください。

中山さん:一番人気は、やはりクロワッサンです。50%以上発酵バターを入れたリッチなクロワッサンでとても美味しいですよ。その次に食べていただきたいのは、水と酵母、粉、塩だけで作ったシンプルなパン、カンパーニュですね。

――このお店はカウンター席がとても居心地が良いですよね。

原田さん:このお店をつくるときに、カウンターテーブルと椅子の高さは特にこだわり、銀座の名店「バードランド」の和田さんに相談したところ、座面とカウンターテーブルまでの間は40センチがベストだと言われました。この40センチというのは人が座った時に、お腹が圧迫されずにまっすぐに胃袋が立っている状態なんだそうです。自然な姿勢でのんびりとコーヒーや食事を楽しむことができるようにとこだわって設計しました。

こだわりのつまったカウンター席
こだわりのつまったカウンター席

――お二人は普段、デザイナーとして活動されていますが、パンや調理の知識はどこで勉強されたのですか?

原田さん:実は二人とも食べ歩きが大好きなんです。本を読むことも食べることも好きで、いろいろな料理本も読みます。一時期グルメランキングの本を作るのも良いかなとか、料理本批評家も良いかななんて思ったくらいですから(笑)。作ったものの良し悪しや何をどうすればより良いものを作ることができるのかなど、私たちの想いを理解して再現してくれる職人さんがいれば、お店をやっていけると思いました。

パン職人の田代智久さんとも想いを共有
パン職人の田代智久さんとも想いを共有

――「カワイイファクトリー株式会社」について教えてください。

原田さん:「カワイイファクトリー株式会社」はアート&デザインのライターユニットとして、私たち二人で1998(平成10)年に結成し、雑誌の記事作りやブランド広報誌や書籍の企画、制作などを中心としたクリエイティブユニットとして活動をしています。
私たちは大学で美術史を専攻していた関係もあり、美術を専門領域にしたライターが本業になります。美術とデザインを主なフィールドとして雑誌や単行本、 各種刊行物の執筆、 企画編集を手がけています。作品は現代美術作家の作品や『ウィークリーブック 日本の美をめぐる』(小学館、2002(平成14)年)など様々で、「従来の枠にとらわれない」、「小さなチームで大きな仕事を成し遂げる」という新しい企業のかたちを目指しています。

中山さん:ここ八丁堀は、江戸時代の浮世絵師・東洲斎写楽が住んでいた地として伝えられていたり、落語に出てくる地名が現在も残っていたりと江戸の文化を今も感じることができるので、私たちの専門の美術ともつながりがある街だと感じています。

中山さん
中山さん

――八丁堀エリアに特化した作品もお考えとお聞きしました。

原田さん:こちらに来てから町内会にも入り、江戸三大祭りの一つ「山王祭」にも参加しています。
祭りのポスターも作っていまして、今は町内会の宣伝部長みたいになっています(笑)。私たちは人とのつながりを大切に日々活動していますので、古本屋さんとか器屋さんとか地域の知り合いも増えました。地域のみなさんの協力を得て、八丁堀のディープなスポットを紹介する「八丁堀お散歩マップ」など八丁堀の宣伝をしていく新しいメディア作りも今後考えています。

原田さん
原田さん

――周辺は近年、再開発など変化の著しい八丁堀エリアですが、街に対するイメージの変化はありましたか?

原田さん:私たちもこちらに来てまだ3年なので、それ以前の街の姿には詳しくないのですが、前述の通りオフィスビルがマンションとして生まれ変わるなど、ここ数年で八丁堀に新しく住む若い世代が増えていて街が元気になっていると思います。お店にも30代くらいの若い世代の方やお子さん連れのご家族が多く来店します。また、八丁堀はこの先5年10年でさらなる発展を遂げるのではないかと思います。変化していくこの街を見るのも良いですが、この落ち着きのある素朴な街は変わらないでほしいとも思ってしまいますね。

テラスから川を望む
テラスから川を望む

――八丁堀エリアの魅力や暮らしやすさはどのようなところでしょうか?

原田さん:八丁堀エリアは「東京」駅からも近いので、騒音などがうるさいのでは?とよく言われるのですが、実はそんなことはなく意外と静かなエリアです。特にオフィス街ということもあって、土日は休みの会社が多いのでとても静かです。ショッピングの面では銀座も日本橋も歩いていくことができるので便利ですね。
自転車を使うと皇居も近いのでお散歩やマラソンにも良い立地です。また「隅田川テラス」もすぐなので隅田川沿いの景色を見ながらゆっくりお散歩するのもオススメです。町内には、「ディズニーランド」が近いからという理由で引っ越してきたひともいるようです。道路が広く鉄道網もありどこへ行くのにも便利な八丁堀は生活利便性が高く、住みやすさも兼ね備えているのでかなり穴場といえるのではないでしょうか。

cawaii bread&coffee
cawaii bread&coffee

これからの私たちの展望としては、「八丁堀に古くから住まれている方と新しく住まわれた方を繋ぐ」ことです。今発展途上のこのエリアには今あるコミュニティが日々新しく更新されていると感じます。古くから行われている町内会の活動にも新しい人が参加したり、つながりは縦にも横にも広がっているように感じます。これからはそんな変わり始めた八丁堀でこの街の魅力を伝えられるような活動をしていきたいと思っています。

cawaii bread&coffee
cawaii bread&coffee

cawaii bread & coffee

原田環さん 中山真理さん
所在地:東京都中央区八丁堀2-30-16 T&Yビル1F
電話番号:03-3523-5040
URL:http://www.cawaiibreadandcoffee.com
※この情報は2017(平成29)年12月時点のものです。