調布市立布田小学校 校長 江原幸一 先生 インタビュー

梅林とともに歩んできた環境教育の実践校「調布市立布田小学校」

多摩川から歩いてわずか5分と、風光明媚な場所にある「調布市立布田小学校」。調布市内では若い公立小学校にあたり、開校時に植えられた梅林とともに歩んできた。今では古木に成長した梅の木や多摩川の自然の恵み、周囲に残る農園などを活かして、体験的な環境教育を実践。保護者とのつながりも強く、父兄による「おやじネット」の活動は10年を数えるほど。子ども時代を布田周辺で過ごし、2015(平成27)年度に校長に赴任された江原幸一校長先生に、学校の取り組みや地域の魅力について伺った。

「梅の心」、知恵と勇気とやさしさを育む

学校を象徴する梅林
学校を象徴する梅林

――貴校の歴史と概要について教えてください

江原先生:本校は統廃合を除くと、調布市内で最後にできた学校です。1981(昭和56)年に近くの富士見台小・杉森小・二小から児童が移籍して開校し、昨年は35周年を迎えました。校舎の北側には開校間もなく植えられた紅白の梅林があり、校章も梅を象っています。児童数は全15クラス、457名で、ここ数年は横ばいが続く見込みです。
教育目標は、「よく考えくふうする子」を今年度の重点目標として、「なかよく助け合う子」「明るく元気な子」とあわせたの三本柱です。本校では開校当初から、知恵と勇気とやさしさを「梅の心」として心の育成目標に掲げておりますが、教育目標はこれを土台としています。寒い季節に咲く「梅の心」を持って成長してほしい、という願いが込められています。

3つの教育目標
3つの教育目標

――施設や設備の特徴はございますか?

江原先生:体育館は市内の小学校で一番大きく、のびのびと活動できます。放課後開放では、たくさんの団体が利用されていますね。校庭もかなり広く、休み時間には最近の学校では珍しくボールを蹴って遊べます。校庭の一部は芝生化されていて、子どもたちは気持ちよさそうに転がっています。校舎の屋上にはソーラーパネルが設置されていて、学校で使う電力の一部を賄っています。

ビオトープではアユの稚魚を放流
ビオトープではアユの稚魚を放流

梅林の近くにはビオトープがあり、多摩川漁協からいただいたアユの稚魚を放流しています。井戸水をくみ上げて循環させているため水質がよく、アユものびのびと泳いでいますね。うまくいけば、産卵させて多摩川に稚魚を放流する計画です。
また、調布市の「科学センター」が校内にあり、本校を活動の拠点として、市内の小学生に実験・観察会を開いています。「科学センター」があるので、理科の教材が充実していますし、センターの方が理科の実験をサポートしてくれることもあります。

環境を活かした自然との触れ合い

「梅まつり」の様子
「梅まつり」の様子

――梅林を活かした取り組みは貴校ならではですね

江原先生:北側の梅林には約20本、さらに南西側にも約20本の梅の木が植えられています。売り物にできるほどたくさん実がなるので、3年生は総合的な学習の時間で毎年5、6月頃に梅の実を収穫し、ジャムづくりをしたり、梅シロップをつくって梅ジュースにして飲んだりしています。梅林は歩道に面していて、香りもするので、住民の方も楽しむことができますよ。 それから、梅の名に因んだ行事として、9月下旬の「梅まつり」があります。全校挙げての学園祭のようなもので、3~6年生がクラスごとにゲームやチャレンジコーナーを企画し、子どもたちが互いのクラスを行き来して遊びます。

田植え体験をする生徒たち
田植え体験をする生徒たち

――そのほかにどのような環境教育を行っていますか?

江原先生:4年生になると、総合と理科の学習で多摩川の自然について学びます。「ガサガサ」といって、網を持って川の中に入り、川岸を探って生き物や魚を獲ります。「多摩川塾」を主宰している、俳優の中本賢さんが教えに来てくれる時もあります。
昔に比べたらだいぶ減ったものの、学校の近くにはまだ田んぼがあり、5、6年生は総合的な学習の時間に田んぼの一部を借りて農業体験をしています。5~10月にかけて、籾まき、田植え、稲刈りまで体験します。収穫したコメは精米をしてもらって、給食にみんなでいただきます。子どもたちは素足に触れる土のあったかさや稲を刈る感触が面白いらしく、非常に楽しみながらやっていますね。

「おやじネット」も活躍! 地域活動の拠点として

ユネスコスクールに認定されている
ユネスコスクールに認定されている

――ユネスコスクール、オリンピック・パラリンピック教育推進校にも認定されていますね

江原先生:ユネスコスクールとして環境への関心を養うため、梅林や多摩川など、環境を題材にした学習を積極的に取り入れています。多摩川の学習については、専門家である多摩川漁協の方に指導していただくなど、安全性に配慮しながら行っています。また、節電・節水、PTA主導の牛乳パックのリサイクル運動など、省エネ学習にも取り組んでいます。
オリンピック・パラリンピック教育推進校の指定は2015(平成27)年から。今年度は体育科を授業研究のテーマとし、授業改善による運動時間の向上、コーディネーショントレーニングの実践、マラソン週間や大縄跳び集会の開催などで、体力作りを進めています。 また、体力作りと並行し、日本の伝統文化を理解するための取り組みも行っています。有志の子どもたちがお琴と尺八を習って発表会を開き、昨年末は「日本の伝統文化理解教室」として、舞妓さんを招いて京舞を披露してもらいました。京舞を見る機会は大人でもなかなかありませんが、子どもたちも非常に喜びました。今後は、障害者理解のための取り組みも進めていきます。

10月の地域運動会の様子
10月の地域運動会の様子

――学力向上に向けてはどのように取組んでいらっしゃいますか?

江原先生:週3回の朝学習で国語と算数の時間を充実させ、算数の授業は習熟度別のクラスに分けて行っています。夏休みには、全学年を対象に補習教室も開いています。
本校は2013・2014(平成25・26)年度に理数フロンティア校に指定され、科学的な思考を深めるための学習形態を研究してきた実績があるので、理科、数学ではそれを活かした授業づくりをしています。理科教材の充実や算数の習熟度別授業も、その一環です。

――校長先生が赴任されてから取り組まれたことはございますか?

江原先生:平和教育にも力を入れ、12月に6年生が調布市戦時記録保存会の方から戦争体験を聞く機会を設けています。戦争体験者がいなくなってしまう前に、実際に体験した方から、戦争当時の暮らしや戦争の恐ろしさを話してもらい、日本で戦争があったという歴史を学んでいます。

戦争体験を聞く会
戦争体験を聞く会

――地域行事や保護者との連携はいかがですか?

江原先生:7月中旬の土日の2日間、学校開放委員、地区協議会、PTA、学校が協力して、地域の盆踊りを開催しています。毎回、校庭に鉄骨を一から組んで立派なやぐらを建て、たくさんの模擬店が出ます。近隣の人たちが1日700~800人ぐらいいらして、売り物がなくなってしまうほど賑わいますよ。10月には地域運動会もあり、パン食い競争や借り物競争などの種目を大人と子どもが一緒になって楽しみます。 保護者との連携では、「おやじネット」という集まりがあります。学校に協力したいというお父さん方が、学校行事や地域行事の際に手伝ってくれ、子どもたちへのお楽しみイベントを開いてくれます。秋のお楽しみ会「オモロー」では、飯盒炊飯体験を企画してくれました。
「おやじネット」の主目的は、お父さん方の横のつながりを作ること。話題を共有し、お子さんの様子を知ることができます。担任の先生の名前を知っていたり、学校との距離も近くなりますね。今は現役で40人ぐらいのお父さん方が活動され、卒業生の親御さんもOBとして参加されています。
本校は地域の方や保護者の活動・情報拠点であり、地域の中心的な存在です。閑静な住宅街の中で唯一子どもの声がにぎやかに聞こえる、明るい場所。何かあれば人が集まってきて、人と触れ合える場所となっています。

多摩川が織りなす雄大な景色に街並みが調和

梅の花を象った校章
梅の花を象った校章

校長先生からご覧になった、染地・布田・国領エリアの魅力について教えてください

江原先生:多摩川がもたらす開放感と時折見える富士山、やはりこれが一番の魅力ではないでしょうか。野鳥をはじめいろいろな生き物が見られるなど、多摩川の自然の恵みが感じられる。そこに街並みがうまく調和し、この地域ならではの落ち着いた雰囲気を醸し出しています。駅から離れているので交通量が比較的少なく、多摩川ではさまざまなスポーツで体を動かすことができます。その一方で、「調布」駅の徒歩圏内にあり、小田急の狛江や京王多摩川といった近隣の街へ出やすいなど、利便性もいいエリアです。

広々とした体育館
広々とした体育館

――これからこの街に住まわれる方へメッセージをお願いします!

江原先生:自然に触れることができて、都心へのアクセスもよく、便利で住みやすい住環境に恵まれています。また、調布市は教育や保育にかける予算を割くなど、市がそこに暮らす人に対してきちんとお金をかけてくれる街。人を育てようという土壌があるので、安心して住めるし、子育てにもよく、今後もまだまだ発展していく可能性にあふれています。

調布市立布田小学校 江原校長
調布市立布田小学校 江原校長

調布市立布田小学校

校長 江原幸一先生
所在地 :東京都調布市染地1-1-85
TEL :042-481-7652
URL:http://members.jcom.home.ne.jp/fuda-sho/
※この情報は2017(平成29)年1月時点のものです。