First Classroom 世田谷 園長 橋井健司先生 インタビュー

世界のどこでも「自分らしく」生きられる人材を育てる「First Classroom 世田谷」

「子どものありのままを大切にする」「子どもが熱中しているときは絶対に邪魔をしない」など、その独自の保育方針とカリキュラムで数年先まで予約がいっぱいという人気のFirst Classroom世田谷。少人数・異年齢混合クラスで日々を過ごす子どもたちは、型にはめられることなく自由で伸びやかに、パワフルかつ個性的に育っている。そんなユニークな園を作ろうと思ったきっかけや街の魅力について、橋井園長にお話を伺った。

子どもたちの自主性を大切に、主体性を育てる

園内の様子
園内の様子

――園の概要を教えてください。

橋井先生:本園は今年で12年目を迎える幼稚園と保育園の一体型スクールです。2歳半~5歳までの全園児18名という少人数かつ異年齢の子どもたちが、一緒に生活しています。朝は7時30分からご希望の方には早朝保育があり、基本的には9時~14時が規定のプログラム、その後も18時30分まで預かり保育もあります。 子どもたちが世界のどの国に行っても自分らしくいられるように、私が様々な諸外国の幼児教育理論を学び、理論立てた保育を日々実践しています。

本園には運動会もお遊戯会もなく、保護者の方々に見せるために、子どもたちが自由時間や外遊びの時間を削って練習をし、披露するようなイベントや行事は行っていません。それでも毎年、入園希望をしてくださる方々が定員の5倍以上も集まり、入園の2年前から予約をしてくださる方がいるのは、この園の方針が理解され賛同してくださる方々がいることの証だと感じています。

――保育方針に掲げられている「世界基準の教育」とは、ひとことで言うとどのような教育なのでしょうか?

橋井先生:私は「子どもの内発性を重視し、将来自立して主体性を持った人生を送れること」だと考えています。

「子どもを尊重する」― 当たり前な保育を徹底して行う

子どもを尊重する保育
子どもを尊重する保育

――どのようなきっかけでこの園をはじめられたのですか?

橋井先生:私は長らく外資系企業で仕事をしておりまして、海外で働く多くの日本人と接するなかで“英語ができても欧米人と対等にコミュニケーションができない人が多い”と感じていました。これには幼少期の教育が大きなカギになっているのではないかと思い、このFirst Classroomを開園させました。 「世界基準の保育方針」というと大げさに聞こえるかもしれませんが、実際は「横並びの指導はしない」「子どものありのままの姿を大切にする」「強制しない」「子どもが集中しているときに邪魔をしない」といった当たり前のことを徹底的に守るという、実にシンプルな方針です。先生方にも毎日のようにこの考え方をお話していますので、園全体でこの指導が浸透しています。

――先生が日々の保育活動のなかで大切にされているのはどんなことですか?

橋井先生:子どもの「自由時間」の確保です。本園では絶対に外すことのできない活動として「自由に遊ぶ時間」をカリキュラムとして設けています。子どもにとって誰にも強制されずに、心の中から湧きあがる「やりたいこと」を追求する時間は、大人が考える以上に大切です。「やりたいこと」を突き詰めて「課題」を見つけ、その課題を解決しようと努力したり、やりたいことをさらに発展させていくことも重要です。じっくりと自分のペースで考え、没頭することを私たち教職員全員で応援しています。 「フロー」という言葉をご存知ですか?

「超集中」「極限集中」などともいわれますが、私たちは子どもが何かに没頭し集中しているときは、絶対に話しかけたり止めたりしません。フローを温かく見守る環境こそが、自分で自分を伸ばす自学自習の力をつけ、光る個性を発揮できる子どもを育てると考えています。 近年は幼い頃から習い事や塾などでスケジュール管理された生活を送るのに慣れ、大学生になっても「暇になるのが怖い」「決められたことしかできない」という人が多いと聞きます。それは本当に怖いことです。自由な時間は自分だけのもの。いくつになっても好きなことに没頭できる時間であるべきだと思います。その点、本園の子どもたちは自由時間になると、「今日はあれをしよう」「いやこれをやってみようかな」と本気で好きなことに取り組んでいます。何か足りないものがあれば先生に交渉して手に入れ、できるような環境を整えて実行に移していきます。その姿は実に見事で、「考える力」や「想像力」「創造力」はもちろん「交渉力」「プレゼン力」「実行力」と様々な力を身につけていることが分かります。

――子どものフローを尊重する保育で、気をつけていることはありますか?

橋井先生:子どもが集中している対象が大人には無意味に見えることでも、絶対に否定的に考えないことです。言葉で言わなくても子どもたちはその気持ちに気が付いて追求をやめてしまいます。子どもの興味や考えを第一に考え、尊重することですね。「人間は強制されたり教えられると反発する」ということを肝に命じて、子どもたちの自発性・内発性を大切にしています。 諸説ありますが、人間の脳の90%は6歳までに育まれるといわれ、「目標に向かって努力する」「人とうまく関わる」「感情をコントロールする」といったIQや学力で測れない「非認知能力」を身につけるには、就学前の乳幼児期が一番大切だとされています。こうしたことからも、この時期に個性を摘み取ってしまうような教育は、望ましくないと思います。

リーダーシップは「教える」ものでなく自然と身につくもの

少人数&異年齢で構成されるクラス
少人数&異年齢で構成されるクラス

――この他にも特徴的な取り組みはありますか?

橋井先生:クラスルームが少人数&異年齢で構成されている点です。異年齢環境は良いところが多くありますが、年長さんがお休みすると先生が大変になるほど年長さんの「リーダーシップ」が育っています。本園の年長さんは、時には兄弟や家族のように年少さんの面倒をよく見てお世話をします。基本的に優しさや献身の気持ちもあるでしょうが、根底に「仲間を増やしたい」「心地よい居場所をつくりたい」という動物的な本能があるからだと思いますね。 いがみ合うグループより仲の良いグループの方が居心地がいいに決まっているし、2人で遊ぶより5人の方が面白い。それを分かっているから、先生が介入しなくても年長さんが自然に小さい子の面倒を見るのです。統制を取ろうと押し付けたり強制すれば反抗されますが、日常生活で「押し付け」や「強制」を経験していないので年長さんは絶対に上から命令せず、上手に対応していますよ。

また年長になると持ち回りでお当番があるのですが、お当番は原稿なし・練習なしで必ずスピーチをすることになっています。テーマは「自分の好きなもの」について、置物でも電子機器でも「何でもいい」と伝えてありますので、自宅から物品を持参して仲間に現物を見せながら紹介しています。保護者の方にも「練習をさせないように」とお願いしているので子どもはぶっつけ本番で、週に1回程度、全員の前で話さなくてはいけない。これは小学校に入っても人前での発表などで、非常に役立っていると聞きます。

培われるリーダーシップ
培われるリーダーシップ

――卒園生たちからも活躍しているといった声は届きますか?

橋井先生:卒園生の保護者の方々からは、小学校へ上がった後も「先生や友人に依存しない」「自立した人間関係を築いている」というような話を聞きますね。 保護者の方々のなかには「先生に交渉するのが日常的になると、小学校に入ってから先生に意見するようになるのではないか?」などとご心配される方もありますが、これは全く杞憂だと思います。先生や指導者に従順である必要はまったくなく、目上の人であっても自分の意見や気持ちをきちんと伝えるのは必要なスキル。これからは右へならえの没個性の人よりも、隅に置けないくらいのユニークな人材になるべきです。

――食育にも力を入れていらっしゃると聞きました。

橋井先生:食育は最も力を入れていることの一つです。栄養士であり自然食研究家がつくった献立のもと、素材にこだわってシンプルな味付けの食事を提供しています。醤油は一年醸造、白砂糖は使わず塩は海水塩、味噌は6年醸造と調味料には特にこだわっています。食事は基本的に薄味の和食で「おばあちゃんの家で食べるご飯」のような素朴でシンプルなレシピを心がけています。 また、月に1回、天然酵母パンづくりや味噌づくりなど子どもたちが手を動かして食べ物をつくるクッキングの時間も設けています。

こだわりの食事
こだわりの食事

質の高い安全な環境とチャレンジングな遊び場が共存する街

――地域との関わりについて教えてください。

橋井先生:私たちは「地域全体がクラスルーム」だと考えており、毎日出かける公園も、広い公園に向かうときの電車も、消防署や工場などの社会見学先もすべてが自分たちの教室であると思っています。ですので、お出かけの際の地域の方々との挨拶も譲り合いも当然のことですし、交通ルールを学んだり社会での振る舞いを身につけることも日常のなかで自然に行っています。 どの施設にお邪魔して何をするということではありませんが、地域全体が自分の構成している要素の一つだと理解することが大切だと考えています。

――この街の魅力について教えてください。

橋井先生:まず公園や道路などの管理や整備が行き届いていて、非常に綺麗で利用しやすいですね。治安がよく不審者情報なども聞いたことがありませんので、小さなお子さんを育てる街としては最適ではないでしょうか。12年間この場所で園を運営しておりますが近隣から苦情が出たこともなく、みなさん温かな目で見守ってくださっていると思います。

全体的に住民の方々の質が高く、落ち着いた環境が整っているように感じます。 電車で3駅ほどの「梅ヶ丘」駅の前に、「羽根木公園」という大型の公園があり、そのなかに「羽根木プレーパーク」という遊び場があります。プレーパークとは「自己責任で自由に遊ぶ」という考え方のもと、冒険をともなった少々危険に見える「遊び」ができる場のことで、焚き火や木工制作などもできるようです。羽根木は日本でも先駆的に開かれたプレーパークで、子どもの「やってみたいという気持ち」「ワクワクした思い」を大切にした子どもの遊び場であり、この考え方は我々とも共通する部分が多く共感しています。こんな近くにこんな素晴らしい遊び場があって、子どもたちはとても幸運だと思います。

First Classroom世田谷
First Classroom世田谷

First Classroom 世田谷

園長 橋井健司先生
所在地:東京都世田谷区経堂4-20-2 2F
電話番号:03-3439-2555
URL:http://firstclassroom.jp
※この情報は2018(平成30)年6月時点のものです。